昨日は、”中村医師の死に”ブログにアクセ頂いた方どうも有難うです。流石に人気がありますね。”沢口エリカ”(11/22)以来の”牛の解体”ブログを抜いてのトップです。
さてと、前回の”その28”では、レオニーを殺そうとした犯人の証拠を特定しかけたんですが・・・。その結果は?
車の中でマーロウは、酒でも呑みたい気分に駆られた。
”最近の事件は、何時もこうだ
あまりにも、計算され尽くし過ぎてる
何かに操られた様に、全てが進んでいく
全くどいつもこいつも、情ってもんがない
無機質な犯罪ばかりで、吐き気がする”
LA郊外の死体安置所に着くと、早速レオニーの爪から検出された血痕と死体との照合が行われた。DNA鑑定の結果は何とシロだった。
殺された男はレオニーを襲った犯人ではなく、ただの”運び屋”だった。幸運な事に、頭を撃ち抜いた弾丸はライフルではなく、ごく普通の小銃のものであった。
マーロウは一服し、心の中で呟いた。
”上手く逃げやがったな
二度目は、しくじらなかったって訳だ
お陰で、まだ俺にもツキがあるって事か?
全てはレオニー次第っていう訳だ”
マーロウは早速、老支配人に電話する。
”朝早く、眠たい所を叩き起こしちまって
半分は良い知らせで、半分は悪い知らせです
実は、殺された男なんですが
レオニーを襲った犯人じゃありません
喜んじゃいけないが、上手く逃げられました
今となっては、
レオニーさんだけが頼りとなりました”
老支配人は、少し落胆した様子だった。
”レオニーも何かを喋ろうとはしてるんだが
体力が付いてこんのかの
声がハッキリと聞こえんのじゃ
カミーユとダーレムが付きっきりで
声を掛けるも、反応が弱いでのう
こちらとすれば、どうしようもできんのじゃ
何か良い方法はないのかの?”
マーロウは老支配人を慰めた。
”こちらも、DNA鑑定の結果を元に
色々と当たってみます
今は、レオニーさんの回復を待つしか
他に方法がないでしょうね
薬を使って、意識を覚醒させるという
方法もありますが、今は危険すぎます
とにかく、レオニーさんの意識がハッキリと
戻ったら、すぐに連絡下さい”
老支配人が電話を切ろうとした瞬間、カミーユが飛び込んできた。
”マーロウさん!
レオニーの意識が少しハッキリしてきたわ”
声も何とか聞き分けれるみたい
今、ダーレムと何か必死に話してる所よ
レオニーさんの顧客の名簿があれば
記憶もハッキリと蘇り、犯人の特定も
何とかなりそうな気もするけど
そういうのって、機密扱いなんでしょ?”
マーロウは大声で叫んだ。
”わかった!今からレオニーの名簿を
麻薬捜査局から盗み出し、そっちに向かう”
カミーユも叫ぶ。
”そんな事したら、
マーロウさん、貴方が犯人にされるわ
無茶は禁物よ、何もかもチャラになるわ”
マーロウは首を振る。
”バカ言え、盗むと言ってもコピーするだけさ
鑑識に知人がいるから、利用するだけだ
それに、職員の殆どはキャリア組だからな
情報は筒抜けなのさ
とにかく、そっちこそ無茶するな”
老支配人がカミーユに代わり、電話に出る。
”とにかく慌てんと、無理せんとの
ここでアンタが捕まったら、
このホテルも、ダーレムもカミーユも
捜査局に全て引き渡さなきゃならなくなる
それだけは勘弁しての
それに、私の立場もあるからの”
マーロウは笑う。
”そこまでは無理しないさ
レオニーの顧客情報は、捜査局だけでなく
サツも握ってるはずだ
勿論、あらゆる闇組織も握ってる
それに、大体の目当ては付いてます
無理をする必要は何処にもない
どうかご心配なく
ただ、一つだけ気になる事があります”
老支配人は首を傾げた。
”なんじゃの?その気になる事とは?”
