LiveInPeace☆9+25

「われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免れ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する」

(ベネズエラ連帯) ベネズエラ・ラテンアメリカ短報No.84 エクアドル

2023-05-26 | ラテンアメリカ
(エクアドル要点) ・ 5月はじめから、ラッソ大統領罷免の弾劾裁判(横領の罪による)についての議論が議会で開始され、16日に弾劾のための具体的な手続きが始まることになった。それに対して15日に、ラッソ大統領が議会の解散を宣言した。弾劾が成立するためには議員の3分の2以上の賛成が必要だが、それが実現しそうな状況だった。 / 憲法は、「深刻な政治危機と内政の混乱」が存在することを条件として議会の解散を認めている。そのような条件がない下で、単に弾劾を回避するためだけのものであり違法だという批判が出されたが、ラッソ政権を終わらせる機会が訪れたとして、解散・総選挙へ動き出した。 . . . 本文を読む

(ベネズエラ連帯) ベネズエラ・ラテンアメリカ短報No.83 ベネズエラ

2023-05-12 | ラテンアメリカ
(ベネズエラ要点) ・ 4月にベネズエラについて連続して報告したが、それ以外にも報告したいものが多々あり、その中から今回は「コミューンの前進」「CLAPの発展」「マドゥーロ時代」の3つを報告する。 <コミューンの前進 要点> <CLAPの発展 要点> <マドゥーロ時代 要点> . . . 本文を読む

(ベネズエラ連帯) ベネズエラ・ラテンアメリカ短報No.82 ベネズエラ汚職・腐敗との闘い

2023-04-27 | ラテンアメリカ
(ベネズエラ 汚職・腐敗との闘い 要点) ・ 国営ベネズエラ石油会社PDVSAと政府石油省の高官を中心に、汚職・腐敗の逮捕者が続出している。 / 反汚職警察が組織され、検察局と共に昨年10月から捜査が開始されていた。今年の3月下旬になって大々的に報じられるようになった。マドゥーロ大統領は、信頼を寄せていた人々に裏切られて憤慨し、汚職・腐敗との闘いにおいて政府が正面から取り組んでいると発表。 / 3月20日、石油相エル・マイサミが、自身は汚職に手を染めてはいないが側近に逮捕者が出て辞表を提出し、マドゥーロ大統領が受理。 ・ エル・マイサミは、石油部門の再編成を託されて一定の回復をもたらしたが、この1年間は生産量が停滞してきた。昨年9月には、前石油相ラファエル・ラミレスの汚職疑惑を公表し、調査を進めてきた。ラミレスはイタリアに逃れていて、ベネズエラ政府はイタリア政府に引き渡しを求めている。また、米国やスペインに逃れた政府高官の引き渡しも要求している。 ・ 汚職ネットワークは、石油会社PDVSAと政府の暗号通貨機関を中心としていることから「PDVSA-Crypto」と呼ばれている。公務員やビジネス関係者が資金洗浄に多く関わり、公的財産の流用が行われていた。 / 汚職・腐敗との闘いは、この汚職ネットワークの完全解体を目指して取り組まれている。 / 現在までに少なくとも30億ドル相当の資産が押収されており、すべて社会福祉プログラムに投入されている。 ・ ボリバル革命以前のベネズエラは、40年間の二大政党制の下で汚職・腐敗が蔓延していた。チャベスの闘いは、それの根絶を主要な課題のひとつとしていた。 / だが、旧来の国家諸機関で過去から受け継がれてきた汚職・腐敗は、ボリバル革命の中で根絶されず、再生産されてきたことが明らかになった。それは、米帝による封鎖で人民が極度に困窮する中でも、恥知らずな犯罪として行われてきた。それが官僚主義と非効率な組織を維持し増幅してきた。 / それらが、今、ついに根絶へ向けて旧国家機構の革命的変革として、組織された労働者・人民の運動として取り組まれ始めている。 ・ 与党ベネズエラ社会主義統一党(PSUV)も汚職・腐敗との闘いを断固として支持する声明を発表。マドゥーロ政権の反腐敗政策を支持する人民のデモも行われた。・ 明確な証拠は . . . 本文を読む

