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「われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免れ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する」

「戦争法」違憲訴訟 訴状(2016年6月8日提訴)[8]

2016-06-09 | 集団的自衛権

「戦争法」違憲訴訟 訴状(2016年6月8日提訴)[8]

http://ikensosyo.org/より

第4 原告の慰謝料請求権

1 公務員の違憲・不法行為

(1)2014年(平26)7月1日閣議決定

 安倍内閣は、前記のとおり、「国の存立を全うし、国民を守るための切れ目のない安全保障法制の整備について」と題する閣議決定を行ったが、その内容は、「憲法第9条の下で許容される自衛の措置」という名目にしながら、従来の歴代内閣も当然に違憲行為として許容されないと言明してきた集団的自衛権の行使容認方針を決定したほか、「国際社会の平和と安定への一層の後見」との名目で、他国が「現に戦闘行為を行っている現場」でない場所であれば支援活動を行い、PKOにおいても駆けつけ警護や武器使用の拡大を決定した。
 これらの決議は、憲法第9条、前文に違反する違憲行為を閣議が決定したのであるから、内閣の不法行為であり、閣議を構成した安倍晋三、麻生太郎、新藤義孝、谷垣禎一、岸田文雄、下村博文、田村憲久、林芳正、茂木敏充、太田昭宏、石原伸晃、小野寺五典、菅義偉、根本匠、古屋圭司、山本一太、森まさこ、甘利明、稲田朋美19名公務員の憲法尊重擁護の義務に違反する違法行為によって成立している。

(2)以下成立施行の経過

 翌2015年(平25)4月27日安倍首相は渡米の上、米国合衆国との間で新安保法制法案の内容に則した新たな「日米協力のための指針」(新ガイドライン)に署名して合意し、その日の晩餐会ではダイアナ・ロスの恋歌を引用してこびへつらう挨拶をなし、日本国民の名誉を傷つけた上、5月14日には閣議決定でもって新安保法制法案を決定し、翌5月15日国会に上程した。
 国会上程後、全国民の激しい反対運動が起き、幾度も数万の国民が国会を取りまき、同法案廃案の意思表示をあげたが、7月16日には衆議院で強行可決され、9月19日参議院で強行採決によって成立させ、2016年(平28)3月29日施行された。
 以上、7月1日の閣議決定から5月14日の閣議決定のいずれも違憲の内容を閣議を構成する公務員が行い、不法行為を成立させ、以後、自由民主党及び公明党に属する国会議員により、違憲の法律を成立させるという不法行為をなした。

2 「安保法制」の原告らの権利・利益の侵害

 「安保法制」が憲法に違反する法制であること、原告ら国民が有する平和的生存権、平和的生存権に組み込まれる戦争に加担させられない権利の侵害及び、人格権と憲法改正決定権の侵害についてはすでに述べたとおりである。以下は、これらを前提に、原告らの被害を述べる。

3 原告らの権利ないし利益の侵害による損害

(1)原告全員に共通する被害

 ア 前記平和的生存権の憲法構成上の意義付けで述べたように、憲法は前文で平和的生存権の権利性を規定し、平和という事柄の本質上その権利保障は個々の個人に対する個別的保障の前に、まずは、国家制度として保障しなければ意味を有しないことから、第二章戦争放棄の章を設定し、そこに具体的制度として第9条を規定した。つまり、憲法は、戦争放棄という国家制度をもって、平和的生存権を保障したのである。

 イ しかるに、本件「安保法制」は、集団的自衛権による「他国に対する武力攻撃」について、一定の要件で、自衛隊の防衛出動(自衛隊法76条①項2号)を認めた結果、海外での武力の行使(自衛隊法88条)がなされるようになった。
 このことは、憲法が戦争を放棄して国民の平和的生存権を100%保障していたことに対し、専守防衛戦争ではなく、海外での戦争ができる制度にしたことによって戦争放棄を否定し、したがって、戦争放棄によって保障されてきた平和的生存権も保障されないという形で、日本国民の平和的生存権が侵害されたことを意味している。

 ウ この点、もう少し具体的に検討する。今現在世界において行われている戦争を考えると、シリア、イラク、アフガニスタンという中近東地域であるから、我国からは遠く、平和的生存権の制度的保障がなくなったといっても現実の戦争の脅威までは感じられないであろう(この点、後に、日本国民一般でなく特定の人との関係では問題になるので後に述べる)。
 しかし、いざ、近隣の朝鮮半島における緊張と深刻な政治的軍事的対立を真正面から直視すれば、今回の集団的自衛権発動が我国全体を破滅的な被害に陥れる可能性もありうることがわかる。朝鮮半島で有事が勃発すれば、間髪を入れず我国も戦争当事国となり、我国国土(海、空も含む)も戦争になる危険性も当然に存在している。
 この点が極東における緊張という問題が、これまではその緊張がシビアに存在しても我国は第三者として対応でき、そのため従来は切迫した危険を感じなくてすんでいたが、今回の「安保法制」の施行により、朝鮮半島有事=我国の戦争参加となる。
 このことを考えれば、戦争放棄規定に違反した今回の「安保法制」により、我国国民、我国に居住している人を含めてその平和的生存権は保障されない状態、つまり、平和的生存権は侵害されていることが明らかである。とりわけ、原告らは、平和並びに戦争放棄を守るためこれまで熱心に取り組んだり常に細心の注意をよせてきたのであるが、一部の無関心な国民と異なり、切実な精神的苦痛を受けている。

 エ 以上のことから、本件「安保法制」の施行によって原告らの平和的生存権がまず侵害されたことは明らかであるから、その侵害の結果、つまり、平和が保障されないことから生ずる不安、恐怖、かつてのあるいは現在の戦争に対する恐怖からくる精神的苦痛に対し、最低限の慰謝料請求として金10000円の請求権を有している。
 同慰謝料に対する遅延損害金の発生の始期を平成26年7月1日としているのは、本件不法行為のはじまりの時点であり、この時点から平和的生存権保障をなくす策謀としての不法行為がはじまり、本件「安保法制」の施行日である平成28年3月29日をもって、本件の不法行為は終了しその結果としての平和的生存権の侵害が確定した。

(ハンマー)


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