くまのお気楽日記

好きな漫画や映画の話を主にその日あった事や感じた事等をお気楽に書いていきたいと思います。宜しくお願いします。

「パラレルワールド2」

2007-08-09 01:00:00 | 本好き
1より続き
ステップ1 万物理論を打ち立て検証する
万物理論や量子重力理論が明らかになり、超大型加速器と重力波検出器でその理論の正しさが確かめられれば、アインシュタインの方程式とワームホールについて、いくつか基本的な疑問に答えが出せるようになる。
一、ワームホールは安定なのか?
カー・ブラックホールを通り抜けようとする場合、自分自身の存在がブラックホールを攪乱するという問題が生じる。
しかしこの安定性の計算は、量子論的な補正によって一変してしまう可能性があるので、補正を考慮してやり直す必要がある。
二、発散の問題はあるか?
二つの時間を結ぶワームホールを通過する場合、ワームホールの入り口付近の放射は無限に増大する可能性があり、そうなると破滅を招く。
これは放射がワームホールを通過して時間を戻り、そのあと再びワームホールに入ることがあるからだ。
このプロセスが無限に繰り返されると、放射が無限に増大する。
だが、多世界理論が成り立ち、放射がワームホールを通過するたびに宇宙が分岐するのなら、放射は無限に増大せず、問題は解決できる。
この厄介な問題を片付けるのに、万物理論が必要になる。
三、大量の負のエネルギーは見つかるのか?
負のエネルギーは、ワームホールを広げて安定させられる重要な材料で、存在は既に知られているが、あくまでごくわずかだ。
果たして十分な量を見つけられるのか?
これらの疑問の答えがわかれば、先進文明は、宇宙から脱出する方法を真剣に考えるようになるだろう。
方法の選択肢はいくつかある。

ステップ2 自然に存在するワームホールやホワイトホールを見つける
ワームホールや次元の入口や宇宙ひもは、ビッグバンの瞬間のエネルギーによって、自然にできたかもしれない。
さらに負の物質が自然に存在する可能性もあり、これは脱出しようとする時に役立つだろう。
またホワイトホール(時間が反転している為、物体はブラックホールに呑み込まれるのと逆でホワイトホールから飛び出す)が、宇宙空間に設置する次世代の検出器で発見される可能性もある。

ステップ3 ブラックホールに探査機を送り込む
議論の為に、ブラックホールを通り抜けることができるとすると、片道切符の旅で非常に危険なことから、まず探査機を送り込もうとするだろう。
また事象の地平線に突入すると探査機の時間が止まって見える、という問題には、探査機は地平線からある程度離れたところでデータを送信する必要がある。

ステップ4 ゆっくりとブラックホールを作る
ブラックホールの特性が探査機で明らかにされたら、次はゆっくりとブラックホールを作る実験に進むかも知れない。
例えば中性子星を集め、その集団を渦巻状に回らせ、速度や半径を調節することで、専心文明はカー・ブラックホールを望みどおりにゆっくりと作ることができるかもしれない。

ステップ5 ベビーユニバースを作る
ここまではブラックホールの通り抜けが可能と仮定した。
では不可能と仮定してみると、今度はベビーユニバースを作ることを試すことになるかもしれない。
グースは、インフレーション理論(宇宙はド・ジッター型の加速する膨脹ではじまるとする理論)は偽りの真空(最低エネルギーではない真空状態。本来的に不安定で、もっと低いエネルギーを持つ真の真空へ必然的に移行する)の生成に基づいている為、人為的に偽りの真空を生み出し、実験室でベビーユニバースを作ることが可能なのではないかと考えた。
宇宙の物質/エネルギーの量が莫大でも、重力に由来する負のエネルギーもそれに匹敵するくらいあることから、正味の物質/エネルギーの総量は、たかだか30gほどかもしれない。
ただ、ベビーユニバースを作るには数十グラムの物質を偽りの真空に押し込むだけでいいが、途方も無く小さなサイズに圧縮しなければならない。
ベビーユニバースを作るもう一つの手だてとして、小さな空間領域の温度を1029Kまで上げてから急激に冷やし、時空が不安定になるところから、小さな泡宇宙が沢山できはじめ、偽りの真空を生み出す、というものもある。
しかしベビーユニバースが形成され始めるところは、我々の宇宙の中でなく特異点の向うで膨脹する為見えない。
このベビーユニバースは、それ自体の反重力によってインフレーションを起こし、我々の宇宙から「芽吹いて」分かれる可能性を持っている。
となると、生じるところは見えないはずだが、ワームホールがへその緒のように我々とベビーユニバースを結び付けてくれるだろう。
とはいえ高温にして宇宙を作る際には、莫大なホーキング放射を生み出す危険もあるし、新たに生まれた宇宙がつぶれてブラックホールになる危険もある。
これを理論上回避する為には、やはり負のエネルギーを得る必要がある。

