象が転んだ

たかがブロク、されどブロク

鏡張りの部屋、その32〜DRドレフュスの陰謀と親友ダルデスの憶測と〜

2020年01月19日 04時02分28秒 | 鏡張りの部屋

 前回の”その31”では、違法な薬物を投与されたレオニーの意識が明らかになったが、彼女の顧客の中には、疑惑の人物であるドレフェス医師の名はなかった。

マーロウの洞察はやはり間違ってたのか?極秘捜査は行き詰まりを見せるのか?これからも目が離せない!?


 マーロウは誰もいないひっそりとした事務所のデスクに座り、届いた郵便物を横におき、一人煙草を吹かしていた。
 今日は何もする気になれないのだ。Drドレフェスがレオニーの顧客じゃないとすると、レオニーが襲われたのが単なる通りがかりの、それも気まぐれな金目当ての犯行だとしたら?そう考えるだけで何もかもが嫌になった。

 電話が鳴った。秘書のライリンからだ。
”ああ、私よ!わ•た•し〜!
今マイアミにいるんだけど、結構寒いわね
それと、ドレフェス医師のファイル
郵送で送ったんだけど、届いてるかしら?”

マーロウは少し怪訝そうになる。
”そんな大声で喚かなくても
しっかりと聞こえるさ
レポートは届いてるよ、ご心配なく
わざわざ休暇中というのに
ゆっくりと休んでればよかったものを
仕事はこっちに帰ってからヤレばいいさ
俺も2、3日ゆっくりしようと思ってたのに
何だか、叩き起こされた気分だな”

 しかし、ライリンは何か言いたそうだ。
”私もゆっくりするつもりでいたの
でもその後、アナタの友人という医者から
電話が
あったのよ
何か重大な秘密が隠されてるらしいって
それで慌てて、
事務所にそのレポートを送ってもらったの
迷宮のホテルでは電話が繋がらないから
こっちも少し慌てたわ”

マーロウは郵便物の封を開け、レポートを広げた。しばらく考え込むとすぐに口を開く。
”ここに書いてある事が本当だとしたら
大変な事になるな!
たとえ半分が真実だとしても
かなりヤバイって感じだよ
ゆっくりしようかと思ってたんだが
これでまた仕事が増えた
君も帰ったら、大忙しになるだろうから
今はゆっくりと休み給え”

 ライリンはそれでも何か言いたげだった。
”えええっ〜どんな事?少しだけ教えてよ
私達の間に秘密は禁物でしょ?
ねえぇ〜そうでしょ?ねえぇ〜?
触りだけでいいから、教えて頂戴(^^♪”

 マーロウは笑う。
”この馬鹿オンナが💢
俺らの間には、秘密だらけじゃないか
俺はアンタの3サイズすら知らないんだぜ
オマンコの形もオッパイの形も
何も知らないんだ
全くの秘密だらけじゃねーか💢”

 彼女も大笑いした。
”それは秘密じゃなくて、
スケベって事でしょ?ス•ケ•ベぇ〜

 マーロウはレポートを伏せ、窓を開けた。
”とにかく、今はゆっくりと休んでろ
携帯は全て必ず、圏外にしておけ!
超VIPの身元調査ってのは、
命の危険に晒される事があるんでな
とにかくいい休日を”

彼女は呆気なく電話を切った。


マーロウは事務所の鍵を掛け、ブラインドを閉ざした。デスクライトだけの明かりにして、レポートを読み始めた。

宛名は友人の家庭医からだった。
”ここに書いてある事は
モサド(イスラエル情報機関)の
ある諜報員の一人から聞いた話だから
信憑性は低くはない筈だ
つまり、Dr.ドレフュスはCIA(中央情報局)と
裏で繋がってる
という噂だ
最初は映画なんかの1シーンだと
俺も思ったが、しかし読んでるうちに
満更フェイクではないと思う様になった
先日のニュースにもあったように
トランプはイランのNo.2を暗殺した
一方で、イランはイラクの米大使館に
高度なドローンシステムを使い、
中強度のミサイルを打ち込んだ
予告攻撃だったので、死者は出なかったが
全面戦争に移らないとも限らない
今、アメリカの経済は中国との貿易摩擦で
完全に行き詰まっている
イランにやり返すにも
強いアメリカ屈しないアメリカを
イランに世界に見せつける為にも
ある一定の資金が必要となる
もしイランが国際世論を逆手にとって
アメリカを孤立させたら
まずアメリカ経済がダメになる
そこでアメリカ政府は大麻を合法化して
中東の金持ち連中に高価で毒性の強い
合成麻薬を広範囲に売りさばこうと考えた
これを「第三次アヘン戦争」と言うのかな
今まで地下に潜ってた闇組織は
CIAやアメリカ政府の援助を受け
堂々と表舞台で勝負できる様になった
勿論、大手薬剤業界や全米医師会も動いた
その中の超重要人物に
なんとドレフェス医師がいるという噂だ”

マーロウは煙草を取り出した。
”やっぱりか!汚えオッサンのする事だ
全てはお金の世界って事だな
イラン政府やの軍上層部にも
高価なアヘンを売りさばこうって魂胆か!
あいつらの脳みそは金とオンナと薬物
腐りきってるだろうからな”
  


