みなさん、こんにちは。
筒井哲也さんの「マンホール」全3巻、前から読んでみたいな~とは思ってたんですが、先日ネットの古本屋さんで発見したので買って読んでみたんですが、評判通りこの漫画、キモコワ面白かったです!
(↑っておかしな造語ですね…)
簡単なストーリーをご説明しますと、
夕方の買い物客で賑わう商店街に血まみれの全裸の男が現れる。
片眼が潰れ正気で無い様子のその男が、突然通行人の男子大学生に掴みかかり喀血する。
驚いた大学生に突き飛ばされた男は、後頭部を強打し死亡。その検死が行われるが、男の潰れた右眼から、蚊などを媒介として感染し、血液中に仔虫を植え付け人間の脳に寄生する、新種のフィラリアが発見された…!!
というような感じの始まりなんですが、
絵柄も結構緻密で、リアルな感じに寄生虫や蚊のアップや、感染して体中を蚊に刺された悲惨な症状なんかを描いてたりもするので、グロテスクなものが苦手な方には余りお奨めできませんが、更に恐いのはやはりストーリーの部分です。
以下少々ネタばれになりますので、お気を付け頂きたいのですが…
恐ろしいのはこのフィラリアが、人間が欲望を感じた時に視床下部で分泌される成分を餌とする特徴を持ち、その為欲望が深い人間ほど食欲や性欲や睡眠欲といった欲求を司る部分を食い荒らされてしまい、致死率は0%ではあるものの、簡単な判断力すら失ってしまう結果にもなりうる…という点です。
その人間からすれば単純にも思えるような生命からの、効率良く自らを排除する判断力のみを奪い、生かさず殺さずただ繁殖を進めるための苗床…「血袋」として存在すればいい…とでもいうかのような、冷酷な昆虫的視点というか、「利己的な遺伝子」なんて言葉がありますが、そういう普段とは違う恐ろしくかけ離れた視点に急に連れて行かれたような…そんな違和感というか不気味さを勝手に感じてしまって、ぞっとするのです。
またこのお話のもう一つ面白い点が、この事件が、現代の、欲望をコントロール出来ず幼稚で凶悪な犯罪を起こす人間達に憤り、この寄生虫を使うことによってメスを使わないロボトミー手術として、全ての人間が欲望と折り合いを付け規律正しく生活しなければ意志を失う、というユートピアを築こうと思いつめた、犯罪被害者の身内によって起こるという点です。
そこには人間にとっての「欲望」の功罪や、凶悪な犯罪を何度も繰り返す犯罪者に対する先天的なものなのか後天的なものなのかという議論や、社会の対応の問題、心や命について…等々、様々な事を考えさせられるものがあります。
この話に似た物語で、小説なんですが、貴志祐介さんの「天使の囀り」という本があります。
こちらはブラジル脳線虫を素材にしてまして「利己的な遺伝子」という点で、更に恐ろしい展開になるお話です。
同じく貴志さんの「黒い家」という小説では、生命保険を題材に、「サイコパス」と呼ばれる人達について、心理学や社会的な点からも色々と書かれていて、それを通じて、やはり「人」というものについて考えさせられるような、とても恐ろしい、面白い本です。
本日はちょっと恐い本、ということでご紹介してみました。
それでは。
筒井哲也さんの「マンホール」全3巻、前から読んでみたいな~とは思ってたんですが、先日ネットの古本屋さんで発見したので買って読んでみたんですが、評判通りこの漫画、キモコワ面白かったです!
(↑っておかしな造語ですね…)
簡単なストーリーをご説明しますと、
夕方の買い物客で賑わう商店街に血まみれの全裸の男が現れる。
片眼が潰れ正気で無い様子のその男が、突然通行人の男子大学生に掴みかかり喀血する。
驚いた大学生に突き飛ばされた男は、後頭部を強打し死亡。その検死が行われるが、男の潰れた右眼から、蚊などを媒介として感染し、血液中に仔虫を植え付け人間の脳に寄生する、新種のフィラリアが発見された…!!
というような感じの始まりなんですが、
絵柄も結構緻密で、リアルな感じに寄生虫や蚊のアップや、感染して体中を蚊に刺された悲惨な症状なんかを描いてたりもするので、グロテスクなものが苦手な方には余りお奨めできませんが、更に恐いのはやはりストーリーの部分です。
以下少々ネタばれになりますので、お気を付け頂きたいのですが…
恐ろしいのはこのフィラリアが、人間が欲望を感じた時に視床下部で分泌される成分を餌とする特徴を持ち、その為欲望が深い人間ほど食欲や性欲や睡眠欲といった欲求を司る部分を食い荒らされてしまい、致死率は0%ではあるものの、簡単な判断力すら失ってしまう結果にもなりうる…という点です。
その人間からすれば単純にも思えるような生命からの、効率良く自らを排除する判断力のみを奪い、生かさず殺さずただ繁殖を進めるための苗床…「血袋」として存在すればいい…とでもいうかのような、冷酷な昆虫的視点というか、「利己的な遺伝子」なんて言葉がありますが、そういう普段とは違う恐ろしくかけ離れた視点に急に連れて行かれたような…そんな違和感というか不気味さを勝手に感じてしまって、ぞっとするのです。
またこのお話のもう一つ面白い点が、この事件が、現代の、欲望をコントロール出来ず幼稚で凶悪な犯罪を起こす人間達に憤り、この寄生虫を使うことによってメスを使わないロボトミー手術として、全ての人間が欲望と折り合いを付け規律正しく生活しなければ意志を失う、というユートピアを築こうと思いつめた、犯罪被害者の身内によって起こるという点です。
そこには人間にとっての「欲望」の功罪や、凶悪な犯罪を何度も繰り返す犯罪者に対する先天的なものなのか後天的なものなのかという議論や、社会の対応の問題、心や命について…等々、様々な事を考えさせられるものがあります。
この話に似た物語で、小説なんですが、貴志祐介さんの「天使の囀り」という本があります。
こちらはブラジル脳線虫を素材にしてまして「利己的な遺伝子」という点で、更に恐ろしい展開になるお話です。
同じく貴志さんの「黒い家」という小説では、生命保険を題材に、「サイコパス」と呼ばれる人達について、心理学や社会的な点からも色々と書かれていて、それを通じて、やはり「人」というものについて考えさせられるような、とても恐ろしい、面白い本です。
本日はちょっと恐い本、ということでご紹介してみました。
それでは。