ステップ6 巨大な粒子加速器を建造する
プランクエネルギーを調べるには、恒星系規模の粒子加速器が必要になる。
例えば、宇宙空間の真空度を利用し、小惑星帯のなかの円形の経路に沿って素粒子を走らせる粒子加速器が考えられる。
こうした粒子加速器を作るにあたっては、途方もない技術的問題のほかに、粒子ビームのエネルギーが2.7Kの背景放射を生み出している光子と衝突しエネルギーを奪われ、宇宙空間で到達可能なエネルギーには上限があるかもしれない、という問題がある。
もしそのとおりなら真空管の中にビームを閉じ込めることも考えられるが、遠い未来においては、宇宙背景放射が弱まりすぎて問題にならなくなっている可能性もある。

ステップ7 爆縮機構を生み出す
粒子加速器以外にレーザーと爆縮機構に基づく装置も考えられる。
様々な恒星系の沢山の小惑星や衛星にレーザーの放列を作る、といったものだ。
理論上、レーザーに込められるエネルギーの量に限界はないが、製作の問題として材料の安定性がある。

ステップ8 ワープドライブ・マシンを作る
ここまで述べた装置の製作に欠かせない条件として、恒星間の長大な距離を移動するワープドライブ・マシンがある。
ミゲル・アルクビエレが提唱したものに、前方の空間を縮めながら後方の空間を伸ばして移動する、というものがある。
空間そのものは光よりも早く広がれる(縮めれる)のだ。
アルクビエレは、これが物理法則の範囲に収まることを明らかにしたが、この宇宙船を動かすには、負のエネルギー(伸ばすため)と正のエネルギー(縮めるため)が大量に必要になる。
アレン・E・エヴェレットは、そうした宇宙船が二隻あれば、ワープドライブを続けて作動させることでタイムトラベルが可能だとも訴えている。

ステップ9 スクイズド状態による負のエネルギーを利用する
強力なレーザーのパルスが特殊な光学材料に当たることで生まれる、正負の光子のペアは、真空に存在する量子ゆらぎの増幅と抑制を交互に行い、正負両方のエネルギー・パルスを生み出す。
このふたつのエネルギー・パルスの合計は常に正のエネルギーになるので、既知の物理法則を破らない。
しかし負のエネルギーのパルスが強いほどその持続時間は短くなることや、例えば正負のエネルギーを分別する為にレーザー光を箱の中に照射し、負のエネルギーのパルスが入ったらすぐにシャッターを閉じるようにした時の、シャッターを閉じる行為そのものが、箱の中に正のエネルギーのパルスを発生させる、という問題がある。

ステップ10 量子論的な遷移を待つ
前述の「ゆっくり」考える知的生命の長大な時間があれば、ワームホールが現れたり量子論的な遷移が起きたりするのを待つだけで、別の宇宙に逃げ出せるかも知れない。
しかしその量子論的な遷移はいつ起きるか全く予想が付かないという問題がある。

