「くちなし」 （# 50）

お今晩は～。
まかろんのお茶会の時間です。
皆さま、お元気にしてらっしゃいますか？

梅雨明けはまだのはずなのに、毎日そこそこ晴れて、
６月の頃はまだ雨になるとひやっとしていたのが、
最近は雨でも、もわっと暑いです。

同じ梅雨時とは言え、だんだん季節が移り変わっていっていますね。

その、移りゆく季節の一瞬をお届けします。


2011年7月4日　ブログ直接投稿　「くちなし」

角を曲がって　くちなしの香り
そのまた角の先にも密やか　甘い香り
白い梅雨空　口が無いとの名の通り
この空に似た　沈む白
みっしり滴る緑に隠して
ただ　甘くくすんだ白い香りを
雨に冷えた　物憂い空気に漂わす

捉えようにも捉えきれない
何かを抑し殺した　その香り
姿を見せず　茂る葉の影
傍を通る者だけに
そっと　そっと
ささやきかける
わたしを忘れないで
忘れないで・・・と

雨に湿った冷たい空気
地上をあまねく支配する
何もかもを吹き飛ばす
夏の季節は　すぐ向こう
寒い季節の最後の名残り
甘く沈んだ白い香りを
雨冷えのする空気に乗せて
物狂おしく　密やかに
そっと　そっと
訴えかける

わたしを忘れないで
忘れないで・・・と


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