たかたかのトレッキング

駆け足登山は卒業、これからは一日で登れる山を二日かけ自然と語らいながら自由気ままに登りたい。

(続)中里村 諏訪山

2021年01月22日 | 心に残る思い出の山

続き

展望台への案内板に従って階段を上ると、そこは小さな祠が置かれた山頂、展望台とは名ばかりで大木に囲まれた薄暗くジメッとした山頂でした。(数年後、登った時には周辺の木々は伐採され見晴らしの良い山頂になっておりました)ここでお弁当を広げる気にはとてもなれず案内板の有る場所まで引き返す事にした。 登山道ではあるが今日辺り登って来る人は先ずいないだろう。

芽吹きの煙るような緑に抱かれ春霞かかる間物(まもの)集落の望める此処で先ずはワインで乾杯。風はそよとも吹かず日差しはポカポカと気持ち良い。 ザックを枕にほろ酔いの体を横たえていると次第に惰気を催し何時の間にか二人の会話が子守歌となって2~30分寝てしまった。

帰路、九十の滝コースを行くか往時を戻るか迷ったが同じ道を歩くよりも景色の違った道をとろうと言う事になり未だ芽の硬いタラの木や馬酔木の白い花を見なが吸い込まれる様に谷へと下って行くと、そこは一面のヤブレガサ

殆どが綿毛の付いた傘をすぼめている。お浸しにすると美味しいと言うNさんの言葉を信じ少し摘んでいく事にした(夜さっそくお浸しに。傘の部分は中々美味しい、茎に苦み有り)

川の流れがだいぶ下方に落ち雑木の気持ち良い道を下って行くと樹間にとてつもなく長い滝が岩を滑り落ちていた。どうやら、この滝が九十の滝らしい。少し先の端は観瀑台になっており滝の全容が眺められる。距離が有るので迫力には欠けるが全長40mは左程、面白味のない山中、良いアクセントになってくれた。

此処からはアスファルトの林道歩き。萌えだし始めたカラマツの新緑は私に再び活力を与えてくれた様だ。 登山口から歩いて漸く間物集落が真下に望める国道(R299)に出た。→「国道と言っても秩父へ抜ける山間の狭い道です」

朝は車の中だったので細かな部分にまで目を向けられなかったが、こうして歩いてみると庭先に咲く草花、桃、桜が山間のこじんまりした集落を明るく飾る長閑な山村だった。

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欲しかった下駄を父親に買って貰った少女は嬉しそうにカタコト音を立てながら遊んでいた・・・が、少女はそのまま姿を消してしまった。井戸に浮いた下駄を発見したのはそれから数日経ってからだった。 しかし少女の死体はあがらなかった。 悲しみも癒えた或る日、山仕事に出かけた父親がそこで目にしたものは・・・鯉の背中に乗って間物沢川を髪を振り見出し下って行く我が子の姿だった。 ←以前読んだ小説

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道沿いは桜の花が咲き春の草花が咲き、それなりに楽しいが峠に向かう道は勾配がありそして長い。「誰か駐車場まで載せてってくれないかしら。でも私達では止まってくれる車はいないわね。この役目はTさんよね」と冗談を言っていると後ろで車の停まる音。

「エーッ!停まったよ」 私とNさん、今、振り向いたら元も子もないと正面を向いたまま顔を合わせニタリ。  と言う事で未だ先の長い道を数分で駐車場に着く事が出来た。 名前も聞かずお礼だけ述べただけだったが「あの小母さん二人が居なかったらなぁ」と運転手君、内心、思っていただろうか。

コメント (15)
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