(ベネズエラ連帯) ベネズエラ・ラテンアメリカ短報No.81 ベネズエラ

2023-04-21 | ラテンアメリカ
<2002年4月クーデターとその逆転から21年> ・ 「あらゆる11日には13日がある」という、ベネズエラではよく知られた言葉がある。「11日」は、2002年4月11日、チャベス大統領が反革命クーデター勢力によって拘束された日。「13日」は、人民と国軍のチャベス支持勢力が劇的な行動でチャベス大統領を奪還した日である。 / ベネズエラ革命は、このときを大きな転換点として、急速に社会主義指向革命へと突き進んでいった。 ・ 昨年は、米帝と旧支配勢力オリガ―キーによる反革命策動をことごとく撃退した上に封鎖による極度の苦境から脱し始めたことを背景として、20周年が盛大に祝われた(「ベネズエラ・ラテンアメリカ短報No.45」参照)。 / 今年の祝賀も、石油依存経済から脱却して経済回復が急速に進み始めている中で盛大に行われた。 <マドゥーロ大統領就任10年> ・ 2013年3月5日にチャベス大統領が死去し、4月14日に大統領選挙が行われ、マドゥーロが勝利した。 / この時期(2013~14年)に情勢は大きく変化しはじめ、チャベス主義の根幹を維持し継承しながらも、新たな情勢に対応する政策と革命勢力の再生が必要であった。特に2014年末に原油価格が大きく下落しはじめた上に、米帝と旧支配勢力オリガ―キーによる反革命策動がかつてなく強化された(暴力的クーデターを目指す「グアリンバ」)。 ・ その下で、マドゥーロ政権は、2015年末の議会選挙で大敗して重大な政治的危機に陥ったが、革命的人民の支持を背景に「憲法制定議会」に基づく権力で危機を乗り切り、その後のすべての選挙に勝利した。 / また、クーデター策動をことごとくうち破り、反革命勢力を押さえ込んでボリバル革命の基本線を守り通した。 ・ 2019年からの米帝による封鎖は、石油収入の99%を消失させ、国家予算を激減させ、極度の経済的苦境で数万人の死者と人口減少をもたらした。【この封鎖はクーデター策動がことごとく失敗したことの結果でもある。】 / だが、その苦境をバネに、人民と政府の結束した活動によって石油に依存しない経済を実現し、世界中が驚く経済回復を成し遂げた。 / 米帝国主義の衰退が急速に進展しはじめ、その下でベネズエラの国際的地位も大幅に回復している。 . . . 本文を読む

(ベネズエラ連帯) ベネズエラ・ラテンアメリカ短報No.80 BRICSとラ米カリブ全体

2023-03-31 | ラテンアメリカ
(BRICSとラ米カリブ全体 要点) ・ BRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)は、新たな諸国を加えて「BRICS+」に移行する途上にある。それが、「ユーラシア経済連合(EAEU)」と協力して新たな決済システムを創出しようとしている。BRICS諸国は、既に2国間貿易で米ドルを使わず現地通貨で取引しているが、それを新たなシステムに統合しようとしているのである。 / 「ユーラシア経済連合(EAEU)」は、ロシア、カザフスタン、ベラルーシの関税同盟として2015年に設立され、1年後にアルメニアとキルギスが加盟した。 / 新決済システムには、さらに「上海協力機構(SCO)」加盟国も加わる方向である。 ・ 「BRICS開発銀行」の総裁に、元ブラジル大統領ディルマ・ルセフが選出された。2020年にボルソナロが推すブラジル人外交官Marcos Troyjoが就任したが、この3月初めに辞任。 / 「BRICS開発銀行」は、2014年に創設されて中国の上海に本部を置き、「BRICSをはじめとする新興市場経済国や途上国のインフラや持続可能な開発プロジェクトに資源を動員すること」を目的としている。 ・ 3月25日、「第28回イベロアメリカ首脳会議」がドミニカ共和国で開催された。このサミットは、90年代にスペインが米国の許可と支援の下に起ち上げた反動的なものだったが、スペインの影響力が低下し、ラ米カリブ諸国の意向を体現するものに変わってきている。 / 今回は、「77カ国+中国」グループの議長国に就任したキューバが、ここでも主導力を発揮して、「ラ米カリブ諸国の包括的な協力の促進」を呼びかけた。 ・ 3月8日の「国際女性デー」では、ラ米カリブの数百万人の女性が街頭に出て、あらゆる形態の家父長制の表れに抗議し、あらゆる領域での平等な権利を要求した。また、飢餓と貧困を悪化させる新自由主義経済政策に抗議した。 ・ 昨年12月、ALBA(米州ボリバル同盟)の第22回サミットがキューバの首都ハバナで行われた。焦点は、この不安定な時代における連帯の強化と、反動勢力による巻き返しに対する対処。特に、ペルーでの事態に、「憲法上の大統領ペドロ・カスティージョ」を支持し、クーデター政権による人民弾圧を強く批判した。 . . . 本文を読む

