maidoの”やたけた”(ブログ版)

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神さん-3/4-何で又、神さん?

2021-08-20 09:49:03 | 支離滅裂ー妄言虚説ー神さん

実は、マゴ共にお前のおじいちゃんはなぁ、その又前はなぁ、と書いて置いてやろかいな?と調べてたんです。
嘉永までは記録も有るし、直の先祖やから話は簡単。
ところがそれ以前の事となると、文献と伝承が頼り。
天正に跳んで、あろう事か和銅、その又先は海を渡って中国の戦国春秋、挙句に周まで行ってしもた。

嘉永までは間違い無い、途中がスッポ抜けてるけれど、天正も丸っきりの嘘でもなかろう。
けれど、それ以前となると御伽噺というか眉唾もの。
まして、和銅以前何んぞは、それこそ記紀編纂に絡んで、急遽つじつま併せに捏ね上げたに違いない。
本来の伝承の本系帳の方は、「天皇家より四代も古いというのは少々具合が悪いから、秘密にしてた」等と言うてるけど、書かれた時期はどうやら平安の一寸前まで位までしか遡れんらしい。
総本家は「伝来の古い文書をその時期に写本したんや」と言うてるが、その原本のカケラも無いそうやから、大きな声では言えんけど、説得力に欠けますなぁ。
こうなると、虚実の決め手なんぞが在るで無し、かえって気楽で、それも面白かろうと調べてたら、訳が判らんようになってしもた。

何時もの悪い癖で、元々やろうと思ってた事はそっちのけになってしもて、ついつい枝葉の横道へ迷い込んでしまいましてね。
メモの積りで打ち込んだ、神さんがらみを纏めようかいな?と思ったけれど、見事に失敗、又もや支離滅裂な妄言になってしまいましてん。

神話も学問として研究したら大変でしょうが、ド素人の気楽さで文庫本等を頼りに調べてると中々面白いんですわ。
日本の土着の神さん方は、ヤマト国家が成立する過程で、服従させたり帰順させた、それぞれの部族の神を、名、形、性格、時には性別まで変えられて、ヤマトのアマテラス系の神話に組み込まれて行ったんですね。
そこそこの勢力の部族の神の場合は、自分等の神であるアマテラスの兄弟姉妹、親族にしたりするから、突然妹神が湧いて出たりするんですよ。
部族の神もやけれど、部族の首長や部族そのものも神として描かれてるらしいんですなぁ。
読めば読むほど輻輳して、神さん同士の関係が判り難いというか、元々が整理されてないみたい。

しぶとく抵抗した連中の神さんでも、無視出来ん勢力の場合は懐柔策でしょうなぁ、神として神話に組み込んで、弱小勢力の連中の神さんは可愛そうに化け物、魔物にされたりしてるようです。

古事記に「尾のある人」として出てくるのはウチの先祖らしいで、と言われても、そんな奇怪な有尾人では嬉しゅうないね。
どう書かれているかといえば、

「古事記 中巻」
從其地幸行者、生尾人、自井出來。其井有光。爾問汝者誰也、答曰僕者國神、名謂井氷鹿此者吉野首等祖也。
即入其山之、亦遇生尾人。此人押分巌而出來。爾問汝者誰也、名謂石押分子。今聞天神御子幸行。故、参向耳。此者吉野國巣之祖。
【概ねこんな意味ちゃいますか】
それから行くと尻尾のある人が井戸から出てきたんです、井戸の中は光ってますねん。「あんた誰?」と聞いたら、「私地元の神でイヒカ言う名前ですわ」此れが吉野のオビトの先祖でんがな。
ほんでから、その山に入っていったら、又尻尾の生えた人に出会いましてん。此人岩を押し広げて出て来たんでっせ。「あんた誰?」と聞いたら、「私地元の神でイワオシワケです、いま天の神さんのお子さんが来はると聞いたから出てきたんですわ」此れが吉野のクズの先祖でんがな。

「日本書紀 巻三 神日本磐余彦天皇  神武天皇」
至吉野時、有人出自井中。光而有尾。天皇問之曰、汝何人。對曰、臣是國神。名為井光。此則吉野首人部始祖也。更少進、亦有尾而坡磐石而出者。天皇問之曰、汝何人。對曰、臣是磐排別之子。排別此云飫時和句。此則吉野國樔部始祖也。
【概ねこんな意味ちゃいますか】
吉野まで来た時に、井戸の中から出てきた人がありまして、井戸の中は光ってて、尻尾がおまんねんで。「あんた何者やねんな?」と天皇が訊ねたら、「私この地元の神でイヒカいうなまえです」これが吉野首人部の先祖ですなぁ。さらにちょっと進んでいったら又尻尾の有るのんが、今度は岩を押しのけて出てきたんです。「あんた何者やねんな?」と天皇が訊ねたら、「私イワオシワクの子です」。排別はオシワクと読んでね。此れが吉野クズの部(ベ)の先祖でんがな。

尻尾があると言うのが気に食わんけど、ヤマトに敵対したような形跡はおませんなぁ。
ウチの先祖の本流は、日向から四国を経て紀ノ川、吉野川流域に移ったとされてるんですが、一部は残留したか置いてきぼりか、兎も角日向に残ったらしい。
今でも宮崎県から福岡県東部にかけて、読み方は違うけれど同じ苗字がパラパラッと居てるようです。
もともと、ヤマトとの間には友好関係が有ったのかもしれませんねぇ。

してみると、ウチの神さんは「アマテラスの妹」とも取れるような書かれ方をしてるのも頷けるかな。
山師、採鉱の働き人(ハタラキド)の一族の神としては破格の扱いやけれど、出番が至って少ない。
神さんもやけれど、人間様の方も、善悪どちらの方でも、歴史に登場するような大それたんは居りませんねぇ。

どっちみち、人間は人間から生まれるんやから、皆んな元を辿れば百二十八代どころか原人までつながってる筈でんがな。
証拠いうたら、今現在人間として生まれてるんやから、これほど確かな事は無い。
桃から生まれたとか、「先祖は確かにカササギでほれ此通り、過去帳にも乗ってます。マゴの鳴き声なんかカササギそのまんまでっしゃろ」とか「先祖はヤマタのオロチでおます。ベロの先が2つに別れてるのんが証拠」てな人がいてる訳が無い。

先祖がまことしやかな作り話をでっち上げたか、そんなしょうも無い事せぇへんかったか。
子孫が面白がって言い伝えたか、あほらしいから子供には言わんかったか。
丸っきりの嘘とまでは言わんけど、家系や系図てなもんは、そんなもんでっせ。
系図をでっち上げる専門の職業や、系図の売り物も有ったらしいですなぁ。
「源氏の出物おまへんか?」「今切らしてますなぁ。輸入物で広開土王はんのんでよかったら安うしときまっせ」てなこと言うてたんやろかねぇ?

先祖が神さん、天皇、将軍であろうが、水呑百姓、雑魚採漁師、紙屑拾いで有ろうが、自分個人の値打ちとは何の関係もあれへん。
中国の誰やらも「何ぞ貴種あらん!」と言うてますがな。
ただ面白いから、子や孫に話の種にと思うたけれど、やっぱりハッキリしてる六代くらい前で止めとこかなぁ?と只今思案中ですねん。

2003/12/28:初出(旧OCNホームページ)
2021/08/20:再録

【妄言虚説-神さん 2/4】【妄言虚説-神さん 4/4】



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