 その時、電話が鳴った。レポートを送った家庭医の友人からだ。名前はダルデスといった。
”レポートは読んでくれたかな?
いきなりでビックリしたろう?
俺もびっくりしたよ、内容が内容だけにね
ドレフェスは、確かシリア系難民だったよな
どうやら、シリア系シーア派の秘密組織と
裏で繋がって
るらしい
彼が独自に処方する合成薬物は
イランの高級官僚や軍幹部の間でも
とても人気があるそうだ
高値でもバンバン売れるらしい”

マーロウは不貞腐れた。
”結局、あのオッサンも薬の売人だった訳だ
それもわざわざシリアから抜け出してきて
亡くなったオヤジは今頃
悔やんでも悔やみきれないだろうな”

 ダルデスはマーロウを遮った。
”アメリカに暗殺されたソレイマニだが
ドレフュス医師の顧客だったらしいな
子供の頃からの幼馴染で
連絡を秘密裏で取り合ってたとの噂だよ”

 マーロウが今度はダルデスを遮る。
ソレイマニの情報をCIAに売ったのは
Drドレフェス
という事なのか?
親友をシャブ漬けにし、挙げ句の果てには
大金目当てに売りさばくという事か?”

ダルデスは頷いた。
”まあそういうとこかな
総額で100億ほどの大金が
ドレフェスの懐に入ったそうだよ
薬を処方するよりもずっと効率的だな”


マーロウは少し不機嫌になった。
”という事は、ドレフェスと闇組織の関係は
これっぽちもなかった
という事になるな
CIAを通じてアメリカ政府と
繋がって
た方が利回りもいいし
何よりも安全だもんな
レオニーがドレフュスの事を知らない
と言ったのも、全くの嘘じゃなかったんだ”

ダルデスは少し笑った。
”そう落胆しなさんな、マーロウ探偵殿
チンケな闇組織よりもペンタゴンやCIAを
相手にした方が、
ずっとずっと
遣り甲斐があるんじゃないのかな?
要は考えようだよ、マーロウ君!”

 マーロウも笑う。
”君も大学時代から全く変わらないな
俺はあの頃、詩人になりたくて
君は、戯曲家になりたかったんだよな
でも両方とも落ちぶれちゃってこのザマさ”

 ダルデスは静かに頷いた。
”ドレフェスだって、医者になりたての頃は
正義の塊だったんだぜ
常に弱者の味方だったし、
ハングリー精神旺盛だったさ
それがどうよ?今では俺達と
アンマリ変わらないじゃないか(笑)”

マーロウは首を横に振る。
”あいつは今や単なる運び屋だぜ
それもペンタゴン、いやCIAの手下の奴隷
これがイランにでも漏れてみろ
あいつは確実に消されるな”

ダルデスは真顔になった。
CIAはドレフェス医師を
イランに売り飛ばす
気でいるよ、絶対にね
ソレイマニ暗殺の罪の全てを
ドレフェスに押し付ける
つもりさ
そこで、再び大金が動く
アメリカはイランと和解し、
国際世論はアメリカを讃え、
トランプは見事に再選を果たす”

 マーロウは再び笑う。
全てはアメリカの中で
転がってる
って訳だな?ダルデス君
全米最高の医師がソレイマニと繋がってた
そして、ソレイマニ暗殺に大きく加担した

 ダルデスも笑った。
ソレイマニもドレフェス医師の
闇情報を握って
いたのさ
そしてドレフェスにとっては
ソレイマニ氏が邪魔に
なった、そこで
CIAを利用し、ソレイマニを暗殺した”

マーロウは少し不貞腐れる。
”イラクのアメリカ大使館襲撃や
駐米軍施設へのドローン攻撃の全てを
ソレイマニのせいに
すればいいんだからな”

ダルデスは急用を思い出したらしく、マーロウに注意を促して、電話を切った。
”とにかくだね、マーロウ君
今は急には動かない方がいいと思う
ドレフェス医師を刺激しすぎると
最悪の事態になりかねない
僕は今から出掛けるけど
少ししたらまた電話する
とにかく焦っては事を仕損じるだよ”

マーロウは少し窓を開け、煙草を蒸す。
”一体どうなる事やら?
大変な事になってきたぞ”


ようこそ、
我がホテルカリフォルニアへ
🎵ここは素敵な場所でしょ🎵
🎵ここは素敵な人達でしょ🎵



2 コメント

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ソレイマニ&Drドレフェス (hitman)
2020-01-19 05:20:13
こう来ますかぁ
ソレイマニとドレフェス医師を繋ぐってことは
イランとCIAの間にドレフェスが挟まってるというよねぇ〜
という事はウクライナ機撃墜の件も深く関わってくるという事だよねぇ?

昨日の真夜中の訪問者と上手くリンクさせてるとこが憎い憎いぞー
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hitmanさんへ (象が転んだ)
2020-01-19 12:40:02
少し展開が複雑になり過ぎてますかね。
書いてる本人も少し混乱してます。
返信する

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