伊藤とし子のひとりごと

佐倉市議会議員4期目
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2月22日「不登校児童生徒の教育の機会を確保する条例案」質疑しました

2023-02-25 09:41:47 | 議会
ただ今、千葉県議会開催中です。(閉会は3月10日)

今議会、自民党から
「不登校児童生徒の教育の機会を確保する条例案」が提案されています。
すでに不登校児童生徒が学校以外でも教育の機会を得られるとした「教育機会確保法」が2017年に施行されて6年。
しかし、年々不登校児童生徒は増加して、千葉県の公立小中学校では2021年度で約1万人となっている。
その中で、どこにも行かずに家庭にいる子どもたちは4割。
この条例は法律とは別に策定したとの事なので、意図するところは何か? 
フリースクールに行くことを主眼にしているのか?
家庭にいる子どもたちの「育ちの権利」をどう担保するか?
子どもが不登校になればフリースクールの授業料、交通費がかかり、
自宅にいても子どもの学びにはお金がかかるため経済的に大変な状況となります。

そのようなことを主眼に質問と要望をしました。
今回、30年以上も子どもの居場所を運営しているNPOやフリースクールの関係者にご意見をいただき、
100%反映しています。
答弁も大変前向きなものだったので、質疑をして本当によかったと思っています。

質問と答弁要旨、それを受けての要望は下記の通りです。

〜千葉県不登校児童生徒の教育機会の確保を支援する条例の制定について〜

平成28年いわゆる「教育機会確保法」が制定されました。
しかし、不登校児童・生徒は9年連続で増え続けており、
令和3年度の千葉県の公立小中学校では9,951人。
その内4割の子どもたちはどこにもつながっていません。
本条例案について、不登校の子どもたちを長年支援してきた方や、
フリースクールを主催している方などから、私の下には様々な声が寄せられています。
不登校になるとほとんどの子どもはフリースクールに行くのもつらくて、
または全くそのような気持ちにもなれなくて、家にいることが多いのです。
不登校の親の会でも、そういう子どもたちに対して相談室、教育センター
またはフリースクールへ行くようにと勧められることが増えています。
親も早めにフリースクールを探そうとする発想が増えている様です。
それよりも、家にいても学習していようがいまいが、大切な地域の子ども
として尊重する意識が必要です。
確保したいのは「教育の機会」というよりも「ありのままで生きられる居場所」です。
むしろゆっくり休むためには教育的な視点から離れられることが必要です。
「どこにも通わないで家庭で過ごす子どもに対しても、その子が不利に
ならないための最大限の配慮」がこの条例案にあるのかが問われています。

1.意見募集について
自民党としての意見募集を12月21日から1月10日まで行いましたが、
意見は何件来て、どのような内容だったでしょうか。
また、条例案にどのように反映したのか伺います。

【答弁】不登校児童生徒への支援策や財政支援など、38件のご意見があった。
直接、条文に反映したものはないが、意見等は、今後の取り組みに反映させるよう執行部に申し入れたい。


2.国の「教育機会確保法」との関連について
平成29年2月、「教育機会確保法」が施行され、各種施策が取組まれてきましたが、
ここにきて本条例を策定する目的は何でしょうか。伺います。

【答弁】法の制定後も小中学校の不登校児童生徒は増加しており、支援の必要性は高まって
いることから、本県の不登校児童生徒の支援をされに充実するため提出した。


3.フリースクール等について
第2条「フリースクール等 教育機会の確保に関する活動を行う民間団体または個人」
と明記されていますが、学校生活に疲れた子どもたちが一息つける「教育から離れた居場所的」
なスペースは含まれているのでしょうか。

【答弁】不登校の時期が休養や自分を見つめなおす等の意味があると認識しており、
そのための「居場所」の提供を含め、支援を行っていくべきと考える。


4.多様な学習活動について
第3条「不登校児童生徒一人一人の状況に応じた多様な学習活動を認めて支援すること」
とありますが、「多様な学習活動」には「自宅で過ごす」は含まれるのでしょうか。
「どこにも通わない権利」は尊重されるのか伺います。

