Casa Galarina

映画についてのあれこれを書き殴り。映画を見れば見るほど、見ていない映画が多いことに愕然とする。

リメンバー・ミー

2012-04-25 | 外国映画(や・ら・わ行)
★★★★☆ 2010年/アメリカ 監督/アレン・コールター
(DVDにて鑑賞)


「別れはある朝突然に」



ニューヨークの安アパートに暮らす青年、タイラー・ホーキンス。6年前の兄の自殺が未だに心に深い傷として残る彼は、以来、家族よりも仕事を優先する弁護士の父との溝が深まるばかり。ある日、ささいな行き違いから警官のクレイグに逮捕されてしまったタイラー。その復讐で彼の娘アリーを誘惑するが…。

自殺未遂した兄を持つテイラー。目の前で母を殺された経験を持つアリー。
親しい人の死により、自分の無力さに打ちのめされ、人生を謳歌することを避けている。
そんなふたりが惹かれ合うのは、運命的にも思える。
それにしても、ふたりともあまりに繊細。
その繊細さがていねいな演出と寂しげなBGMで終始貫かれており、
私は最初の地下鉄で母親が殺されるショッキングなシーンから最後までずっとハラハラし通しだった。

主人公のふたりがあまりにナイーブ過ぎて、
何か悲劇的なことが起こるに違いない。
きっとハーピーエンドじゃないんだろう。
そんな想いばかりが頭をよぎり、見ていて胸がきりきりと痛い。
実はこういう切ない気持ちが持続する映画は苦手だ。
だってどこにも、息抜きする場面がなくて、見ていてつらくなるんだもん。

様々なすれ違いを乗り越えて、ようやくテイラーは父と和解し、
アリーの愛を確かめたかに思われた頃に訪れる衝撃的な結末。
きゅうと締め付けられていた胸がさらにぎゅうっと痛くなる。
こりゃあ、たまらん。
見終わって、ふうと大きなため息が漏れる。

人はどんな悲劇的なことがあっても、
時が経てばまた誰かを愛するようになる。
自分の無力をとことん思い知っても、
時が経てば誰かを支えたいと思うようになる。
そんな人間の宿命、業を感じさせてくれる映画。
今この瞬間を大切に生きなければ、と思わせられた。


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