(ベネズエラ連帯) ベネズエラ・ラテンアメリカ短報No.79 チャベス死去から10年

2023-03-17 | ラテンアメリカ
(チャベス死去から10年 要点) ・ ウーゴ・チャベス大統領没後10年の3月5日、多くのベネズエラ人民が街頭に繰り出し、チャベス司令官に敬意を表した。 / マドゥーロ政権と人民は、米帝国主義と国内反動勢力によるクーデター策動をことごとく打ち破り、過酷な経済封鎖に耐えながらボリバル革命を守り続け、石油依存経済からの脱却という未曾有の経済改革を実現して、経済回復が軌道に乗り始めた。そのことで、今年は特に自信にあふれた盛大なものとなった。 / 「チャベスは生きている」「チャベスは死なず、増殖した!」などのスローガンが掲げられ、唱和された。 ・ 米バイデン政権は、この4日前、ベネズエラを米国の脅威とする大統領令を更新して対ベネズエラ封鎖の継続を決定した。オバマが発し、トランプのもとで継続され、ベネズエラ制裁の根拠となっている大統領令である。 / ボリバル革命のベネズエラが米国の覇権にとって大きな脅威であり続けていることを改めて示した。 ・ 首都カラカスで、3月3~5日、「21世紀におけるウーゴ・チャベス司令官のボリバル思想の重要性について」の国際会議が開かれ、活動家や知識人がチャベスの反帝国主義・反資本主義の遺産を振り返り、21世紀におけるその有効性を確認した。 ・ チャベスは、大統領になってすぐ新憲法制定に着手し、1999年に現在のボリバル憲法を成立させた。その下で2001年の「土地法」をはじめとするさまざまな社会変革のための法律を制定した。それに激怒したオリガ―キー・反動勢力は、米帝国主義に支援されて、2002年4月クーデターを起こした。それを人民と軍の力で逆転して、その後ボリバル革命が強力に推し進められた。 ・ チャベスは、国際的には、ALBA(米州ボリバル同盟)、UNASUR(南米諸国連合)、teleSUR通信網、南の銀行、ペトロカリベ、CELAC(ラ米カリブ諸国共同体)などを創設し、米帝支配を掘り崩してラ米カリブを統合していく基盤をつくりあげた。 ・ 3月5日、INTERNATIONALIST 360°に「ウーゴ・チャベスが描いた“コミューンの未来”は世代を超えて感動を与える」という論説が掲載された。チャベスのさまざまな活動を確認し、コミューン国家へ向けて前進しようとしたことがつづられている。最後の締めの言葉は「チャベスは生きている」である。 . . . 本文を読む

