Casa Galarina

映画についてのあれこれを書き殴り。映画を見れば見るほど、見ていない映画が多いことに愕然とする。

アメリ

2006-04-12 | 外国映画(あ行)
★★★★★ 2001年/フランス/121分
監督/ジャン・ピエール・ジュネ 主演/オドレィ・トトゥ

「キテレツとオシャレが合体」

フランス映画の小品好きとしては、たまらない映画です。日本でも大ヒットしましたが、この映画を「オシャレ」な映画として紹介するのは何か違うと思います。というのも、この映画はたいへん奇妙な人々とエピソードにあふれているからです。その奇妙さを日本人が心から「オシャレ」だと感じているのでしょうか?だったら、ずいぶん日本人のフランス映画に対する理解度も高くなったものです。でも、ただ主人公がカフェで働いていて、ちょっとひねりの効いたラブストーリー展開を「オシャレ」だと言うのならば、それは映画会社の宣伝文句に踊らされているだけなので、実に悲しい。しかし、これだけ大ヒットしたのですから、何かが日本人の琴線に触れたのは間違いないでしょう。きっと、こういう作品をどう褒めればいいのか、フィットする言葉が見つからなかったんだと思いますね。ただ「オシャレ」という、言い方でまとめあげてしまうには、あまりにも毒が多いです。

監督は「デリカテッセン」のジャン・ピエール・ジュネ。「デリカテッセン」は、食糧不足の近未来で肉屋のおやじがお客を次々と人肉にしてみんなで喰っちゃう、というブラックユーモア満載の作品で、当然「アメリ」にもジュネ監督のキテレツさがあふれています。それはアメリをとりまく人々に最も顕著に現れているでしょう。そりゃもうヘンな人が続々と出てきますから(笑)。大体アメリが好きになる男性は、駅にあるスピード写真のBOXで失敗して細かくちぎられた写真をゴミ箱から集めてはパズルのように元に戻して写真集にストックしている、という趣味の持ち主。そんなヤツ、好きになるか、フツー…。

この映画の軸となるストーリーは、心臓病だと誤診されて部屋に引き篭もるようになり、他人とうまく人間関係を築けなかったアメリが、他人を幸福にするサプライズ、つまりいたずらを仕掛けるうちに、自分で自分の恋を掴めるようになるというもの。このいたずらもいちいちひねりが効いていて、相当笑わせてくれる。また、カフェの客やアパートの住人など、アメリを取り巻く人々はもちろん、ほんのちょっとしか出てこない登場人物にもしっかりとユニークなエピソードが与えられている。しかも、それが「だから、どうした!」的くだらなさ満載(笑)。

全編に渡るこの「ひねり」が、ちょっとどぎつくて、少々変質的。がそれも、これも、みんなの幸せのため、という大前提があるから許される。もちろん、それはオドレイ・トトゥ演じるアメリが実にキュートな女性であるからというところも大きい。ホントにかわいいもんね、あんなヘアスタイル似合う人、なかなかいません。よく考えるとすごく変なんだけど、その変さ加減がどうでもよくなってくるほど、観ていて実にハッピーな気分になる。変質的なのに、幸せ気分という、この絶妙の融合がたまらない快感を呼び寄せてくれる映画です。


映画ランキングに参加しています。面白かったらポチッと押してね。




最新の画像もっと見る