たかたかのトレッキング

駆け足登山は卒業、これからは一日で登れる山を二日かけ自然と語らいながら自由気ままに登りたい。

21年前の天城山(万二郎・万三郎岳)

2023年01月13日 | 心に残る思い出の山

歩行 4:40    休憩 1:40

天城高原の夜は深々と冷え、まんじりともせずに夜が明けた。夜通し車を揺らしていた風は朝になっても治まらない。お陰で雲一つない晴天だったが寒さは厳しい。雄さんが作ってくれた鍋焼きうどんで体を温めていると広い駐車場に一台、車が加わった。群馬ナンバーだった。「こんな事も有るのかねぇ」相手もきっとそう思った事だろう。

登山口には「アイゼン、ストックの無い者は入山を禁ずる」の立て看板が有ったが足元の雪は所々凍結しているもののアイゼンを履く程ではない。万次郎・万三郎の分岐点を左にとり先ずは万次郎だけを目指す.

     

小1時間も歩くと雪に埋もれた静かな万次郎岳が迎えてくれた。展望なし。空気がとても冷たい。私は此処でアイゼンを装着した。

山頂から少し下って岩の上に出ると突然、視界が開けた。岩が重なる狭い場所だが太平洋を眼下に、そして伊豆の山々の上に富士山が望める展望台だ。特に風の強い今日は鮮明にピントが合っている。去りがたい眺望で有ったが何せ風が強い。再び風の無い樹林帯に入る。

  

勿体ないほどの下降を終えたあと穏やかな雪面の起伏を繰り返す。シッカリ踏み固められているので走り根や石のごろつく夏道より余程歩き易い。気が付けば辺りはアセビ一色。群馬では見られない独特の雰囲気だ。しっとりと落ち着いた樹林帯だった。

アセビのトンネルを抜けるとブナ林に変わった。裸木だが苗か気持ちが良い。野鳥の声も加わって一層、清々しさが漂った。少し入った所にブナの大樹があるとの事。登山道を外れ雪原に踏み込む。大きく枝を広げて今なお生命力旺盛だ。

   

万三郎へ足を向ける途中、振り返ると先ほど頂を踏んだ万次郎だけが望めた。アイゼンを装着している私は余裕で登ったが「未だいい」と言って装着していない雄さんは雪面から目が離せない状態。

入山から3時間、垢抜けした感じのする万三郎岳に到着

僅かに開けた木々の小窓から富士の姿が見える。眼下の山は鍬で砂を飽き集めた様にちっぽけに言える。それほど富士は大きい。

 

昼食には未だ早く誰も居ない小寒い頂に座って35分間の心地よい時間を楽しんだ。万三郎岳からの下山道は急峻の上にアイスバーンが続く。6本爪アイゼンを装着していても怖いくらいだ。登山口の警告に偽りは無かった。

 

1時間近くアイスバーンと格闘して水場に到着。水場と言っても雪に埋もれていて何処が水場か分からなかったが人間と言うものは緊張が続いた後、案内板を見つけるとザックを下ろしたくなるもの。ここで35分間の昼食タイムをとり14時30分、無事登山口に着いた。広い駐車場には愛車のミューだけがポツンと帰りを待っていた。

今宵の宿は国民宿舎「中伊豆荘」だ。部屋の窓からも浴場の窓からも富士の眺めは見事だ。脇に居並ぶ南アの銀嶺もまた素晴らしい。

雪に富士山が暮れなずむ夕陽を受けて純白の姿を仄かに染め始めた。外には二人のカメラマンがシャッターチャンスを狙っている。慌ててカメラを取り出し外に出たが少々遅かった様だ。

翌朝の宿の請求書。酒代はサービス?

伊豆の旅に続きますのでコメント欄はお休みです。


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