(ベネズエラ連帯) ベネズエラ・ラテンアメリカ短報No.78 ペルー

2023-03-02 | ラテンアメリカ
(ペルー要点) ・ 3月1日に「第2次リマ奪取」。地方から先住民・農民が大挙して首都リマへ。 (cf. 「2023.1.26 報告」: 1月19日、「リマの奪取」を旗印に先住民・農民が地方から首都リマへ結集) / 暴力的弾圧が続いているが、人民の闘争は断続的に全国ストライキを行うなど、持続し発展している。 / 現在の闘争は長年抑圧されてきた人民の不満が爆発したものなので、根本的な変革なしには収束しないと指摘されている。 ・ ボルアルテ政権と反動議会への人民の拒絶は、いっそう拡大し、世論調査でのボルアルテへの拒否は77%に上昇。議会への不支持は90%に。 / 80%以上の国民が反動的な現憲法の改訂を望んでいる。 ・ ボルアルテは、諸政党やさまざまな社会団体の指導者と会談し、政権維持を画策。2月中旬に極右政党「人民の力」の党首ケイコ・フジモリとも会談し協議。ケイコは、「会談は長く誠実に行われた」と述べた。【ボルアルテはここまで堕落し反動化した!】 / だが人民の闘争は全国各地で継続され、ストライキ闘争が持続している。ボルアルテの辞任、反動議会の閉鎖、今年の早い時期の総選挙実施、カスティージョ大統領の解放、新憲法制定のための制憲議会創設の国民投票という、共通の要求で。 ・ ボルアルテ政権のほころびも拡大し始めている。 / 2ヶ月ほどで6人の閣僚が辞任。 / 議会は今年中の総選挙実施を否決したが、総選挙の実施時期について政権内部で意見対立が生じている。 / 政権支持政党からもボルアルテの罷免を要求する議員グループが生じてきている。 / 地方当局の中から、デモ隊に賛同し、中央政府を批判する声が出始めている。 ・ 国際的なボルアルテ政権批判も拡大。 / ニューヨークの国連総会ビル前で、また全世界の都市で、ペルー人民に連帯し国際機関に行動を求める抗議行動。 / 米下院でも20人の民主党議員が、ボルアルテ政権の強権弾圧を批判し、ペルー政府への資金提供の停止を要求。 . . . 本文を読む

(ベネズエラ連帯) ベネズエラ・ラテンアメリカ短報No.77 エクアドル

2023-02-16 | ラテンアメリカ
(エクアドル要点) ・ 2月5日の地方選挙(投票率80%超)でラッソ反動政権が大敗。コレア元大統領の「市民革命党」が主導する「希望の連合」が大勝。 / ラッソ政権は、新自由主義政策の全面展開による人民生活悪化、経済危機、治安悪化の下で約20%の低い支持率。それを回復しようと打ち出した政治改革の国民投票も敗北。政治的危機に。 ・ 「希望の連合」は、23県知事のうち9県で勝利。多党分立の中で1党派として最大の獲得数。また、最も人口の多い重要な7県を獲得。 / 市長職は、首都キトと最大都市グアヤキルを含む60市で勝利。 / 地方選挙でのこのような大勝利は、かつてのコレア政権時代(2007~17年)にもなかったもので、革命勢力が再生・復活し政権奪還へ向けて大きく前進。 ・ ラッソが反政府勢力の要求をかわし低支持率を回復しようとした国民投票は、憲法改正を必要とする8つの政治改革を提示して「Yse/No」を問うものだったが、すべてで「No」が多数に。 / 次の大統領選は2025年2月だが、いくつもの社会運動と左翼政党が、ラッソ大統領の統治能力を批判して早期選挙を要求。 ・ 昨年6月に、先住民組織を中心とした人民と労働者が、ラッソ政権の新自由主義政策と抑圧に対する大規模な反対運動で政権をかなり追い詰めた(cf.「2022.6.30 報告」と「7.7 報告」)。 / その後、対話テーブルが設定されて90日間の交渉で10月半ばに一定の合意がなされたが、政府の不誠実な姿勢に人民が怒り、11月から再び闘争が激化しはじめていた。 / 11月の最初の2週間に「農民・先住民・黒人組織全国連盟」(FENOCIN)による抗議行動。12月に「エクアドル統一労働者戦線」が賃上げ要求で全国動員。1月18日から国営石油「ペトロ・エクアドル」労働者が公正な賃金と労働条件の改善を求めて無期限ストに突入。等々。 . . . 本文を読む

