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東京・春・音楽祭《ワルキューレ》@東京文化会館

2015-04-05 10:39:38 | CD・コンサートレヴュー
昨年後半からのサボリ癖に加え、最近は最近は回線の不調もあって更新が滞ってしまっている。これから、過去分も含め貪欲に書いていきたい。

まず、昨日の演奏会について。
東京・春・音楽祭の目玉といってよいオペラ公演。昨年始まったのが「ニーベルングの指環」4部作を毎年1作ずつ上演するというツィクルス企画で、昨年「ラインの黄金」を聴き、今年が2作目「ワルキューレ」。

筆者がオーケストラで最後に演奏したのが「リング」抜粋版だったこともあり、これら4作には特別な感慨がある。今年の「ワルキューレ」は4作品中個人的に最も好きでもあり、期待して足を運んだ。
桜の季節とも重なり、上野は大変な人出。祝祭的な雰囲気が高まる。

演奏は5時間に及ぶ長丁場を感じさせないクオリティの高さを聴かせた。
作品を知悉しているヤノフスキの緻密な指揮と、それに重厚な響きで答えるN響は、ワーグナーの醍醐味を感じさせた。
声楽陣も総じて好調。殊にジークリンデのマイヤーとブリュンヒルデのフォスターには魅了された。

来年以降さらに重量感を増す作品が控えているが、負けない気力体力を作って客席に座りたい。

・・・しかし、ワーグナー描く神々の人間(?)性、問題が多すぎだろう。特にヴォータン。その辺りに普通にいる人間だとしたらかなりヤバいヒトだと思う。例えば刑法に照らして、殺人(ジークムント他に対して)、監禁・放火(ブリュンヒルデに対する)、その他詐欺、誘拐、強姦・・・立派な凶悪犯だ。


(文中、敬称略させていただきました)


指揮:マレク・ヤノフスキ
ジークムント:ロバート:ディーン・スミス
フンディング:シム・インスン
ヴォータン:エギルス・シリンス
ジークリンデ:ワルトラウト・マイヤー
ブリュンヒルデ:キャサリン・フォスター
フリッカ:エリーザベト・クールマン
ヘルムヴィーゲ:佐藤路子
ゲルヒルデ:小川里美
オルトリンデ:藤谷佳奈枝
ヴァルトラウテ:秋本悠希
ジークルーネ:小林沙季子
ロスヴァイセ:山下未紗
グリムゲルデ:塩崎めぐみ
シュヴェルトライテ:金子美香
管弦楽:NHK交響楽団
音楽コーチ:トーマス・ラウスマン
映像:田尾下哲

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2 コメント

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《ワルキューレ》(演奏会形式/字幕・映像付) (pfaelzerwein)
2015-04-05 20:37:13
映像つきとはどのような映像でしょう?

第二国立があってもこういう形式でも開催されるのですね。ヤノフスキー指揮のN饗の出来はどうでしたか。

「問題が多すぎだろう」 - 神々といってもここでは神話の神ですから、指輪保持者の次の圧倒的権力者ですから、問題が多いのは世の常でしょうか。
>pfaelzerweinさま (TANAR)
2015-04-05 22:56:45
映像は舞台背面を使って、場面に合わせて荒涼たる岩山や荒野を映したもので、基本的に1場の間ずっと変化しない演出でした。実質的にはほぼ背景ですね。(最後、ローゲの炎が岩山を覆う箇所では炎が画面上を広がりましたが)

神々については、仰る通り、世の常でしょうかね。考えてみれば、古事記の神なんかも結構酷いですし。笑

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