マーロウの洞察が唸った。
”Dr•ドレフェスが処方した薬なんですが
ごく普通の鎮静剤でしたよね
それにしては、レオニーさんの覚醒が
遅すぎると思うんです
最初からあの医者は
何か引っ掛かっるものがあったんですが
長い付き合いで、LA一番の名手ですから
全て信用してたんですが”
老支配人は声のトーンを落とす。
”ドレフェス医師が犯人とでもの?
まさか?それはないでしょうの
もし、あの医師が犯人なら、
レオニーを生かしたりはせんでしょうに
マーロウさん、少し考えすぎじゃよ
レオニーの命の恩人を犯人だとは?
少し飛躍しすぎとるんじゃの?”
マーロウは首を横に振る。
”私の思い違いならいいんですが
捜査の一番の基本として
身内を最初に疑えって事があります
一番信用ある人物から疑うという事です
レオニーに関わってる人物で
一番信用あるのは、ドレフェス医師です
次に、ダーレム、そしてカミーユ
しかし、カミーユもダーレムも
ホテルに缶詰だから問題の起こしようがない
消去法で行くと、ドレフェス医師になる”
老支配人は慌てた。
”だったら、レオニーに処方した薬は
毒性の高い薬物という事かの?
マーロウさん!
もしアンタが言う事が本当なら
その薬は投与しちゃアカンという事じゃの”
マーロウはゆっくりと煙草を蒸す。
”ま、そこまで慌てる必要もないでしょうが
今から、レオニーに投与された薬を
一錠だけもらいに来ます、
それで、すべてがわかる筈です”
老支配人は少し動揺していた。
”ああわかった、わかった
できるだけ、カミーユやダーレムに
気付かれん様に薬を一錠だけ拝借しとこかの
マーロウさんの推測が
間違ってる事を祈るばかりじゃがの”
マーロウも頷く。
”私も同感ですよ
LA一の名医と言われる人が
巨悪な犯罪に手を染めるなんて
考えただけでも、ゾッとしますからね
でも捜査は、全て疑う事が原則なんです
全く、嫌な仕事ですよ”
マーロウは急いでホテルに舞い戻ると、裏口から支配人の部屋に入り、処方された薬を受け取った。そして念の為に、普通の毒性の低い鎮痛剤を支配人に与えた。
”これをドレフェスが処方した薬の代わりに
与えて下さい、念の為です
くれぐれもカミーユとダーレムには、
絶対にバレない様にお願いします”
老支配人は静かに呟く。
”この薬で様子を見るんですな”
マーロウは頷いた。
”鑑識の結果が出たら、すぐに報告します”
マーロウは、重い足取りで車に向かう。ここ数日、嫌な予感がずっと付き纏ってる。
”この事件は何か重大な事が隠されてる。
単なる闇組織の犯罪であれば、警察や捜査局に任せ、シラを切る事もできる。
サビオレの件は上手く纏めたが、カミーユとダーレムの件がまだ残ってる。それにレオニーと来た。これが大きな山なんだが、見当が全くつかない”
マーロウは秘書に電話する。
”俺だ、マーロウだ
ドレフェス医師の周辺を注意深く洗ってくれ
くれぐれも気付かれん様にな
どんな些細な事でもいい、
分かったら知らせてくれ”
秘書は少し戸惑った。
”あのDrドレフェスさんを?
なんで急に?あなたの命の恩人でしょ?
犯罪かなんかに巻き込まれたの?
それとも、闇組織に弱みを握らてるの
家族や仲間が脅迫されてるとか?”
マーロウは静かに頷く。
”今は何も言えない、ただ、何かが匂うんだ”
秘書は眉をしかめた。
”イヤな仕事はいつも私ばっかね
ああ、それに、
レオニーさんの顧客名簿が手に入ったわ
キャビンに入れて鍵を掛けとくから
私は今日から3日ほど休暇を取るわ
ドレフェスさんの件は、それからね
でもあんまり無理しないでよ
私も今回だけは、何だか厭な予感がするの”
ようこそ、
我がホテルカリフォルニアへ
🎵ここは素敵な場所でしょ🎵
🎵ここは素敵な人達でしょ🎵
医師会と製剤界と闇組織の三角関係がプンプンと臭ってきます。
ネタバレでしたらスミマセン。
少し古い時代の話ですが、参考にさせて頂きます。