ひょうたんじじい備忘録

ファイナルカウントダウンに向けて

『歴史・時代小説の作家たち』尾崎秀樹…から その1 

2020-12-21 13:33:43 | 日記・エッセイ・コラム
尾崎さんが1996春に出した本。吉川英治から藤沢周平まで52人の作家を取り上げている。知った名前も多いが、ほとんど初めての人も。ということで、これから読んでみたい作家の作品や発言などをメモしておこうとするものである。
▼吉川英治 かなり昔にいろいろと読んだ。尾崎さんは取り上げた全作家に優しいが、特に吉川さんと松本清張さんは特別の扱いのようである。「時代小説は吉川英治によって大成された。そしてその成就の道を自ら切り開いていった」とある。「宮本武蔵」は「日本人のベーシックな意識にふれるものが…」と大いに評価しているが、武蔵への評価が低い司馬遼太郎のところでは作品自体が取り上げられていないのは興味が惹かれるところ。「吾以外皆吾師」や「もし人の一生に、その多岐なる迷いと、多難なる戦いとがなく、坦々たる平地を歩くようなものであったら、なんと退屈な、またすぐ生き飽いてしまうものだろう。畢竟するに、人生とは、苦難苦闘の連続であり、人生の快味といえば、ただその一波一波に打克ったわずかの間の休息のみにあるといってよい」(新書太閤記)などは味のある言葉である。