「 山の沼にボートが二艘 」2010画 水彩画―(12)
いよいよ8月に入って暑さはますます衰えを知らないようだ。冷房嫌いな私も熱中症防止で、
四六時中クーラーの部屋にいるのでいささか調子が悪い。
すっかりTVの前に座りっぱなしのこの数日である。それで目につくのがかなりの誤審である。
決勝戦で不可解な合わせ技1本を取られて負けた三四郎。その直前には素人目にもこれは1本
だろうというのが認められずの敗北だった。
一瞬怪訝な顔をしたが、抗議もせずにすぐ平静になり、相手を祝福して畳を下りた。
これが日本の武道の精神だろう。勝っては大口を開けての大騒ぎ、負ければ抗議を執拗にしたり
泣き喚いたりの場面を連日見て来たからか。
あの三四郎の態度がやけに爽やかに見えた。母が米国人で父親が日本人でアメリカ生まれだそうだが、
生粋の日本人の精神を見せてくれた。ちょっぴり古い日本人像かも知れないけれど。