アメリカで働く臨床栄養士のブログ

内科ICU栄養士。食が大好きな一男一女のママ。日本と異なる医療・栄養事情、過去に書いた情報は既に古いことも…あしからず。

仕事でNCP(栄養ケアプロセス)の使用

2009年05月19日 | お仕事
ここ数日は、急性期内科と産婦人科を担当しています。急性期内科は以前担当していたので、やっぱりとても働きやすかったし、ナースやPTなどに「最近どうしてるの~」と何度も聞かれて、なんだか嬉しかったです。

仕事では、少しずつですが、学校で学んだことを活かしています。以前と比較して、患者さんの、口の中、皮膚、浮腫などに注意を払っています。患者さんへとの会話の質も少しアップしたかなと思っています。

先週から、私の病院ではNCP(ニュートリションケアプロセス)の栄養診断(PES)をアセスメント内に含むことになりましたが、実際やってみるとちょっと難しいところがありますね~。例えば昨日は、Malnutrition(低栄養)と診断したかった、まぁ若い肥満の患者さんがいました。検査値(アルブミン、Hct/Hgb、Fe、TIBC、MCV、BUN、Creなど)、最近の体重減少、食事内容、薬物使用などを基にすると、Malnutrition(低栄養)だろうなぁと思いましたが、患者さんの症状からして(腹部の強い痛み、吐き気等はあっても、下痢は無し等)、もしかしてシリアック病、IBD、または腸系の癌だった場合は、Malnutritionのetiology(病因)が間違いになるなぁ~と感じたので、結局Inadequate food intakeという診断にしました。

もう一人の患者さんは、ひどい下痢、それに伴う食欲不振から体重が超激減していて、検査値(アルブミン、Hct/Hgb、Fe、TIBC、MCV、BUN、Cre、Folate, VitB 12など)や患者との会話を基にすると、栄養診断をMalabsorption(消化不良)にしたかったケースがありました。しかし、etiology(病因)として癌の可能性があると思ったので、結局これも間違いになる可能性があると思ったので、Altered GI functionで代用してしまいました。

どちらも、まぁ似ような感じかな~というところですが、やっぱり思うところは違うんですね…。

ちなみにシリアック病やIBDは診断が難しく、患者さんが退院する時になってもはっきりしない場合もよく見られます。また、癌の診断もすぐに出ない場合もあって結構日にちを要する場合もあるようです。上に書いた2人の患者さんは、入院3日ほどで、医師が次から次へと検査をオーダーしているところでした。

ところで、日頃このフロアを担当しているRDが職員食堂で出される料理の栄養分析をしているためです。ちなみに、職員向けの食事はとってもカロリーが高いことが分かって、みんな少々動揺しているようです。

どうやら他のRDの想像をはるかに超える高カロリー料理ばかりだったようですが、食物栄養に強い日本の管理栄養士なら、おそらく見ただけで大よそのカロリーは予想できるのではないかと思います。人間栄養に強いRDもよいですが、やっぱり「食」に強い管理栄養士にも強みは多くあると思います。とにかく、今回はみんなのリアクションに驚きました…。