スシの暗黒狂

挫折した理系人の狂的科学空間

そういえば忘れていたことが・・・

2008-03-17 00:50:57 | 科学・技術・教育
30代ポスドクの就職問題だが、一つ忘れていた点がある。

かつて日本育英会(現独立行政法人 日本学生支援機構)の大学院の奨学金はアカデミックポストに就いて15年たつと返還を免除するという規定があった。(平成16年度から廃止)

当時の博士後期課程の学生がほとんど民間企業を志向しなかった大きな理由の一つに、これがある。
当時月額11万円ほどの奨学金を3年間借り続けたとすると396万円。
修士課程(約8万円×2年間)から借り続けていたとすると合計で588万円。
民間企業に就職すると、無利子とはいえ、これを15年で返済しなければならず、返済するとなれば結構な負担である。
この経済的なインセンティブが博士課程進学者をアカデミックポストへと駆り立てる最大の要因ではなかったか・・・

前言ををひるがえすようだが、今振り返ってみると、私の大学院時代でも博士課程修了だからといって民間企業が全部ダメだったかといわれればそんなことはなかった。
私は工学部情報系出身なので情報系の企業しか知らないが、当時情報系の大手企業は博士課程修了でも(大手ならば)募集・採用はあった。
#私の先輩に実際に大手情報系民間企業就職した人はいた。

ということは、この奨学金制度による経済的なインセンティブが悪い方向に働き、現在のポスドク問題の原因の一つになっているということはないのだろうか。

だとすれば、当時必要だったのは民間企業に就職しても(大手企業に就職すれば)返済の負担に耐えられるだけの給料はもらえますよ、という情報を広く流布させることではなかったか・・・?

アジアは投資を求めている

2008-03-05 21:11:26 | 政治・経済
今日の日経の国際面によれば、タイ政府は上場企業の法人税率を30%から25%へと引き下げるらしい。

サブプライムローンの影響もあり世界の経済状況が不透明になる中にあっても、6%の成長を目指し、敢えて法人税率を引き下げることで経済を活性化させようとのこと。

私は昨年末のタイ総選挙の前後、バンコクに滞在していたのだが街の中はいたって平穏。
選挙結果によってはタクシン派なり反タクシン派のデモでもあるかと思っていたが、全くそんなことはなかった。

やはり直接行ってみないと解らない事は多い。
タイの政情は思ったほどひどくないのだ。

だからこそ、タイ政府は上記の政策を通じてこういっているのだろう。
「世界の皆さん。タイは安定した民政に移管しています。是非投資をお願いします。」


それが「対策」ですか・・・

2008-03-04 21:53:06 | 科学・技術・教育
前回書いた記事に対して、文科省の出した一つの答えが早速出ていたようだ。

博士養成、ベトナムから1千人 政府、ODAで受け入れ

なんと、場当たり的な・・・

なるほど確かにこれで一時的には大学院の定員を満たすことができるから、大学にとっては朗報だろう。
ODAを使ってアジアの開発途上国の教育改善をしようという基本的な考え方も悪い物ではない。

だが、現状の日本の大学院教育システムで大学院生を受け入れたところで、そもそもそれだけの先方の需要があるのだろうか?
記事によればベトナムは日本だけでなく欧米諸国にも留学生を送るらしい。
とすれば、最優秀層は欧米にいってそれ以下の層が日本に来るなんてことにもなりかねない。

さらに国内においては、現時点でも過剰な博士人口をさらに増やし、ますますポスドク問題に拍車がかかるなんてことになりかねない。

どうも、文科省のやり方という奴は、ロクなものがない。