たかたかのトレッキング

駆け足登山は卒業、これからは一日で登れる山を二日かけ自然と語らいながら自由気ままに登りたい。

日光・太郎山(2328m) ハガタテ薙を通る裏ルート

2021年02月22日 | 心に残る思い出の山

H11・6月

 

 

今年は空梅雨なのか連日真夏日が続いている。今日も気温の高い一日になりそうだ。戦場ヶ原に差し掛かると丁度ズミの開花期で、その量の多さたるや半端じゃない。

入山口を探していた雄さんが「入山禁止だそうだ」と言って戻ってきた。   1台、車が停まっているところを見ると警告を無視した様だ。朝食をとっていると夫婦連れも入山者カードを見たりしながら暫く躊躇っていたがロープを潜って入山して行った。身支度をし私達も6時45分出発

矢島市郎氏の句碑「白樺は月が夜来てさらすらし」

初めはカラマツ林の中、宙を舞うシロバンバやズミの花を愛でながらの緩やかな登りだった。やがて荒れた沢を紅いペンキ印に導かれて進んで行くと、いよいよ危険地帯ハガタテ薙のガレ場となる。

左斜面を見上げると、辛うじて落石を免れたが落ちるのも時間の問題と思える大石が幾つか目に留まり鳥肌が立ち緊張が走る。私達はV字谷をなるべく右寄りに沿って歩いた。それが終わると今度は砂礫の混じった斜面。これも崩落の置き土産なのだろう。

振り返ると登って来た谷が遥か下方に沈み戦場ヶ原の広がりのその上に日光白根山が覗いている。

実は今日、青ちゃんに丸山スキー場から日光白根山へ行くルートが開設されたので行かないかと誘いを受けていたのだが、あまり気乗りせず返事もしないまま今日、太郎山に来てしまったのだ。彼らは今どの辺りを歩いているのだろう。今、私達は踏ん張りのきかないザレた傾斜地と格闘中でーす。

下を見ると谷底はかなり下方に沈んだが上を眺めても稜線は姿を見せず体力的にも少しずつ余裕がなくなってきている。帰りに辿る山王帽子山の斜面には白骨の様なコメツガの樹木が飄々と侘しい。 “一歩一歩、足を前に出していればその内、着くさ”

シャクナゲが咲いてる!」思わず声を張り上げた。まるで「お疲れ様!」と言っている様に・・・そこは太郎山と山王帽子山の分岐点だった。分岐を右に取り先ずは小太郎山を目指す。見事な巨木が立ち並ぶ静寂な風景が広がる中、ミヤマカタバミの白い五弁が浮き立っていた。

背後に人の声がする。雄さんがあまり派手で無い山桜にカメラを向けていると、それから間もなくして60歳は越えていると見える男性が一人、追いつき入山ルートを聞かれたので応えると「いけない人!」と優しく言って通り過ぎた。きっと山王帽子山を経てやって来たのだろう。・・・独り言を言いながら登って来た小父さんこそ変な人(笑)

分岐から45分、体力を駆使して樹林帯を抜けると広角の展望が広がる小太郎山に着いた。先ず目を奪われたのは、やはり大きく動じない男体山だ。一度登った山なので親しみを持って眺められる。

     ↑(男体山、その奥に中禅寺湖

その右下に目を凝らすと鉛色の中禅寺湖も確認できる。一息入れ改めて遮るもののない展望に目を凝らすと一つ一つ同定してみると、その中には百名山が5山。展望のみならず標高2328mのこの山が300名山の一つと言う事はちょっと寂しい。私だったら絶対、太郎山を百名山に加えたい。

うっかり見逃すところだったが峰の脇に咲くミヤマキンバイの美しさに近づいてみると陽光いっぱいの南側斜面はミヤマキンバイは勿論、タテヤマリンドウコイワカガミが、それこそあっちにこっちに。 ついつい興奮してしまった私はカメラを持って斜面をウロウロ。

気が付くと25分も時間がたってしまっていた。大展望と花を満喫した私達は大満足でザックを背負い太郎山へと歩をすすめた。(左奥に座っている人が先ほどの変な小父さん)  続きます(コメント欄はお休み)

コメント (4)
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