安倍政権は、国民世論の圧倒的な不安や反対を押し切り、安全保障関連法=「戦争法」案の閣議決定を強行し、5月15日国会に上程した。恒常的な戦争支援を内容とする新たな「国際平和支援法案」と、10本もの「安保法制」改定を一括審議とし、国会を大幅に延長して今国会で強行成立させようとしている。私たちはこの暴挙を断固糾弾する。「戦争法」案は、武力の不行使と戦力の不保持を謳った憲法9条を踏みにじるものだ。「専守防衛」を原則とした歴代政権の憲法解釈を根底から覆すものだ。絶対に認められない。
この法案は、自衛隊が、米国らが世界中で行う戦争に参戦し、不可分一体となって軍事行動を行うことを最大の目的としている。極東と東アジアの緊張を著しく高め、軍事衝突から戦争勃発の危険を現実のものとする。米国が朝鮮半島に攻撃をしかけ日本の自衛隊も直接攻撃に加わり参戦できるようになる。平時から南シナ海で中国を挑発しながら米軍と一緒に軍事的威圧活動をすることで、朝鮮半島や日本周辺・南シナ海の緊張を高め、戦争に発展する状況を作り出してしまう。
米国は強大な軍事力によって大戦後数々の戦争を行ってきた侵略国家である。戦後歴史的に米国が攻撃された例は一つもない。朝鮮戦争、ベトナム戦争、湾岸戦争、アフガニスタン戦争、イラク戦争等々で大軍によって攻め入り、国家を破壊し、国土を蹂躙し、多数の無辜の人々を殺りくしてきた。
安倍政権が、地理制約を取り払い、「米軍の防衛」「米軍等への後方支援」などとしてやろうとしていることは、このような米軍をサポートし一体となって侵略に関わることに他ならない。
安倍首相が言っているのは全てデタラメだ。ホルムズ海峡の機雷除去は、石油タンカーの航行を可能にするためではなく、米艦隊が攻め込むための航路を掃き清めるためだ。「後方支援」は、戦争に不可欠の武器・弾薬・燃料などを前線に運び込む「兵站」=軍事行動そのものだ。「治安維持」活動とは、パトロールや検問、家宅捜索など敵対勢力を探し出し武力によって拘束、殺害するきわめて危険な任務だ。「駆けつけ警護」は、敵に襲われた友軍のもとへ飛び込み抗戦する。
いずれも、殺すか殺されるか、死と隣り合わせの任務である。
「戦争法」は、戦地に赴く自衛隊員のみならず日本に住む私たちや海外にいるすべての日本人に関わってくる。決して他人事ではない。途上国などで活動するNGOは、今回の法案に強い危機感を抱いている。これまで憲法9条を守ることを日本政府が言明することで「中立」と見られていたが、「戦争法」によって米軍の側、侵略軍の側に立つことを明確にすることになるからだ。戦争は「テロと暴力の連鎖」「憎悪と報復の連鎖」を生み出す。このことは10年以上にわたって泥沼化しているアフガン戦争、イラク戦争が何よりも証明している。リビア、シリア、そして「イスラム国」へとますますます拡大している。私たちは、世界の罪なき人々を殺すことも、また殺されることもきっぱりと拒否する。
「積極的平和主義」とは、武力による威嚇と行使を背景とした軍事外交政策である。日本の自衛隊も米軍なみの犠牲をいとわない「血の同盟」である。時代錯誤も甚だしい、暴力と恫喝を頼みとした政策を放棄すべきだ。
安倍政権は、「戦争法」(安全保障関連法)の閣議決定を撤回し、法案を取り下げよ。
(ハンマー)