不安な一日

アタシがテツさんとの電話の中で、両親の話をした。

両親は何も知らず私たちが結婚することを望んでいること。

付き合って２年も経つのに挨拶すらこないこと。

１０歳も年上で結婚暦ありの男なのにそういった礼儀のなってないこと。

父も母も私の幸せを心から願っていること。

それを泣きながら伝えるとテツさんはつぶやいた。

「まいちゃんのご両親の言葉は・・・間違っていない。そのとおりだよ」

ちょっとフェイクも入った両親のことだけど、テツさんの心には響いたようで。

それでも最後にはケンカになってしまった。

アタシはテーブルを殴りつけたり物を投げつけたりしていたので、気づいたら腕や手に痣ができてしまっていた。

結局その日は会社を休み、昼にまた電話でケンカをして、修復は不可能なところまで来た。

アタシはやっと自由になれると思って、テツさんの一緒になる直前までメールをしていたＴという人物にメールをした。

その人はスタビで知り合った１つ下の男性で、少なからずアタシのことを気に入ってくれていた。

急なメールでも驚いたものの、すぐに昔のようにメールをやりとりするようになった。

アタシはやっと普通の恋愛ができる、いや、普通に異性と連絡がとれる喜びを感じ取っていた。

束縛される毎日。そんな日々ともおさらばだった。

結局アタシが酒の力を借りて眠りにつくまでＴはメールに付き合ってくれた。

テツさんからは何もアクションがこないのを不思議に思いつつ、これで本当に終わったと思っていた。


だけど、聞き覚えのあるエンジン音で目が覚めてしまった。

窓から下を覗くと、そこにはテツさんがいた。

家の周りをウロウロしている。

まずい、ノックされるか。

それでもなぜか会わないといけないと思い、服を着た。

ドアを叩くような音がしたと思ったら、テツさんは車に乗って去って行ってしまった。

どういうことだろう。

部屋の電気が消えていたから諦めたのだろうか。

答えは翌朝知ることになる。