いらっくま（もしくは、いらんくま）

入浴後、化粧を落としたわたしの顔を見た母が

「どうして鼻が青いの？」

ああ、もうそんな季節になったのか。

子供の頃からなぜか、寒くなってくると鼻の付け根から鼻筋に沿って青く見えるようになる。

肌が薄く血管が透けているのが、寒くなって血行が悪くなると目立つらしい。

「殴られたの？」と聞かれたのも一度や二度ではない。

しかし「鼻青」は大して気にしていない。

気になるのは目の下のくまである。

子供の頃から目立つ。

子供だから疲れや寝不足のはずはなく、もちろん肌が薄いために目立つのだ。

「XXちゃんの目の下、どうして茶色いの？」と聞かれ

はて、どうしてだろうと思い始めた子供時代から今に至るまで

目の下のくまが消えたことはなかったが

化粧をするようになってからは、大して気にも留めないできた。

それが今や、化粧をしてもなんだかとても気になるのだ。

加齢に伴い目元がたるみ、くまが目立つようになったというのもあるし

数年前からどういうわけか目元が痒く、病院に行っても埒が明かず

寝ている間に掻いてしまうため、色素が沈着してしまったせいもある。

このくまさえ目立たなければ、もっと若く見えるのに・・・

などと、くだらないことを考えて嘆いたりする。

とにかくいつも疲れたような顔になってしまうのが嫌なのだが、

実際いつも、なんやかんやで疲れているのだ。

なんやかんやってなにかと聞かれると困るが。

空耳？

休憩室から出てきた同僚の若い娘が

「XXさんの携帯、『赤とんぼ』鳴ってましたよ」と言う。

なんだって？

電話の着信音はベル音だから、メールの音か。

しかしメールも『赤とんぼ』ではない。

あれ、わたしのメールの音なんだったっけ。

確かこの前変えたばかり・・・

思い出した。

「アメイジング・グレイス」のオルゴールバージョンだ。

なるほど、赤とんぼと似てなくもないが。

あれはアメイジング・グレイスだよ、と訂正したが娘は

「いえ、あれは赤とんぼです」と言い切る。

なんのこっちゃ。