【答弁】不登校児童生徒の教育機会の確保は、児童生徒の主体性を尊重するとしており、
児童生徒が自ら選択した場所で学習活動を行うならば、自宅で過ごすことも
「多用な学習活動」に含まれると考える。


5.個人のプライバシーの尊重について
第3条「県、市町村、学校、保護者、フリースクールなど相互の密接な連携の下
に行われるようにすること」と、
第13条「学校以外の場における学習活動の状況、不登校児童生徒の心身の状況、
その他の不登校児童生徒の状況を継続的に把握するために必要な措置を講ずるものとする」
とありますが、この条例ができることでフリースクール等が学校に対して、
子ども個人の状況を詳しく伝えることを求められることになるのでは、と懸念されます。
この意味するところは何でしょうか。

【答弁】効果的な支援を行うためには、関係者間で当該不登校児童生徒の状況を把握し、
情報共有することが重要と考える。
一方、プライバシー保護への配慮や、児童生徒、保護者の意思の尊重も必要であり、
それらを踏まえ、支援に必要な情報を共有し関係者の連携を図っていきたい。


6.「財政上の措置等」について
第9条「多様な教育機会を確保するため、必要な財政上の措置その他の措置を講ずるよう
努めるものとする」とあります。
子どもが不登校になれば、親が仕事を続けられなくなったり、フリースクール等の授業料、
交通費と経済的にも大変な状況となっています。
2019年の文科省調査によると1800教育委員会のうち、経済的支援を行っている自治体は60です。
フリースクール等に通っていることが条件だったり、運営に対してだったりしますが、
そのようなところに通えない場合であっても、子どもの「育つ権利」を保障する必要があります。
第9条の「必要な財政上の措置」とはどのような範囲をカバーするのでしょうか。

【回答】条例では、県が基本方針を定め、それに基づき具体的な施策が実施されることとなっており、
施策実施に「必要な財政上の措置」の範囲も、施策の検討の中で定まっていくと考える。


7.不登校児童生徒支援連絡協議会メンバーについて
第十五条「不登校児童生徒支援連絡協議会」のメンバーに、当事者として不登校経験者の若者をいれるべきです。
見解を伺います。

【回答】連絡協議会の構成員の件等に当たっては、条例の趣旨を踏まえ、
適切に決定されるものと考える。


【要望】です。
3.「フリースクール等について」です。
現在は、フリースクールに行けば出席日数に数えられるようになりましたが、
本来は出席日数を問題にすること自体が問題と考えます。
全ての子どもが出席日数によって不利になる事のない様に配慮していただきたいです。

5.「個人のプライバシーの尊重について」です。
「支援に必要な情報を共有し、関係者の連携を図っていきたい。」との事ですが、
学校以外の場で過ごす子どもたちにとっては、学校的価値感の押し付けや、
学校的基準で状況を評価してしまう恐れがあるのではないかと危惧します。
良かれと思った支援であっても、別のとらえ方があることを理解していただきたい、と思います。

6.「財政上の措置について」です。
子どもたちの大切な居場所やフリースクールは、手弁当で細々と運営されています。
勉強をさせている、させていないに関わらず、子どもの権利条約に則った運営をしていて
日常的に子どもが通っている所には、子どもの育ちを支える場という意味で補助を出すべきです。

また、シングルマザー、シングルファーザー、経済的に大変な状況の家庭では、
子どもを家に置いて仕事に行かなければなりません。
ぜひ不登校児童生徒の家庭の実態調査を行ってほしい、との要望が現場から上がっています。
その上で、財政上の措置について、どうしたら子どもたちの育つ環境を整えられるのかを
考えてほしいと思います。

7.「不登校児童生徒支援連絡協議会メンバーについて」です。
不登校の子どものつらさは当事者じゃなければ分かりません。
そのためにも不登校経験者の若者の声を入れることが必要、と考えます。

最後に、この条例の基本理念にある通り、不登校児童生徒が学校に戻ることが目標ではなく、
子どもたちの自らの意思を尊重し、将来的に社会的自立ができるようにサポートする条例となることを願います。
今回、当事者たちの、また、手弁当で居場所やフリースクールを運営している方たちの声を
届けられる機会をいただきましたことに感謝申し上げ、私の条例案質疑を終わります。




歩いていたら、きれいな紅梅が満開。










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