(ベネズエラ連帯) ベネズエラ・ラテンアメリカ短報No.76 CELAC首脳会議

2023-02-03 | ラテンアメリカ
(CELAC首脳会議 要点) ・ 1月24~25日、CELAC(ラ米カリブ諸国共同体)第7回首脳会議がアルゼンチンのブエノスアイレスで行われた。 / ボルソナロ政権の下で離脱していたブラジルがルーラ政権になって復帰。 / ラ米カリブを主権国家の共同体とする「ブエノスアイレス宣言」に全33カ国が署名。ラ米カリブ地域の統合、気候変動対策、民主的制度、多国間主義の深化などを誓い、ラ米カリブを平和地帯として強化すること、食糧安全保障を推進すること、保健医療分野での協力を深めることの重要性を強調。 ・ CELACを米国支援のOAS(米州機構)に代わるこの地域の統合組織にしようとする方向性が示された。 / また、キューバ、ベネズエラ、ニカラグアに対する米国の「犯罪的かつ非人道的な」封鎖を終わらせることを強く要求。 / BRICSとの関係を強めていくことも提起された。 / ペルーの状況も議論され、多くの国の指導者がクーデター政権を批判。親米諸国からも人権危機への懸念が表明された。 / ラ米カリブ地域に設置された米軍基地の解体を要求する共同行動の実行も強く要求された。等々。 【「ブエノスアイレス宣言」は111項目に及ぶ長いもので、アルゼンチン外務省サイトで見ることができる(スペイン語)。アルゼンチン外務省: https://www.cancilleria.gob.ar/es/actualidad/noticias/cumbre-celac-declaracion-de-buenos-aires (CELAC)DECLARACIÓN DE BUENOS AIRES: https://www.cancilleria.gob.ar/userfiles/prensa/declaracion_de_buenos_aires_-_version_final.pdf】 ・ CELAC首脳会議の前日1月23日に、ラ米カリブ全域から社会運動、労働組合、人民運動、先住民組織、進歩的政党などのリーダー約300人が、「帝国主義に立ち向かい人民の主権を促進するために統合を強化するための戦略を考える」という目的で、ブエノスアイレスで「地域社会運動サミット」を開催。 . . . 本文を読む

(ベネズエラ連帯) ベネズエラ・ラテンアメリカ短報No.75 ペルー

2023-01-27 | ラテンアメリカ
(ペルー要点) ・ 人民の反クーデター闘争は、年明けから全国的にいっそう拡大発展。1月19日のゼネストを「労働者総連合」が呼びかけて、地方から闘争諸組織の代表団が続々と首都リマへ結集した。旗印は「リマの奪取」。 / 地方の農民と先住民のコミュニティから「第2回“四方からの行進”」が行われた。(かつて2000年にアルベルト・フジモリの不正な3度目の再選に抗議してリマに人民が結集したときに“四方からの行進”が行われた。) ・ 1月9日に南東部で17人の市民が虐殺され、それが人民の怒りをいっそう高めた。 / 全国各地での闘争の共通した要求は、カスティージョの解放、ボルアルテ「暫定大統領」の辞任、反動議会の閉鎖、総選挙の即時実施、憲法制定議会創設の5つだったが、これまでの弾圧による50人以上の殺害に抗議した「殺された50人以上の正義(殺害者の処罰)」が加わった。 / それに対して、1月11日に司法長官が、ボルアルテ大統領と首相、国防相、内相を大量虐殺の容疑で捜査中と発表。【権力内で亀裂か?】 ・ 今回のクーデターは1年以上かけて周到に計画されたものだったことが暴露されている。 / 元ペルー軍統合司令官だった国民議会議長が主たるオペレーターで、高度の情報操作によってカスティージョ大統領に軍と警察の支持を得ていると信じ込ませ、議会を解散させるよう誘導したという。カスティージョは、議会解散のメッセージを読み上げた後、軍の支援を求めたが何の反応もなく、その段階でハメられたと気づいたが、時すでに遅しであったという。(INTERNATIONALIST 360° on DECEMBER 31, 2022) ・ 闘争主体の中心は、労働組合、農民、先住民、教員、学生、女性解放運動などの組織で、それぞれの地域で強い社会組織が闘争を牽引している。 / 旧来の左翼は大衆的な基盤を失っており、重要な役割を果たすことができておらず、全体を牽引する全国的な組織はこの全国闘争の中で形成されていくものと思われる。 ・ 米帝国主義の関与は、クーデター後も継続的・定期的に行われている。 / クーデターに直接関与した在ペルー米国大使リサ・ケンナが、ボルアルテや閣僚など政府高官と定期的に会談している。 /  . . . 本文を読む

