まりはな屋

地方都市で、清貧生活  

一長一短

2007年08月05日 18時30分42秒 | ごちそうさま
20代の頃は、色々なお店に食べに出かけた。

美味しいものを食べたい、美味しいものを出すお店を友人知人に紹介して

一緒に楽しみたいという思いが強かったからだ。

いつとはなしにそれをやめたのは、美味しいものを出すお店が

ほとんどないと気付いたからだ。

1000円のランチも、ン万円のディナーも

外で食べた物で美味しいと思えたものはない。

店の雰囲気や調度品に趣向は凝らされているし

盛り付けもきれいだけど、味は今ひとつだった。

ランチは特に、味もメニューも凡庸ということが多く、

早く提供できるものにメニューが限定されるせいだろうか。

巷にうまいもの屋がないとわかっていても

友人と食事するときには、目新しい店やタウン誌に紹介された店に出かける。

まったく期待はしないのだが、話のネタにはなる。

昨日も、そんな店の一軒に出かけた。

まだオープンして3ヶ月にも満たない店で、

倉庫を改造したということで、外観から想像できないくらい中は広い。

奥行きもずいぶんあり、照明が暗いこともあり迷路のようだ。

千と千尋の湯屋みたいじゃない?

友人も同じことを考えていたという。

店内に水が流れていたり、なかなかの雰囲気だ。

全室個室というのが珍しい。

他の客と顔を合わさず、会話もあまり聞こえてこないので寛げる。

ランチは数種あったのだが、

日替わりの和食か中華から選べと書いてあるだけで

今日のメインが何かわからない。

たいがい、本日のお肉とかお魚とか書いてあるのだが。

注文を聞きに来た店員さんに聞くと、メモ帳を取り出して

「和食が地鶏のなんとか、中華が海老のなんとか」。

聞かれるからメモしておくんだろうから、各室に置いておけばいいものを。

わたしは中華、友人が和食を頼む。

メインが違うだけで、ご飯、味噌汁、サラダ、おばんざい、飲み物が付く。

運ばれてきたお膳には一目でインスタントと分かる味噌汁。

サラダはレタスをちぎっただけ、味の濃いドレッシングがかかっている。

おばんざいと名付けられた一皿は、出来合いの小さなゴマ豆腐が一切れ

業務用のパックから出してきたような、これも出来合いの小さな玉子焼き。

どちらも不味い。

肝心のメインは、見た目が悪い上に味も凡庸で

久し振りに、いいとこなしのランチを食べた。

見かけ倒しの店には慣れているけれど

可も無く不可も無くといったことが多い。

この店は不可のオンパレードだった。

味噌汁は、温め直すと味が落ちるし具が溶けるというリスクはあるにせよ

大量に作ったほうが味が良く、保温性も高いから

そんなに頻繁に温めず、手早く用意できるはずだ。

それを、インスタントで済ませるとは大胆な。

もっとも、味はどうでもいいが

雰囲気を楽しみたいのなら最適の店かもしれない。

特に若いカップルとか不倫カップルには受けそう。

なんたって個室だし。

かくいうわたしも、食事は不味かったけど居心地がよかったので

つい長居してお喋りしてしまった。

雰囲気はいいが不味い店、と思うからいけないのであって

不味いが雰囲気のいい店、なら許せる気がする。
コメント
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