象が転んだ

たかがブロク、されどブロク

クリミア奪還とプーチン敗北のシナリオ

2023年04月09日 11時46分28秒 | 戦争・歴史ドキュメント

 「無限級数の不思議な世界」に寄せられたコメントに、”(ロシアとクリミア半島を繋ぐ)クリミア大橋を破壊すれば、ロシアの敗戦は濃厚になる”とあった。
 私も、落とし処をどこに持っていくかで、ロシア=ウクライナ戦争が一気に終束する様な気がしている。
 つまり、数学上の解析接続がそうである様に、プーチンの戦争を数理モデル化し、その本質を炙りだせば、収束値(最適解)が自ずと求まる筈だ。
 その収束値というのが、”クリミア大橋”である。つまり、この(戦場に掛かる)橋を潰せば、重要な施設や軍事基地が結集するクリミア半島に軍や兵器を集結できなくなり、ロシア軍はウクライナで枯渇する。

 当初ロシアは、北からの攻撃で首都キエフを簡単に落せると踏んでいた。が事前に、ウクライナがキエフに繋がる橋を破壊し、更にダムを決壊させたお陰で、ロシア軍はキエフに辿り着く事が不可能になった。
 そこでロシア軍は北からの攻撃を諦め、クリミア半島を軍事拠点とし、そこから親ロシア派軍と共にウクライナ南東部を攻撃した。しかし、これも西側から見れば、想定された事でもある。 

 事実、今年の2月下旬には、ロシア軍の大規模な総攻撃があると予想されていた。
 が、3月の末までの地上戦を見た限りでは、総攻撃にはほど遠く、バフムトなど東部の拠点を占拠しようとした、犠牲を顧みない歩兵主体の攻撃に過ぎなかった。
 故に、ロシア地上軍は兵員の損害が多く、自慢の攻撃力も不足し、限界を迎えつつある。更に、残存兵力は逐次防御に転移している。
 つまり、ロシア軍は攻撃できないレベルまで落ちてしまったともされる。
 以下、「ウクライナ軍の大反攻、口火切るのはクリミア大橋の破壊か」より一部抜粋です。


クリミア奪還の為に

 一時はロシア有利とされた予想も、ウクライナ軍の強大な反撃を受ければ、ロシア軍は打ち破られ、瓦解するとの予想がチラホラ聞こえてくる様になった。
 そこで、ウクライナ軍の勝利に大きく貢献する筈のシナリオを考察する。

 これまでは、ロシア軍が占拠した地域の重要目標に対し、無人機や長射程精密誘導ロケット砲などで1つ1つ時間を掛けて破壊してきた。が、これからは戦闘機や攻撃機などの破壊力がないと十分な成果が得られないだろう。
 また、ロシア軍の重要な兵器などは長射程ロケットの射程外に避難してる為、前線から遠く離れた重要施設や兵站施設や指揮所を破壊するには、更に高性能の戦闘機等が必要となる。
 例えば、クリミア大橋まではザポリージャ州から約280km、へルソン州からは約350km離れてる。
 一方で、ロシアの防空ミサイルもこれらの基地等を守るように配備され、GLSDBという長射程の誘導ロケット弾(最大射程150km)でも届かない。
 長射程ロケットが供与されるには、5半年以上が掛かるとされ、故に、露軍の重要施設を破壊するには、長距離の対地攻撃能力を有する戦闘機が必要になる。
 つまり、ウクライナ軍がロシアに勝利する為には、クリミア大橋とクリミアの海空軍基地を破壊し、クリミア半島を奪還する事にある。
 その為にはまず、高性能の戦闘機が絶対に必要だ。戦闘機が目標に接近し、長距離の対地攻撃ミサイルを発射する。例えば、MiG29を射程150kmのミサイルが発射できる様に改良する。いや、長射程ミサイルを発射できるF16を大量に供与してもらう。
 つまり、MiG29を改良するよりは、F16であれば改良する必要もない。