(ベネズエラ連帯) ベネズエラ・ラテンアメリカ短報No.74 ブラジル

2023-01-13 | ラテンアメリカ
(ブラジル要点)・ 「INTERNATIONALIST 360°(1/11)」は、今回のクーデターの企てが「CIAの危険な策略」だったことを暴露している。「この作戦を今行う理由は、ブラジルがBRICSのロシア、インド、中国とともに、世界の地政学で再び地位を確立しようとしているからである」と。 / CIAのトップにはシュトラウス派のネオコンが配置されたという。 ・ 1月8日のボルソナリスタによるクーデター未遂について、さまざまな暴露や指摘が出始めている。 / 2021年1月6日のトランプによるクーデター未遂に酷似しているが、実際に、ボルソナロの息子(議員)が事前にトランプおよびその戦略家スティーブ・バノンらと会談していた。 / 首都ブラジリアの治安に責任を持つ公安長官と知事がボルソナロに近い存在であり、ボルソナリスタの行動を規制せず、また数週間前から計画されていたが対策を取らなかった。 / ルーラの親人民的政策に対して大企業、アグリビジネスなどが激怒している。 / それがスローガンなどに反映し、ルーラとその政権への憎悪が現れている。 ・ クーデターの目的は、軍に介入するよう説得して、選挙結果を破棄し、ルーラを退陣させ、ボルソナロを大統領に復帰させること。だが、軍は動かなかった。「国民の大規模な拒絶反応を考えると本当のクーデターを起こすことができず」動けなかった。 / 首都をはじめ各地で、労働組合や人民諸組織が民主主義とルーラ政権の防衛に総動員。 / キューバ、ベネズエラ、アルゼンチン、メキシコ、コロンビア、チリ、ボリビア、ALBA、CELAC、などが、いち早くクーデターの企てを非難・糾弾。中国、ロシア、その他、全世界でも同様に。 / また、米国を含む先進諸国もルーラ政権支持表明。 ・ ただし、「Granma(1/9 スペイン語)」は指摘する。米帝は「ルーラのような指導者を排除する必要がある」と。BRICSを弱体化させ、ラ米カリブ統合を阻止し、人民福祉政策の再実行を阻止することが必要だ、と。 / ベネズエラ社会主義統一党の第一副党首ディオスダド・カベージョは、クーデターの試みに米国が深く関わっていると非難(Plensa Latina 1/9)。クーデターの試みに対するバイデン政権の非難を虚偽としている。 . . . 本文を読む

(ベネズエラ連帯) ベネズエラ・ラテンアメリカ短報No.73 ベネズエラ・コミューン

2023-01-06 | ラテンアメリカ
(ベネズエラ要点) ・ グアイドがついに失脚。 / 12月29日、「3大野党が“暫定大統領”フアン・グアイド率いる官僚機構に終止符を打つという公約を実行に移した」(cf.「2022.12.1 報告」の時点で「野党連合はグアイド支持撤回の準備を進めて」いた)。 / 賛成72票、反対29票、棄権8票で決定。極右「民衆の意志」党は激しく反発し、「怒りの応酬が繰り返され」て、反政府勢力の間の亀裂と内紛が露呈したと報じられている。 ・ この1年、ベネズエラは経済でも外交でも大きな成果を収めた。 / 経済は2022年1~9月にGDPが17%以上の成長。 / 米国による封鎖は破綻しはじめた。外交関係の正常化は、メキシコをはじめいくつもの国との間で実現し、大きく国境を接しているコロンビアとの間でも実現。まもなくブラジルとも正常化する。 (「エル・パナル」コミューン要点) ・ 「エル・パナル」コミューンは、カラカスの労働者階級が住む地区のコミューンで、2006年にコミューン宣言。チャベスが2009年ごろから積極的にコミューン構想を語るようになるよりも前で、「パリ・コミューンについてのマルクスのテキストを読んだことがきっかけ」だったという。 ・ この地区は、1960年代から反動政権に対する抵抗の拠点となっていた。一時期、激しい弾圧に屈したかに見えた時があったが、チャベス政権になって復活・再生した。 / 「人民は自分自身を統治すべきである」という目標を掲げていたことから、チャベスのコミューン設立構想に共感し、積極的に参加・協力。 ・ 思想的にはマルクス主義を信奉し、マルクス・レーニン主義を教条ではなく具体的に自分たちの現実に適用しようとしてきた。 / 「パリ・コミューン」や「ソビエト」について、またキューバとラ米カリブの人民運動のコミューン的なものについて、さらには中国やベトナムのコミューンについても、研究して学んでいるという。 ・ コミューン経済の確立に特に力を注ぎ、「コミューン経済地区」を形成してきた。それは、資本主義市場経済と一定の交流をせざるをえないので、「今のところ混合経済」だと述べている。 / 「コミューン銀行」が独自の通貨を発行している。それが米封鎖の下での金融攻撃の影響を緩和してきたという。 ・ 特に印象的だったのは、 . . . 本文を読む

