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米軍は沖縄県民の命と健康、教育と生活を脅かすな

2020-07-25 | 沖縄

米軍は沖縄県民の命と健康、教育と生活を脅かすな
米軍は直ちに全基地を封鎖し、検査の徹底と感染情報を公開せよ
日米地位協定を抜本的に見直し、米軍に特権を与えるな


米軍が大規模な基地クラスターを発生させた
 在沖米軍基地では、7月に入り、大規模なクラスター(集団感染)が発生している。19日までに在沖米軍関係者の感染者は、わかっているだけで、普天間飛行場で77人、ハンセンで59人、嘉手納基地など3施設で7人にのぼっている。25日には更に増えて228人にまで増えた。さらに、感染者のうち少なくとも46人が基地の外で行動していることが判明している。沖縄県民の命と健康、教育と生活が彼らの知らないところで脅かされる深刻な事態となっている。米軍関係の客を乗せた80代のタクシー運転手の感染がすでに判明している。この運転手は米海兵隊キャンプ・ハンセンに出入りしていたというが、基地に出入りするべースカーは100台を超える。感染は起こるべきして起こった。基地での感染拡大で、沖縄県民に影響が広がっている。基地従業員や軍関係者に直接感染者が広がるだけでなく、彼らの子どもが学校を休まざるを得なくなったり、従業員やその家族が、病院で診療や面会を制限される事態も生じた。退職を即断した人もいる。県経済にも再び冷や水を浴びせている。宿泊キャンセルが相次ぎ、商業施設への客足が鈍ってきている。沖縄では米軍基地から溢れ出る県民への被害が後を絶たない。普段から米軍由来の事件事故や騒音に苦しめられてきた沖縄県民にとって新たな基地被害が付け加わったのだ。


感染を広めたのは米軍のずさんな感染対策だ
 なぜ沖縄で大規模な基地クラスターが発生したのか。感染源は日本ではない。アメリカなのだ。沖縄では7月まで2ヶ月以上感染者は出ていなかった。一方、アメリカは世界一の感染国となっていた。そのアメリカ本土から米軍兵士は移動してきていた。この7月8月は、会計年度の変わり目(9月)にあたり、大量の人事異動者がやって来ているのだ。「今後、新たな航空機4機で約800人が到着予定」との情報もある。米軍兵士が沖縄に入ってくるルートは決まっている。米軍兵士と関係者は、アメリカ本土のシアトルから、米軍関係者用の米政府チャーター機「パトリオット・エクスプレス」を使って、直接、東京の横田基地に入り、山口県の岩国基地を経由して、沖縄の嘉手納基地に乗り込んでくるのだ。現在は月に10便程度が運行されている。在日米軍司令部は直行便の利用を奨励している。
 米軍関係者が日本に入る場合の感染対策は極めて杜撰なものだ。過去14日間の症状や病歴などの質問票の記入と体温検査のみで、無症状の場合PCR検査は実施されない。米国を出発する際と沖縄に到着する際には、14日間の隔離措置を講じるとされているが、脇の甘いものであり、実際は基地内で感染者を急増させている。米国の入国体制は日本の検疫体制の抜け穴になっているのだ。
 ちなみに日本では現在アメリカからの入国を基本的に拒否している。しかも空港では入国者の全員にPCR検査を義務づける検疫体制をとっている。例外的な米軍関係者の入国に対しても日本の検疫に従ってPCRの対象となっている。感染防止についても米軍経路が日本のルールが適用されない抜け道となっている。

 米軍は感染経路や感染者の行動履歴などの情報を開示していない。しかし、在沖米陸軍第10地域支援軍は、10日付通達文書で、異動で沖縄に到着した要員が移動制限を守らず、ビーチパーティーなどの集会で、移動制限や社会的距離など、複数の規制が遵守されなかった結果だと指摘している。 
 新型コロナウイルスに感染した、少なくとも2人の普天間飛行場所属の米兵が、先月末に、米シアトルから嘉手納基地経由で沖縄入りしていたことがわかっている。在沖米軍基地で、感染が広がるきっかけになった可能性がある。アメリカでは毎日数万レベルの新規感染者が出ており、「反マスク集会」が行われるなど感染対策の認識が脆弱になっている。大規模感染の一因ともされる7月4日(独立記念日)前からの基地内外のパーティーやイベントが社会的距離など関係ないとばかりに傍若無人に行われた。うるめ市での米軍関係者の700人規模の屋外祝賀パーティーでは、密集状態で踊りはしゃぎまわる映像が映し出されている。この行動が在沖米軍の、引いては沖縄県の感染を急拡大させたのだ。