 事実、破壊された露軍の防空兵器の数は、今年の4/1までで約300基で、露軍が投入した約23%に過ぎない。
 ウクライナ地上軍が反撃するには、ウクライナ領域上空の航空優勢を確保し、空からの支援が不可欠である。その為に、多くのロシア軍防空ミサイルを徹底的に破壊する必要がある。
 こうして、空と陸からクリミア半島に近づき、ロシアとクリミア半島を結ぶクリミア大橋を破壊する。すれば、ロシア領内への退却経路が遮断され、兵站支援もストップする。
 実際、F16運用の為のパイロットの訓練や整備などの兵站支援の準備も進んでるとの情報もある。
 まさに今、米欧は反撃の開始前の戦闘機を供与すべき時に来ている。但し、F16をウクライナに供与すると、ロシア領域内を攻撃する事も考えられ、戦争が拡大する可能性もある。
 以上、JPpressからでした。


最後に〜戦場にかける橋

 勿論、こんな単純には行く筈もないが、”クリミア奪還”という収束値が見えてきたのは、ウクライナにとっても西側にとっても大きな成果でもある。
 今回のプーチンの侵略戦争は、クリミア半島に始まり、クリミア半島に終わる。
 2023年のクリミア奪還ではクリミア大橋が焦点となりそうだが、1853年はセバストポリ要塞であった。つまり、1853年のクリミア戦争の惨劇が再現される。
 因みに、ロシアがオスマントルコに進軍する形で勃発したこの戦争も、一時は膠着し約2年半を要した。表向きは英仏がロシアに勝利したものの、事実上の戦勝国はいない。が、産業革命を経験した英仏の高度な軍事力が(兵士の数で勝る)ロシアを圧倒したのも確かである。
 但し、この戦争が後の日露戦争(1904)やノモンハン事件(1939)に繋がった事を、日本人はしっかりと記憶に留めておくべきだろう。

 西側メディアも、一時は春先のロシアの総攻撃にウクライナは耐えられないだろうって見方もあったが、ここに来てロシア窮地の憶測が流れ始めている。
 一方で、ウクライナも(後の事を考えると)これ以上犠牲者を出す事は許されないし、慎重に推し進める必要がある。
 解析接続も同じだが、1つ1つロシアの防空システムを丸裸にし、自軍の領域を慎重に拡張する事で落とし所が明確になる。
 これはリーマンがゼータ関数を解析接続で丸裸にした状況とよく似ている。
 つまり、数学と戦争は密に繋がってるとも言えなくもない。 

 映画「戦場にかける橋」(1957)では、イギリス軍捕虜たちの勲章とも言える橋が粉々に爆破され、英軍将校や列車の乗客までが犠牲になった。
 結局、戦争の本質は犠牲でしかない。うまく作戦をこなしたつもりでも、多大な犠牲だけが残る。そういう事が判りきってても人は戦争を犯す。
 映画では、”仲間を救うにはこれしか方法がなかったんだ”と悔やむシーンで幕を下ろすが、今回の戦争はどういう形で終結するのだろうか・・・



2 コメント

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戦術核 (腹打て)
2023-04-09 14:15:34
ただ、無鉄砲にクリミア大橋を破壊すれば
切れたプーチンが戦術核を使う可能性が高くなるから、全ては慎重に行くべきだろうね。
ポーランドには悪いけど、時代遅れのMig29は使えないと思う。
それにウクライナも内心ではF16が欲しいはず。
ウクライナ政府はクリミアに到達したら<ロシアと協議の用意がある>としてるけど、そこからが難関なんだよな。
戦術核という極値を巧く回避してクリミア半島を囲い込むことが理想だけど、リーマンの解析接続みたいに上手く行くのだろうか。 
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腹打てサン (象が転んだ)
2023-04-10 03:41:18
1853年のクリミア戦争の様に、今回も勝者なき戦いですかね。
プーチンに核を使わせないで、如何に和平に持ち込むか。
ウクライナは何とかクリミア半島を奪還したいだろうし、プーチンもクリミア半島だけは死守したい。

そのプーチンも(8年前のウクライナを含め)チェチェンとかグルジアとか格下の相手に勝利する事で支持率を何とか挽回してきましたが、今回は相手が違う。
もし、ウクライナ軍がクリミアに辿り着く事態になったら、ロシア国内は完全に混乱&麻痺するでしょうね。

コメントいつも参考にさせてもらってます。
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