(ベネズエラ連帯) ベネズエラ・ラテンアメリカ短報No.72 ペルー

2022-12-23 | ラテンアメリカ
(ペルー要点) ・ ペルー人民の全国的闘争は、外出禁止令や国家非常事態の発令を無視し、軍と警察による激しい弾圧にもかかわらず、拡大・発展しながら持続している。 / 闘争の全国的指導部はまだ形成されていないようだが、共通して4つの要求(カスティージョの解放と大統領への復帰、現反動議会の閉鎖、新たな総選挙の早期実施、新憲法制定議会の創設)が掲げられている。 / 各地の有力組織を中心に、また自然発生的に、多くの人々が闘いに加わっている。 ・ 米帝国主義の関与が暴露されている。 / クーデター2日前の12月5日、在ペルー米国大使リサ・ケンナが、その前日に国防相になったばかりのグスタボ・ボビオと面談していた。12月6日にはボルアルテと会い、ケイコ・フジモリとも対話。 / ケンナは、元CIAエージェントで、トランプ政権下で国務省の事務次官やポンペオ国務長官の上級補佐官を務めていた。 / 米国防省の軍事支援・諮問グループ(MAAG)の作戦担当官マリアーノ・アルバラードも中心的人物のひとりで、ペルー軍将官と緊密に連絡を取っていた。 / 米国はクーデターの翌日12月8日にボルアルテ政権を承認。 ・ クーデター政権の“大統領”ボルアルテは、カステージョ政権発足当初からの閣僚。「ペルー・リブレ」党員だったが、22年1月、自分は「ペルー・リブレ」のイデオロギーを受け入れたことはないと述べ、同党から追放された。その後も、閣僚、副大統領として政権にとどまり続けていた。 ・ クーデターを糾弾しペルー人民の闘いに連帯する国際的な運動も拡大している。 / ハバナで第22回会合を開いたALBAは、その最終宣言でクーデターを拒否し、選挙で選んだカスティージョ大統領の政府を守ろうとするペルー人民を支持し、それへの弾圧を糾弾している。 ・ 議会を支配し軍と警察およびその他の国家諸機関を掌握している反動勢力は、昨年7月のカスティージョ政権発足の時から一貫して政権攻撃を続けてきた。 / 反動勢力による攻撃が続いている下で、与党「ペルー・リブレ」は6月末~7月に分裂。党首セロンが政権の右傾化を非難してカスティージョに離党要求(「7.14 報告」参照)。 / その後、反動攻勢がいっそう強められてきて、今回の事態に。 . . . 本文を読む