感染防止に立ち塞がる日米地位協定の壁
 なぜアメリカは日本の防疫方針に従わないのか。治外法権を認める日米地位協定があるからだ。抜け穴が大きくあく構造的仕組みとなっている。第9条2項には、「合衆国軍隊の構成員は、旅券及び査証に関する日本国の法令から除外される」とあり、米兵は入国に関わる一切の手続きを免除されている。検疫もない。日本政府の水際対策も無視されるのだ。さらに米軍関係者の外国人登録は免除され、住民登録も不要であり、自治体が地元の基地外に住む米軍関係者の人数をは把握できない現状にある。
 沖縄は、ヘリ墜落に米兵の犯罪、騒音、土壌汚染と、米軍がもたらす基地被害に直面してきた。その真相究明の解明のたびに日米地位協定の壁が立ち塞がってきた。沖縄は国土面積の約0.6%しかないのに全国の米軍専用施設面積の約70.6%が集中している。日本は沖縄に基地の負担を押し付けている。沖縄は基地被害も集中してうける。大規模米軍コロナ感染拡大の影響は計り知れない。県民の生活の場を守るために米軍の特権を見直すことは不可欠なのだ。


怒りと不安の声が広がる沖縄  全員一致の決議、意見書可決 続々
 米海兵隊が新型コロナ感染対策で北谷町内のホテルを米兵用の隔離用に借り上げたというニュースが伝わると、沖縄では一気に「なぜ基地の外に置くのか」という怒りの声が巻き起こっていった。すでに北谷町は2日から抗議を始めている。前泊沖国大教授は、米軍が情報を開示しなければ、県は強い姿勢で基地の「ロックダウン」を求めるべきだと主張した。当初米軍の感染者数非公開を受け入れていた玉城知事は7月11日に感染者数の公開に踏み切り、姿勢を転じた。
 玉城知事は7月15日に、政府に対して米軍基地内の対策を徹底するよう要請した。日本の防疫法に基づいた管理体制がとれるよう、日米地位協定を見直すよう申し入れた。①米国から沖縄への移動の中止 ②入国する全ての米軍関係者にPCR検査を実施 ③クラスターが発生している基地の閉鎖 ④基地内の警戒レベルを最高に引き上げ ⑤日本人従業員の感染防止の徹底 ⑥感染者の行動歴などの速やかな提供 ⑦沖縄への配属数、基地外居住数などの提供、などが主な内容だ。
 県議会は10日に全会一致で、抗議決議をあげた。その後、基地を抱える市町村議会は抗議決議や意見書を相次いで可決している。17日までに、宜野湾市、金武町、宜野座村、北谷町の各議会が可決、20日に沖縄市議会が、21日に伊江村議会、中城村議会が可決した。
 在沖米軍関係者約5万2千人のうち約1万6千人、3分の1が基地外で生活し、県民と接触している。周辺市町村では米軍関係者から感染する可能性に不安と恐怖を感じ、感染者の行動履歴の情報提供や、軍関係者の外出禁止の徹底を求めている。さらに、日米地位協定の改定による検疫法などの国内法適用を求めている。しかも全員一致で。伊江村議会では、伊江村補助飛行場での訓練を即時中止するよう求め、同村への軍人軍属の移動中止、日本人基地関係者に対する検査実施と休業時の補償なども求めている。

 県内では医師会や自治体によるPCR検査の実施に向けた動きを開始している。19日には米軍キャンプハンセンがある金武町の町民198人に無料でPCR検査を実施した。症状の有無にかかわらず感染の可能性のある基地従業員を対象とするPCR検査にも着手しようとしている。
 基地から派生したコロナが子どもの人権や学習機会を侵害する事態が起こっていることを重視し、玉城知事は「偏見や差別的な発言、取り扱いを絶対行わないよう」強く呼びかけ、県教育庁も「医学的根拠なく自宅待機するのは不適切」と市町村教育委員会に通知し、対応に乗り出している。


姿勢の転換を迫られる日本政府  日米地位協定を見直せ!
 県民の不安や批判の声に押されて、日本政府も姿勢の転換を迫られた。7月15日に河野太郎防衛相は、これまでの対応とは一転して感染拡大を陳謝し、県や米軍と連携して感染対策にあたるとした。以後、米軍基地を通じて入国する全ての軍関係者へのPCR検査の実施が行われるようになった。在日米軍基地での感染者数の公開もなされるようになった。しかし、感染経路、感染実態、感染対策は依然として「ブラックボックス」の中だ。これでは沖縄県民の命と健康は守れない。日米地位協定は変えずに現行の制度で対応するというが、米側が2008年以来提供してきた基地外居住者数は、2013年以来日本政府にすら情報提供しなくなった。根っこである日米地位協定を見直さない限り沖縄は感染の危険にさらされる。                                                  (M)

 



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