町田営業所業務日報

地元周辺の鉄道・バス車両について気紛れに綴ります。

小田急1000形リニューアル車・10両編成

2018年12月23日 | 小田急電鉄

1988年3月に運用を開始し、アイボリーに青帯主体だった小田急通勤電車の中にステンレスの車体で新風を吹き込んだ小田急1000形は登場以来その姿をほぼ変えずに主力車両として活躍を続けてきました。その間に2001年からVVVF制御装置の純電気ブレーキ対応化や集電装置のシングルアーム化、2009年に一部4両編成の箱根登山線限定運用開始に伴う車体カラーの変更はあったものの、大改造を二度に渡り受けたワイドドア車36両を除き、基本的には160両全車両が大きな動きを見せずに2015年まで運用されていました。その後、8000形に続き長期使用を見込んだリニューアルが発表され2014年より着手、2015年1月より第一陣である1066F4両が工事を終えて運用を開始。鉄道車両では世界初となるフルSiC(炭化ケイ素)適用の量産型VVVFインバータ制御装置を搭載したことで大きな注目を集めています。2016年度からは1056F+1256Fの2編成を、中間に入る先頭車の乗務員室部分を撤去し完全に中間車化した上で、新たに1095Fとして生まれ変わり車種の変更を伴う大改造が初めて標準ドアの編成にも及びました。一連の改造は160両全車両に施行予定で、今年で登場30年の節目を迎えましたが、まだまだ第一線で活躍することが約束されています。

急行線を走行する1096F。この編成は元1052F+1252Fで、1095Fに続いて2編成目となる10両化改造編成で、この角度からでも元先頭車同士が向き合い連結していた箇所が分かります。スカートの開口部が小さくなり、正面窓も左右に黒色化された部分があることから、2000形にも類似した印象に変化しました。

小田急初の10両固定編成で登場し、千代田線直通を主体に運用され所定数の4000形が出揃った後も2010年まで乗り入れ予備車に指定され、また2012年に純電気ブレーキ対応改造を受けるまで首都圏では数少なくなった原型の初期型三菱電機GTO-VVVFを維持していた1091F。この編成は当初から10両固定で新造されたグループでは初めての更新車になりました。現在は1093Fも運用離脱し工事中の為、この編成と同じ仕様になって出場するものと思われます。黄色味を抑えたインペリアルブルーの帯とLED化で白い光を放つ前照灯の組み合わせが都会的でクールな印象を感じさせますね。

以前の面影を残しつつも、大幅にイメージが変わった車内。ホワイトベージュの化粧板に赤系の座席だった内装は車端部の妻窓を閉鎖の上淡いブルーの化粧板を主体に、扉や袖仕切を茶色系、一般座席はヨーロッパコマドリとその卵をモチーフにしたとされるロビンスブルーに、優先座席は模様入りのルベキュラーグレーに改め、天井には微風をイメージした青いラインが入りました。床には滑り止めも新設され、脚の投げ出しを防止する副次的な効果も齎しているようです。

新規に設置された17インチワイド液晶画面。近年主流の三菱電機セサミクロで、鮮やかなアニメーション表示を可能にしています。戸閉装置は空気式を踏襲していますが、先ね8000形後期更新分と同様に戸閉力弱め機構が追加され、動作音が変化しました。

 

一連の改造工事で、現在の最新形式である4000形を凌ぐ新機軸満載の車両に生まれ変わった1000形ですが、少なくともこれらの更新で15〜20年程度は主力として活躍することが予想されます。この形式の導入背景には輸送力増強以外にもロマンスカーの10000形HiSE車と共に、小田急開通60周年記念の意味もある為、かつてない程外観に気合いを入れてデザインしたことで知られていますが(コルゲート仕上げのステンレス車体を導入しなかったのは美観に問題アリとして見送っていたようです)、リニューアル内容からも小田急が本形式に注いだ熱意が伝わって来るようです。標準化の流れでJRグループの亜流車が増加した現代で、今後も主力車両として君臨することは実に喜ばしいことですね。


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