(ベネズエラ連帯) ベネズエラ・ラテンアメリカ短報No.71 ペルー

2022-12-16 | ラテンアメリカ
(ペルー要点) ・ 12月7日、議会クーデター。カスティージョ大統領を弾劾・解任し、ボルアルテ副大統領が昇格・就任。 / 議会による大統領弾劾には、議員の3分の2以上の賛成が必要(一院制130議席で87以上)。既に2度、賛成票不足で失敗していて、今回が3度目。 / 今回も事前にわかっている賛成票は87に達してはいなかった。だが、投票が行われる直前にカスティージョが、議会の一時閉鎖と臨時政府樹立による全権掌握を一方的に宣言。それに対して議会が反発し、101票の賛成で大統領弾劾を決議。 / カスティージョは、国家警察に逮捕され拘束された。 ・ カスティージョの行動に不審な点があり、薬物を飲まされて利敵行為になるようなことをさせられた可能性がある。スペイン語のGranmaとteleSURが報じた。ただし英語版では、また他でも、報じられていない。確かな証拠が未だないためだと思われる。 / いずれにしても、人民は、議会によるクーデターだとしてカスティージョの復帰と反動議会の閉鎖を要求している。 ・ 人民の抗議行動が全土で拡大し、全国的なストライキ闘争に発展。カスティージョを支持し、即時釈放と大統領への復帰、議会解散と新たな選挙、新憲法起草の制憲議会設立などを要求している。 / 幹線道路や空港を封鎖。全国的に交通がマヒ。抗議者たちのツイートには「テレビでは全て平穏だと言っているが、街頭では革命が起きている!」と。 / ボルアルテは、当初2026年7月の任期満了まで大統領を務めるとしていたが、人民の抗議行動の拡大、全国化、大規模化によって、総選挙の前倒しを表明せざるをえなくなった(11日に2024年4月に行うとしたが14日にはさらに早めて23年12月に)。 ・ カスティージョ政権は2021年7月に発足。右翼政党が議会で多数を占め、公的機関の多くを右翼勢力が支配している下で、系統的・継続的に政権攻撃が行われ、16ヶ月の間に4回も政権改造を余儀なくされ、法案もほとんど成立させられず、選挙公約もほとんど実現できない状況になっていた。 / 不満をつのらせた人民の怒りが今回の事態をきっかけに爆発し、停滞していた状況が大きく動きはじめた。 ・ キューバ、ベネズエラをはじめとして、ラ米カリブの多くの政府や諸組織がカスティージョ政権支持を表明。さらに、 . . . 本文を読む

(ベネズエラ連帯) ベネズエラ・ラテンアメリカ短報No.70

2022-12-02 | ラテンアメリカ
(ベネズエラ要点) ・ 経済回復が進展している。 / 経済的多様性を拡大し、石油に依存しない経済への転換がかなり進んだ(cf. 「8.25 報告」)。「反封鎖法」や「経済特区法」が機能している。 / 石油生産についても、従来は欧米の技術だったので封鎖によって輸出だけでなく生産そのものも大打撃を受けたが、それをイランとロシアの技術に転換していくことで回復過程にある。 ・ コミューンを軸とした人民権力の確立へ向けて法整備を進めようとしている。 / 現在、コミューナル・カウンシル約49,000とコミューン約3,000が正式登録。 ・ コロンビアとの関係改善が進展。国境封鎖解除で交流再開。ペトロ大統領(8月7日就任)が11月にマドゥーロ大統領と会談し、国交回復が正式に完了。 / ペトロは、国際社会(特に米国)にベネズエラとの関係改善を促している。 ・ マドゥーロ政権と米国支援の反政府勢力との対話が約1年ぶりに再開し、社会問題対策で一定の合意。対策には米政府が押収していた30億ドルを活用することに。 ・ シェブロンがベネズエラでの経済活動再開へ。米財務省が限定的ライセンスを発行。米封鎖の破綻が現実のものになり始めた。 ・ グアイドの没落。ベネズエラ野党連合は、グアイド支持を撤回する準備を進めている。米バイデン政権もそれに追随するようだと報じられている。 / 米州機構(OAS)においてさえグアイド追放決議が準備され、グアイド派代表が出席を取りやめた! ☆ 「コミューン・プロジェクトにおける創造的緊張」と題した報告がVenezuelanalysisに2回に分けて掲載された。最近コミューン担当副相に就任したエルナン・バルガスが、国家と草の根グループとの間の「創造的緊張」関係について語っている。その主要な内容を最後にまとめている。要点は次の通り。 . . . 本文を読む