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「ジャック・ウェルチ わが経営」

ジャック・ウェルチ/ジョン・バーン 著/宮本喜一 訳
ジャック・ウェルチ わが経営(上)」ISBN4-532-16400-1
ジャック・ウェルチ わが経営(下)」ISBN4-532-16401-X

今調べてわかったのだけど、文庫版が出てたんだぁorz
まぁ、それはともかく・・・

20年間もGEのCEOを勤め「20世紀における最もすぐれた経営者」と
言われるジャック・ウェルチの自伝ということで読んでみました。
まぁ、面白い部分もあるけど、世界が違いすぎて参考になることは
全くありません(^^; そういった意味では世界の違いが理解できない
経営者にとっては危険な本でもあります。GEの規模をもってして
初めてできるようなことばかりですから、下手に真似をすると
大火傷をすることになります。

例えば、人事評価で下位10%に入った人間は解雇するという手法。
GEのネームバリューがあれば自然に優秀な人材が集まり、彼らは
解雇など気にせずに働けますが、中小の企業でそんなことすれば
評価ばかり気にして本来の利益を出すと言う仕事が疎かになります。

もう一つ、有名なシックスシグマもやはりGEだから、いやGEの
教育プログラムがあったからこそ成功したのがわかりました。
ブラックベルトと呼ばれる指導者はオフジョブで育てるのですが、
ウェルチ氏はトップクラスの優秀な社員をオフジョブで教育する
という体制を作りあげた後でシックスシグマを開始しています。
他の企業でオフジョブトレーニング等といったら居なくなっても
あまり困らない人材が送り出されるのは目に見えています。私が
以前勤めていた会社でもブラックベルトは上司の受けはいいけど
それほど仕事はできない人が多かったなぁ。

凄いなぁと思ったのは優秀な人材を発掘する熱意です。後任CEOの
ジェフ・イメルトが入社した時に話が印象的でした。イメルト氏は
モルガン・スタンレーにも誘われていたそうで、こんな風に書いて
あります。
  「どうしてGEなんかに。いいかい、もしモルガン・スタンレーで
  仕事をするようになったら、仕事を始めて六ヶ月もしないうちに
  ジャック・ウェルチにプレゼンテーションをすることになるんだ。
  もしGEに行ったら、多分、本当に多分だけれど、10年めにちらっと
  顔をおがめる程度だよ」。GEに入社して三〇日後に、イメルトは
  私およびGE本社のマーケティング・グループの五人といっしょに
  同じテーブルを囲んでいた。」
従業員が一万人を超えるような会社でCEOが新入社員と話をするところが
どれだけあることでしょう?

そもそも日本の場合、CEOなんて数年の任期が前提になっているから
新入社員と会ったところで、それが課長になる頃には自分は引退済み。
一方、GEではCEOの任期を20年としているのですから責任感が全く
違います。

もう一つ面白かったのは役員クラスの転職の話です。GEは「人材工場」
として優秀な役員を育て上げているので外からどんどんヘッドハンティング
されるとか。GEのCEOになれなくても他社のCEOになれるし、当然部課長
クラスでも他社からの誘いがあるのでしょう。一方、日本の企業では
出世街道から外れた人は中途半端なポストを与えられて業務の邪魔を
しているというのが実態ではないでしょうか?少なくとも以前私がいた
大企業ではそういうことが起きていました。

ちなみに、CEO最終候補には3人が残ったけれどもイメルト氏以外の
二人はウェルチ氏に解雇されたそうです。新CEOの邪魔をしないための
配慮です

そうそう、この本を読むまで気がつかなかったけど、サラ金のレイクって
GEの子会社になってたんですね。
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