ステップ11 最後の望み
安定なワームホールのサイズが、せいぜい顕微鏡レベルから素粒子レベルだとしよう。
それからワームホールを通過する時に、人体には耐えられない負荷がかかるとする。
そうするとただひとつの選択肢は、ワームホールの向こうで文明が再現できるだけの情報を、新しい宇宙に注ぎ込む、ということだけになるだろう。
超先進ナノテクノロジーで重要な特性をすべて「種子」にコピーし、それをワームホールに送り込むのだ。

先進文明の人々は、自らの肉体的存在を、時間をさかのぼったり別の宇宙へ脱出したりする困難な旅を生き抜ける存在に変える決断をし、炭素をシリコンに置き換え、意識を純粋な情報に還元するだろう。
高度な遺伝子工学やナノテクノロジーやロボット工学を利用して、意識を機械に融合できるようになっているかもしれない。
ワームホールのなかでは潮汐力や放射が猛烈になりそうなので、未来の文明は、向こう側の宇宙で全人類を再生できるだけの情報や、再生するのに必要な燃料やシールドや養分を、最小限にして運ばなければならないだろう。

そのように情報を送る目的は、ワームホールの向うで非常に小さなナノロボットを作り、文明を再生するのに適した環境を見つけることだ。
ナノロボットは原子サイズで作られるため、わけなく光速まで達し、また搭載されているのはほとんど情報のみなので、生命維持装置などの面倒なハードウェアも不要となる。

新天地となる惑星を見つけたナノロボットは、その惑星にある原料を使って大きな工場を建て、自らのレプリカを沢山作って大規模なクローン製造所にする。
この製造所で、必要な配列のDNAを作製して細胞に注入すると、有機体が再生し、その脳にもとの人間の記憶と人格を納め、ついには全人類をよみがえらせるようなプロセスが開始する。

ある意味でこのプロセスは、DNAを「卵細胞」に注入するのに似ている。
これと同様、「宇宙の卵」にも、先進文明の再生に必要な全情報が詰まっており、再生の為の資源(減量、溶媒、金属など)は向こうの宇宙で見つけることになる。
タイプⅢQのような文明ならば、このようなことが可能であると考えられる。



最後に著者は、全宇宙を調和のとれた秩序ある形で記述できる方程式があるとすれば、それは何らかの設計の存在を示唆すると思うが、その設計が人間に個人的な意味を与えてくれるとは思わない。人生の真の意味は、自分自身の意味を生み出すことにある。と述べています。

くまも思春期の頃、人間の存在意義を考えて、その矮小さに少しブルーになったりしたこともあったんですが、その時「こんな生きてることに意味を求めるような事考えてるのって人間だけだよな~…よくよく考えたら意味なんてないのかも…むしろ意味がないからこそ自分で意味を作り出せる自由があるってことで、実は楽しいことなのかもな~」って思いなおして、それからはお気楽さにさらに拍車がかかった考え方をするようになった、ってことがありまして、この著者の言葉にはもっと深い意味が込められているようですが、何だか似たようなことを考えているな~と、嬉しくなってしまいました。

また著者は考える人生の意味として、仕事や愛といった社会や他人との結びつきを大切にし、運命によって一人一人違う能力に恵まれても、望んだイメージと違う運命を呪うのでなく、あるがままの自分を受け入れ、どんな夢も自分の能力の中で実現しようとし、自分が登場した時よりも良い状態の世界を残そうとする、ということだとも述べています。

そして今現在が、様々な発見が相次ぐ、タイプⅠ文明の実現に向けて高く舞い上がるか、混沌と汚染と戦争の淵に沈むのかの決断を迫られる、人類史上最も刺激的で重要な時代である、と延べ、その大きな喜びと責任を訴えかけています。

あ、それからちょっとしたトリビアも書かれていて、面白かったのが、
オルバースのパラドックス
「輝く天体の宇宙分布が無限遠まで一様で、平均高度も場所によらないと仮定すると空は無限に明るく光輝くはず」
を歴史上初めて解決したのが、物理学者でもないアメリカの怪奇小説家エドガー・アラン・ポーで、「ユリイカ」という散文調の哲学的な詩の中に書かれているそうで、またポーは、ビッグバン理論の元となる、創成時の「超原子」というアイデアを提案した最初の人物、であるそうです。


