新刊の森

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大いに興味をそそられる「ドイツの新右翼」

2019年01月11日 | 新刊書
ドイツの新右翼
フォルカー・ヴァイス (著), 長谷川 晴生 (翻訳)



移民問題をきっかけに台頭したドイツの新右翼。
日本とは違う思想的な背景があって、侮れません。
とくにシュミットの「大圏域」の地政学との関連は気になるところです。
大いに興味をそそられる本です。
現代の問題を考えるためにも貴重な一冊。


単行本: 468ページ
出版社: 新泉社 (2019/1/11)
言語: 日本語
ISBN-10: 4787718274
ISBN-13: 978-4787718273
発売日: 2019/1/11
¥ 3,024



まえがき
第1章 新右翼――その系譜の探索
第2章 アルミン・モーラー――つくられた伝説
第3章 AfDへの道――諸勢力の結集
第4章 右からの挑発――スペクタクルの政治
第5章 保守‐破壊的行動――街頭の精神から
第6章 没落と救済――「秘められたるドイツ」の決起
第7章 夕べの国――ある神話小史
第8章 敵の空間と形態――イスラーム、アメリカ、普遍主義
第9章 新右翼の「核心」――権威主義的ポピュリズム

引用文献

解説 もう一つのドイツ――保守革命から新右翼へ 長谷川晴生
資料

内容紹介
AfD(ドイツのための選択肢)、Pegida、アイデンティティ運動、といったドイツの極右勢力は、日本では、「反移民、反難民、反権威主義などを掲げて湧いて出てきた右翼ポピュリズム」と単純に理解されがちである。しかし、実際には、戦後のドイツ連邦共和国(リベラリズムの優等生)を生き延びてきた思想的遺産の継承者であり、その歴史は戦間期(ヴァイマール共和国時代)にまで遡る。
彼ら右翼は、1968年に先進国で同時多発的に起きた社会運動の手法を手本にして、社会的な立場を確立した。そして、2010年代の難民問題を飛躍のチャンスに変え、一挙に「新右翼」として世に出てきたのである。 また、日本人にはほとんどなじみのない、ドイツ戦間期の「非ナチス」的右翼を源流とした「保守革命」(A・モーラー)について、19世紀からのドイツ極右の歴史を専門とする著者・ヴァイス氏は詳細に解説し、ドイツ右翼の思想的柱である「保守革命」の欺瞞を一つひとつ暴いていく。
本書は、そんなドイツ「新右翼」の系譜を、時事的、思想史的な視点から掘り下げた一冊である。とくに、ドイツの右翼が思想的なよりどころとする、シュペングラーの「夕べの国(西洋)」の概念史、シュミットの「大圏域」の地政学と新ユーラシア主義への言及は、ほかに類書を見ることはなく、ドイツ新右翼のすべてを解説した決定版といえる。


著者について
フォルカー・ヴァイス
1972年生まれ。19世紀から現在までのドイツの極右を専門とする歴史家、評論家。ハンブルク大学で歴史学の博士号を取得後、複数の大学での非常勤講師を経て、現在は新聞や雑誌での執筆活動を展開している。
単著に『近代的反近代――アルトゥール・メラー・ファン・デン・ブルックと保守主義の変容』(2012年、未邦訳)などがある。

長谷川晴生(はせがわ はるお)
1984年生まれ。エルンスト・ユンガーなどのドイツ文学、思想を専攻。東京大学大学院総合文化研究科修士課程修了。東京理科大学および埼玉工業大学非常勤講師。
共著に『共感覚から見えるもの』(北村紗衣編、勉誠出版、2016年)、共訳にギュンター・フィガール『問いと答え――ハイデガーについて』(法政大学出版局、2017年)などがある。


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