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マーラー祝祭オーケストラ特別演奏会@ミューザ川崎

2015-08-30 14:22:25 | CD・コンサートレヴュー
ここ半年ほどのコンサートについての記事が未だ滞っているのに、最新の演奏会についての記事も書けずに1週間が経ってしまった。


アラム・ハチャトゥリアン:ピアノ協奏曲 変ニ長調
グスタフ・マーラー:交響曲「大地の歌」
指揮:井上喜惟
ピアノ:カレン・ハコビヤン
テノール:今尾滋
アルト:蔵野蘭子


この日は「マーラー祝祭オーケストラ」にとって初めての演奏会にあたるのだが、このオーケストラには前身といってよい団体がある。ジャパン・グスタフ・マーラー・オーケストラ(以下、JMO)がそれだ。音楽監督井上をはじめ、団員もかなりの人数が重なっている。
そのJMOに所属していた縁もあり、今回の演奏会に足を運んだ。

このオーケストラはその名の通り、言うまでもなくプログラムの中心をマーラーの作品に置いているが、JMOでの第2回演奏会のメイン・プロにハチャトゥリアンの交響曲第3番を取り上げたことがあるように、その音楽はマーラー以外の数少ないレパートリーとなっている。そのことは井上がかつてハチャトゥリアンの故郷であるアルメニアで活動していたことと密接な関係があろう。

井上自家薬籠中の物であるハチャトゥリアンにおいて最も目を引いたのは、しかし健闘するオケよりも、ソリストだった。初めて聴くハコビヤンのピアノは、明晰でありながら芯がある重厚な音で、近代的で緻密な書法と濃密な民族性を両立させた傑出した演奏。

マーラーでは、殊に弦楽器に顕著な技術的難易度の高さもあってか、アンサンブルの乱れも散見されたが、ソリスト2人の歌唱を軸にした表現を大きく妨げるようなものではなく、マーラーの作品群のなかでもやや異色といえるこの曲の特徴はよく聴きとることがでくた。

来年の演奏会は、いよいよマーラーの交響曲作品全曲演奏の掉尾を飾る第8番。筆者も参加予定で、すでに練習も開始されている。気合を入れねば。


(文中、敬称略させていただきました)

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