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アンテナチルト角と伝搬距離の関係

2021-02-12 15:00:00 | アンテナ

今日の移動地は標高〇mで、こんな感じのビームのはずだから、こんくれー飛ぶだべなああ、って話は移動屋さんの頭にはいつもあるはず。回折伝搬や山岳反射は別として、直接波における送信点高度とビーム幅と伝搬距離の関係は、単純な逆三角関数の関係なのでイメージしやすい。波長が短くなるほど顕著で実際交信できる相手も大体そんな感じになる。アンテナふりふりちょっとニヤニヤ、ヨシヨシと自己満したりするのだ。

移動地でよくお会いする豪華なビームアンテナな方たち、ビームと交信エリアを浅く広くか、絞って深くかのバランスに皆さん悩みどころの様子。各地の局やリピータを拾って角度をいじったりパラの平行をずらしたり、まーこんな感じだべーってなっちゃうのが実際。

それでいーやー、ミリミリ考えてもしょーがねーって方は以下は不要です。

これの同定には簡単な理論式がある。以下紹介するのは平面大地の距離関係です。実際は地球曲率の影響でちょっと短くなり、季節の大気屈折率でちょっと長くなるけど、基底知識としてとっても重要で、そこから一歩先の戦略が見えてくる。

理論式は上図にある通りだが、原典ではAbwを半値幅と定義してる点は間違っており、正しくはAbwは半値幅/2なので計算上修正した。(原典のweb計算も内部修正されていた)青色線が途中で切れるのはビームチルト角+半値幅/2が水平となり距離が無限遠に漸近化するため。

こーやってビジュアル化するといろいろ見えてくる。

例えば、Fig.2を見てみる。

標高1000mで半値幅10度のアンテナをチルト(横軸)させたときの伝搬距離(縦軸)の関係だ。以下、実験した10段コリニアアンテナ(半値幅約10度、チルト角約5度)を例に考察する。

Fig.2から半値幅カバー範囲は近地点:5671m、遠地点:無限なのが分かる。(勿論電界強度は有限なのでそのツッコミは堪忍)つまり、送信地点から5.7Km先の標高0m地点では電界強度がビーム中心より3db落ちる。一般的なSメータならSが1落ちるだけなので屁でもない。ここまでは誰でも直観内。

では、ビーム中心から何度ずれるとSがいくつ落ちてその距離は?

実験コリニアの指向性-14度の受信強度を見る。-12dbだ(3dbステップSメータで4落ちる)。これをFig.2のチルト角に置き換える。チルト角14度のビーム中心点の距離は4609m(チルト角14度の(遠地点+近地点)/2))。つまり、送信地点から4.6KmでSは4落ちる。近隣局なので元々強力信号ならそれほど心配はないが、そーじゃない局の場合、混信や高ノイズ等に埋もれる可能性が出てくる。これは垂直ビーム幅が狭いアンテナほど顕著になり、Sが大幅に落ち込むことは容易に想像できる。ちょっと回りくどいか、、要は、自分のアンテナのリアルなビームパターンを知ってればビーム中心から何度ずれたら何db減衰するか分かるんだから、その角度の信号強度と伝搬距離がグラフから同定できるってだけのこと。まあ、当たり前のことですね。

チルト角は電気的に作ろうが機械的に傾けようが同じなので、自分のアンテナの半値角やビームパターンを数字で知り、ターゲットの距離範囲に合わせたチルト角の設定をするのが道理になるんでしょうね。グラフが一助となれば幸いなり。

実環境はこれに加えマルチパスの影響が甚大で、局の存在有無は別として特定エリアのマルチ落ちの主因な感じもします(マルチがパスされるからマルチパスじゃないw)。移動地におけるアンテナ地上高の影響とか、コリニアのようなブロードサイド系は遠距離を拾いやすいという話も聞くので、ブロードサイドとエンドファイヤ型ビームの対マルチパス特性なんかもビジュアル化してみようかなと思ってます。



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