それでは。


最新の画像もっと見る

4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
すごいな~ (ブック)
2007-08-09 22:13:29
相変わらず、難しそうな本です・・・あとからゆっくり
読ませてね(笑)
ただ私、今でこそ、ラノベしか読んでないんですけど
その昔はSFが好きで好きで・・・タイムパラドックス物も好きでした
やっぱり、小説家さんと科学者さんっていうのは
紙一重のような気がしてきました
想像力がなければ考え付かないようなことですから!!
パラレルワールド物のお話なんかも作ってみたことあります
でも基本は恋愛小説なんですけどね・・・
ワープして宇宙に行った恋人が帰ってくるのを待つために
自分はコールドスリープするとかね・・・
あの頃はまだ脳も柔らかかったので「宇宙論」とか
「タイムマシンの話」とか好んで読んでたことを
思い出して懐かしくなりました
全然内容とかけ離れた感想でごめんね
ブックさんへ (くま)
2007-08-10 01:47:29
コメント、ありがとうございます!

>パラレルワールド物のお話なんかも作ってみた~
わ~~!!凄い~~!!
それ是非読ませて頂きたいですヨ~
ブックさんは、実際にお話を作り出して書かれちゃうんですもんね~~!…ホント凄いっス!

アッシの姉も、子供の頃とかお話を作ったのをノートに書いたりしてて、読ませてもらったりしたことがありますけど、アッシも頭の中では大長編傑作!(笑)とか考えてたりしましたけど、実際に書く段階までいくのって、やる気と根気が必要じゃないですか~。

最近ブログを書くようになって思うんですけど、読むのに比べて書くのってホント難しいですよね。
それがお話となると、その世界全体を作り出すほどの鮮明で詳細な想像力が必要になってくるわけですから…やっぱブックさん凄いっスヨ~!(ってしつこいです?

アッシもSF小説とか好きですけど、面白いな~と感じるの重要ポイントは、高尚なSF的背景がリアルということよりも、身近に感じられる登場人物の、周りの人間関係や思いなどに、どれだけ入り込めるか…ってところなんで、恋愛のお話、大好きですヨ! 
2回目です (ブック)
2007-08-10 13:11:49
すごくなんてないですよ~、くまちゃんのお姉ちゃんと同じ(?)で
おおまかなあらすじはできても、細かい描写ができなくて
絵が上手なら、漫画家も真剣に考えたでしょうけど
絵の表現力もなかったので、いまここにこうやっています(笑)
でも、お話を考えるのは好きでしたね~、根性はなかったけど・・
ブログサーフィンやってると、たまに自分の作品を
載せてる人にあたることがあって・・・感心します
もしもって言う言葉はあまり使いたくないですけど
私が10代の時にいまのネット環境だったら、どうなってただろうと
思います・・・思いっきり変な方向に行ってたらどうしよう(笑)
ブックさんへ2 (くま)
2007-08-10 19:19:06
いんにゃ~ブックさんはやっぱ凄いっスヨ~。(って頑固?

ブログに載せておられる「ときメモ」のアナザーストーリーとか「彩雲国」の脚本とか、ときメモはよく知りませんし、彩雲国は知ってますけど、アッシの感想が「うひゃ~!」とか「凄~い!!」とかって感嘆詞ばっかりになりそうでお恥ずかしいので、コメントは書かせて頂いてませんが、いつも読ませて頂いてて、元を知らないお話でも何と言うか世界観?雰囲気?がすんなり入ってきますし、知ってる「彩雲国」なんかだと、アニメの声優さんそのままを脳内アテレコしても、全く違和感無い感じで、凄く面白かったですもん!

>思いっきり変な方向に行ってたらどうしよう(笑)
変な方向ってどこっスか?
変な方向大歓迎っスヨ~~!!
一生ついていきます!(爆)
って勝手に変な方向を定めちゃってますね…すみません…脳が腐れてますから…