八十八夜

学生時代から大好きなマンガの2次小説です

まやかし婚60

2021-12-10 08:00:00 | まやかし婚(完)

 

 

司様がマスクをつけて出社しました。

こんなことは初めてです。

しかも、妙に機嫌が悪い。

 

エントランスにいる女子社員は

「マスク姿もカッコいい!」

「今日も素敵だね。」

「風邪気味かな?」

「私に風邪を移してくださいっ。」

なんて好き勝手なことを挨拶の合間にコソコソと言っています。

 

そんな女子社員の中で、向こう側からこちらへ向かって歩いてきた道明寺夫人。

この方、唯一、一人だけ

司様の姿を認めた後『フンっ』って効果音がしそうな勢いでそっぽを向かれました。

それを見た司様が、ますますイライラされたのがわかります。

 

おやー。

新婚早々ケンカですか?

新婚と言っても契約で、愛の無い契約結婚の新婚ですけど。

 

さ、西田の出番です!

こんなエントランスに長居は無用。

さっさと執務室へ急ぎましょう。

 

執務室に入るなりマスクを外された司様。

そこにはくっきり女性の手形があります。

 

「その手形は牧野さんのでしょうか?」

私の疑問に

 

「あの女っ、俺に平手打ちを食らわしてきたんだ。」

こう怒りながら司様が話し出したことが…。

 

牧野さんは掃除機を掛けた後、窓を全開にされていたらしい。

あのペントハウスは30階ですよ。

換気扇を回さないのが牧野さんらしいですね。

 

その後、強い風が吹き牧野さんのパンツを見てしまったらしいのです。

それだけなら「見てない。」で済むのに…。

 

この上司は「やりぃっ!」なんて余計な事を言ったようです。

本当に余計なひと言です。

口は災いの元です。

 

それで、この手の形が付いてしまったのですね

自業自得です。

 

「司様。私の疑問なのですが。」

私はふと疑問に思ったことを聞いてみました。

 

「司様は牧野さんのパンツを見たと仰られましたが、本当ですか?」

私の疑問に司様は変な顔をして

 

「ケツにはいていたらパンツだろ?」

堂々と返事をしてきました。

 

ですが、西田はこのように思うのです。

「この季節、女性が素足のままスカートとは思えません。牧野さんは、タイツを履いていませんでしたか?」

 

私の質問に

「あ、そう言えば足が黒かったな。」

司様は私が思った通りの答えをしてきました。

 

足が黒い時点でタイツを履いているとどうして思えないのでしょうか?

流石!童貞でございます。

24歳で『ケツにはいていたらパンツ。』等と言えるのは司様くらいです。

 

童貞なので、女性を脱がしていく楽しみを知らないのですね。

なので《ガードル→タイツ→ショーツ》という女性の下着のルールをご存じでは無いのです。

 

私個人的な意見としては、あまり着こまれているのは好きではありません。

脱がすのが大変です。

ですが、殆ど着てないのはありがたい反面、脱がす楽しみも無い。

味気ないとでも言いましょうか。

 

もっと個人的な意見としましては、ガーターベルトと遭遇してみたいと思っていましたが出会うことはありませんでした。

出会ってみたかったですね。

 

あと、困るのはキツキツの下着。

あれは脱がすのが一苦労でございます。

 

女性の細い指なら隙間から入るのでしょうが、男性の指は女性より一回り太くなっております。

この辺りも下着会社の方には《脱がす楽しみ。それでいて脱がしやすい下着》の企画をしていただきたいものです。

 

おっと!

西田の女性への下着の意見はさておき…。

司様はパンツと思い喜んでおられますが、ここからは西田がボンクラに指導していきます。

 

ガードルをパンツと思って喜ぶ司様を

少しだけほんの少しだけ童貞だからお気の毒と思いながら、心の中で笑ってしまいました。

 

だから、私は言いました。

「司様が見られたのはショーツ、司様のパンツと思われているのではなく。タイツと《毛糸のパンツ》です。」と。

 

いつまでたっても、処女でないと無理とか訳の分からないことを言っているからこんなことになるのです!

司様は一生、ガードルの存在を知らないまま、棺桶に入ってもらいましょう。

 

 

 

西田は俺の話を、今にも笑いそうにしながら聞いていた。

なんでも、女はパンツだけじゃなくってタイツやパンストや毛糸のパンツっつーのを、スカートの中に履いているらしい。

 

「何の為に?」

っつー俺の疑問。

 

「なんとかこれ以上、見苦しい体系にならない為の無駄な努力です。年月と重力は恐ろしいのです!」

と、西田は力説してきた。

 

「ですが、これを女性に言うべきではありません。女性は最強です。ソフトに『女性は冷え症だから。』などと言われるのが良いでしょう。」

と教えてくれたんだ。

 

女性は冷え症って言うの、か?

だから、毛糸のパンツなんだな。

体系が見苦しくなるのに毛糸のパンツでなんとかなるのか?

女って、よくわからねーな。

 

毛糸のパンツは俺にはわからねーけど、年月や重力はタマを見たら一目瞭然だよな。

確かに牧野は最強だ。

 

ババアも姉ちゃんも、タマも最強だからな。

俺は牧野の為に、あるものを取り寄せるように手配した。

 

 

 

お読みいただきありがとうございます。