★★★★★ 2008年/アメリカ 監督/クリント・イーストウッド
<TOHOシネマズ二条にて鑑賞>
「継承の美学」
イーストウッド演じるクソじじい。 むかつくけどカッコいい。 間違っているようで、正しい。 キャラクター設定がパーフェクト。 腹が立つと「ぐるるるるぅ~」と犬のように唸ります。 本当に犬のように。そして、何度も道につばを吐き、耳を塞ぎたくなるような差別発言をする。とにかく、演技者としてのイーストウッドが凄い。
「人はどう生きたか」よりも「どう死んでいくのか」だとよく対比される。しかし、この作品から私が感じるのは「人は何を伝えて死んでゆくのか」ということです。ずいぶんな差別発言が散見するけれども、結局ウォルトという男は「自分の信条に基づき、何事かを成す」ということに真っ直ぐな男なのだと思う。
同じ民族ということもあり、タオがギャングの仲間に入れば、おそらく一生抜け出すことはできまい。彼が仲間に入ることを止めさせるためには、これしか方法はなかろう…。終盤、ウォルトの決断をうすうす感じつつも、やはりエンディングでは涙が止まらなかった。常に銃を突き付けてきた人生。しかし、最後の最後で彼は銃を取り出すことはしなかった。暴力による復讐を止めて、彼はその引き替えに我が人生が最も輝いていた頃のシンボルをタオに継がせた。それは、さながらアメリカという国そのものを彼らが継承していくのだ、というメッセージのようにも思える。
戦争のトラウマ、時代に取り残された寂寥感、若者への不満…。 アメリカの老人の話ですけど、 これ日本で戦争体験のある老人に当てはめてもそのまま映画が作れそうじゃないかと映画館を出た後思っていたのですが、はたと気づきました。
これ、篠崎誠監督の「忘れられぬ人々」(三橋達也主演)にそっくりなんですね。 三橋達也は在日朝鮮人の同胞の形見を黒人の少年に手渡し、ある決死の行動に向かう。未見の方はぜひ比べて見ていただきたいです。
それにしても、なぜ本作がアカデミー賞にノミネートされなかったのか不思議でならない。作品賞はもちろんのこと、イーストウッドの完璧な演技は確実に主演男優賞ものだと思う。
<TOHOシネマズ二条にて鑑賞>
「継承の美学」
イーストウッド演じるクソじじい。 むかつくけどカッコいい。 間違っているようで、正しい。 キャラクター設定がパーフェクト。 腹が立つと「ぐるるるるぅ~」と犬のように唸ります。 本当に犬のように。そして、何度も道につばを吐き、耳を塞ぎたくなるような差別発言をする。とにかく、演技者としてのイーストウッドが凄い。
「人はどう生きたか」よりも「どう死んでいくのか」だとよく対比される。しかし、この作品から私が感じるのは「人は何を伝えて死んでゆくのか」ということです。ずいぶんな差別発言が散見するけれども、結局ウォルトという男は「自分の信条に基づき、何事かを成す」ということに真っ直ぐな男なのだと思う。
同じ民族ということもあり、タオがギャングの仲間に入れば、おそらく一生抜け出すことはできまい。彼が仲間に入ることを止めさせるためには、これしか方法はなかろう…。終盤、ウォルトの決断をうすうす感じつつも、やはりエンディングでは涙が止まらなかった。常に銃を突き付けてきた人生。しかし、最後の最後で彼は銃を取り出すことはしなかった。暴力による復讐を止めて、彼はその引き替えに我が人生が最も輝いていた頃のシンボルをタオに継がせた。それは、さながらアメリカという国そのものを彼らが継承していくのだ、というメッセージのようにも思える。
戦争のトラウマ、時代に取り残された寂寥感、若者への不満…。 アメリカの老人の話ですけど、 これ日本で戦争体験のある老人に当てはめてもそのまま映画が作れそうじゃないかと映画館を出た後思っていたのですが、はたと気づきました。
これ、篠崎誠監督の「忘れられぬ人々」(三橋達也主演)にそっくりなんですね。 三橋達也は在日朝鮮人の同胞の形見を黒人の少年に手渡し、ある決死の行動に向かう。未見の方はぜひ比べて見ていただきたいです。
それにしても、なぜ本作がアカデミー賞にノミネートされなかったのか不思議でならない。作品賞はもちろんのこと、イーストウッドの完璧な演技は確実に主演男優賞ものだと思う。
>日本で戦争体験のある老人に当てはめてもそのまま映画が作れそうじゃないか
そうそう!ワタシも日本においてはこういう映画はどうものになるだろうと思いながら観ていました。「忘れられぬ人々」観てみたいと思います。
うちも床暖を入れなくなりました。
この映画、どうしてオスカーにノミネートされなかったか不思議ですよね。
日本での評価が高すぎるのか、それとも昨年は良作がそれほど多かったのか?
「忘れられぬ人々」面白そう!
レンタルやさんにあるかなぁ?
かなりの部分で類似性があると思います。
本作では老人を悩ませるのは悪徳商法なんですね。
この辺りもとても日本的で、なかなか面白い対比ができると思います。
機会があれば是非どうぞ。
さて本作なぜ作品賞にも主演男優賞にもノミネートされていないのでしょう!?
しかも、どちらも最優秀レベルだと思います。
昨日「MILK」を見たのですが、個人的にはショーン・ペンよりイーストウッドの方が一枚上手だと感じました。
※イーストウッドは、かなり昔に見た、センチメンタルアドベンチャー(もうメチャメチャ大好きな繊細すぎる映画です。蓮見の親父も絶賛映画)や、ブロンコビリーがいいですね。でも一番はダーティハリーですね。(もう最高です。ラロシフリンの音楽いいですね)。こんな長い間、第一線でやっている彼は凄い方です。では、また。今度 レスラー見に行きます。
細部の作り方も実に丁寧だし、いろんな角度から語れる奥深さを持っていますよね。何を切り口で語ろうか迷ってしまって、この感想も結構見切り発車です。もう1回見て頭を整理したいくらい。
私の親しい映画ファンの方がこれは「ダーティーハリーの落とし前だ」っておっしゃっていたのです。で、恥ずかしながら私は「ダーティハリー」を未見なので近々見ようと思っています。