万葉集ブログ・2 まんえふしふ 巻九~巻十

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1787 笠金村歌集

2010-11-23 | 巻九 相聞
天平元年己巳冬十二月歌一首(并短歌)

虚蝉乃 世人有者 大王之 御命恐弥 礒城嶋能 日本國乃 石上 振里尓 紐不解 丸寐乎為者 吾衣有 服者奈礼奴 毎見 戀者雖益 色二山上復有山者 一可知美 冬夜之 明毛不得呼 五十母不宿二 吾歯曽戀流 妹之直香仁

うつせみの 世の人なれば 大君の 命畏み 敷島の 大和の国の 石上(いそのかみ) 布留(ふる)の里に 紐解かず 丸寝をすれば 我(あ)が着たる 衣はなれぬ 見るごとに 恋はまされど 色に出でば 人知りぬべみ 冬の夜の 明かしもえぬを 寐も寝ずに 我れはぞ恋ふる 妹が直香(ただか)に


729(天平1)年・己巳・冬12月の歌一首(ならびに短歌)

「“うつせみの”(私は)人並みの人間だから、“大君の”(天皇の)勅令を畏み、“敷島の”大和のくにの、石上・布留の里に(同行した)。(宿で下着の)紐を解かずに、着衣のまま就寝したので、自分が着ていた、衣類はよれてしまった。

(いろいろなものを)見るたびに、(妻への)恋は募るが、(顔)色に出せば、人が(自分が妻を恋しがっていることを)知るので、冬の夜が、明けてしまっても、一睡もできずに、私は恋焦がれたまま。(そばにいない)妻の気配を(感じてしまう)」

●奈良県天理市布留町