数学教師の書斎

自分が一番落ち着く時間、それは書斎の椅子に座って、机に向かう一時です。

卒業アルバムに

2023-04-15 09:05:15 | 日記
 新学期も始まり,高校や大学も先週から授業・講義も開始という時期かと思いますが,久しぶりに私は,誰も教えてないという状況です.趣味の方へ時間を割いて,出来るときに,目一杯やっておこうと,前向きに活動しているのが今です.

 昨夜は,週に一回の卓球の練習に出向き,少しづつではありますが,体力も戻りつつある状況です.来ている人もみな経験者ですが,私が最年長で,他の人はみな30台,40台,50台の人ばかりです.教員時代は,選手の指導ばかりでしたが,リタイヤした今は,自分のために,体力回復のために,卓球をしている感じです.私が選手を指導していたころには無かった技術も,今の卓球であり,「チキータ」はその代表的な技術ですが,この技術は確か,チェコ(?)のコルベルという選手が始めた技術ですが,今やレシーブの技術としてはもっとも有名なものです.

 そこで,この「チキータ」をマスターすべく,練習会でも毎回30分ほど多球練習で取り入れています.多球練習では7,8割がたできるのですが,実戦ではまだほとんどできませんが,何とか今年1年でマスターしたいと思っています.

 さて,そんな新学期ですが,前回に引き続いて読んだのが,

です.表紙も趣がありますね.写真の「背広姿」が主人公です.
 
 東京裁判で,文人として唯一絞首刑になった「広田弘毅」のノンフィクション小説ともいうべき,城山三郎の代表作です.

 ある種のヒーローとして広田弘毅を描いたものですが,先の半藤さんらの「東京裁判」を読んだ後で,この本を読み返してみると,城山三郎の小説家としての筆のすばらしさが,読み手に伝わってくると共に,広田弘毅が美化されているという,半藤氏らの指摘を頭に入れて読むことで,確かにこの小説の影響をうけて,東京裁判そのものを見てしまう一般の人(政治家も含めて)も多いように感じます.それでも,城山三郎のこの小説の読みやすさと文章表現の滑らかさは,読後にも頭の中に漂っている感があります.

 さて,歴史的な事件等を扱った,次の小説はフィクションとして描かれていますが,半分ノンフィクションというべきかなと.思われるのが
です.

 沖縄返還の秘密文書を徹底的に調査して,そこに隠されていた秘密暴露する中で,新聞記者として,ジャーナリストはどうあるべきかという視点を考えさせられる小説です.作者の山崎氏は他にも「白い巨塔」などの代表作もあり,氏独自の取材等からの集大成としてのフィクションですが,読む方としては,あの事件のあの人だなと分かって読む人が殆どだと思われます.その意味では,城山三郎のようにノンフィクションとして書いたほうがもっとすっきりした読後の印象になるかもしれません.また,城山三郎の筆のタッチがより洗練された感を持ったのは私だけだろうか.そもそも沖縄返還は,私が高校3年時にあったもので,卒業アルバムには,その記事の抜粋も掲載されています.

 その卒業アルバムには,当時は今でも話題になることがある,「あさま山荘事件」や「三島由紀夫の割腹自殺事件」など,今見返しても,印象的な事件がたくさんあります.まあ,それだけ私自身が多感な時代であったと言うべきかも知れませんが.

 当事者意識と今の意識との差異が印象的なことも,最近は多くなってきたように感じてしまうのは,私だけの感覚か,それとも,今の報道やマスコミ等の影響か.当時と今のマスコミの報道姿勢に違和感を思えるのは,私の世代の特徴だけではなく,現実かも.そんな視点で様々な歴史的な事件等を本で読み返してみると,新たな発見を見出せるのも最近の私の読書感覚です.