Casa Galarina

映画についてのあれこれを書き殴り。映画を見れば見るほど、見ていない映画が多いことに愕然とする。

ヤング≒アダルト

2013-02-04 | 外国映画(や・ら・わ行)
★★★★☆ 2011年/アメリカ 監督/ジェイソン・ライトマン


「まったく嫌いになれない、むしろ」



「37歳」という年齢を考えると、この勘違いっぷりはかなーりイタイのかも知れないけど、
私はメイビスのことが全く嫌いにはなれません。むしろ、はっきりしている分、わかりやすいオンナだと思う。
近くにいたら「アンタ、バカじゃないの!?」とはっきり言ってあげるんだけど。
でもって、そういう率直な交流が気持ちいい友達になれるかもしれん、と思ったり。あのオタクの彼みたいにさ。
元カノにベイビーの写真を送りつけたり、かわいそうと言ってわざわざパーティに呼びよせる人もどうかと思う。
しかもさ、バディの妻がやってるバンド、すっげえ下手じゃん。
よくあのレベルでライブとかするよな、なーんて、私もすっかりプチ・メイビスになって見てました(笑)。

メイビスが外出着のまま、ベッドに突っ伏して寝ているカットが何度も出てくるんだけど、これ、凄い好き。
独身オンナの成れの果てみたいでさ。
正直、こんな風にベッドに突っ伏して朝まで眠りこけたいと思うもん。結婚したら、こんなことできないもん。
で、翌日ショップで買い物しているシーンに移ると、メイビスの見た目がさ、
「ベッドに突っ伏して寝る」→「シャワーも浴びずに、化粧も落とさずに服だけ着替えて出てきた」って風貌なのよ。
まぶたの下に落ちたアイシャドウが付いていて、汚いファンデが残ってて、髪はくしゃくしゃで。
これもね、ある意味、憧れなの。こんな風になーんも気にせず、出歩いてみたいもんだわ。

とまあ、女性なら大なり小なり、その生き方に自分を重ねて見てしまう作品だと思う。
それくらい、シャーリーズ・セロンのなりきりぶりがハマっているし、演出がうまい。
冒頭、macbookのパッド部分が薄汚れているカットが一瞬映るんだけど、これでメイビスの生活ぶりがわかる。
こういう細かい性格描写があちこちにちりばめられていて、おもしろい。元カレがくれたパーカーの匂い嗅ぐ。はは。わかる。
いちばん強烈なのは、やっぱ、ヌーブラだよね。これ、見せられると男の人はヘコむだろうなあ(笑)。

結局、人間ってないものねだりだし、他人と自分の人生を比較して落ち込んだり、あがったりするもの。
それに気づいて、我が道を行く決意をするメイビス。
それで、ええんかい!とツッコミを入れながら迎えるエンディングはそれはそれで清々しい。
また、ラストのパーティシーンでメイビスはある秘密をゲストの前でぶちまける。
この告白はその後(演出上は)さらっとスルーされているのだけど、
なんで彼女が故郷で無茶苦茶なふるまいをして、元カレにこだわったのかが、よおくわかる。
オンナならわかる。メールの添付写真が封印した記憶をツンと刺したんだよ。
だから、フロントグリルがボロボロのミニで走り去るメイビスにがんばれ、と声をかけたくなった。

最新の画像もっと見る