象が転んだ

たかがブロク、されどブロク

”アンタ、うちで働かん?”〜家族経営型スナックの小さな夢と大きな貢献と

2020年06月09日 07時19分10秒 | 独り言&愚痴

 田舎には、風情のある家族経営型スナックが多かった様な気がする。少し裏道を入れば、色とりどりのスナックの看板が目立ったもんだ。中に入ると、年老いたママさんがいて、娘とおぼしき看板ホステスがいる。
 話題はいつも昔の苦労話だ。シングルマザーとして娘を育て、繁華街から離れた所で独立し、細々と店を経営する。そういう店が多かった様に思う。
 ラーメン屋をそのまま改造し、カウンターだけという笑えない店もあったが、私もそんな店にはよくお世話になった。でも不思議と居心地が良かった。

 若い頃、佐賀市のとあるディスカウントスーパーで異様な光景を目にした。
 そこには、超ベッピンの美女に平気で声を掛ける夫婦がいた。

 ”アンタ!うちで働かん?”
 その美女は警戒した様子も驚いた様子もなく、アッサリとそして即座に答えた。”いいですよ”
 夫婦には幼い娘もいた。夫婦経営のスナックを開業しようと、看板ホステスをスカウトするつもりだったんだろう。
 その系列の人種なら、水商売系の美女か?素人のお嬢さんか?をひと目で見抜くのだろうか。その洞察力にはド肝を抜かれた。
 私には清純な美人にしか思えなかったからだ。あまりに美人なので、ずっと目を奪われてた。その最中に起きた、私にとっては大イベントだったのだ。


古き良き、昭和のスナック

 そんな古き良き、昔ながらのスナックが時代の波に押し流される様にして、知らず知らずの内に消え去ってしまう。今ではスナックという言葉すら、耳にしなくなりつつある。

 バブルが崩壊し、夜の街も一変した。キャバクラが”何でもあり”のセクキャバに、スナックが非接客型のガールズバーに変貌する。
 基本的には、ホステスもキャバ嬢もスケパブの女も変わらないが、地方のスナックの看板娘にはそれなりの風情と魅力があった。
 地元にしっかりと根付いた土着的な魅力と言うか。土の香りがする訳でもないが、”オラが村のクレオパトラ”的な幻想と希望が備わってたように思う。
 但し、良き昭和のスナックには怖さもあった。迂闊に、美人ママに手を出すとヤクザが黙っちゃいない。
 私が通ってた頃は、ママさんの背中にはいつもヤクザの影と香りがしたもんだ。
 それでもママさんはとてもいい人だった。”極道の妻たち”とは程遠い、教養と品があった様な気もする。

 そんなスナックも今やすっかり消滅したかと思いきや、全国に10万ほどあるという。
 人口10万人当りだと、全国で1番は宮崎県の164軒。4位には長崎県の132軒、6位には大分県の122軒、10位には佐賀県の101軒がランクインする。2016年と古いデータですが、田舎ほど頑張ってますね。


地方のスナック、奮闘中

 そんな佐賀県もスナックでは健闘している。駅前の繁華街は全く寂れちまったが、場末のスナックは意外にも質が高い。そして美人ホステスも多い。
 田舎では都会と違い、スケベ目的や本番目的といった”マセた客”が少ない。スナックが多い所ほど犯罪が少ないのも肯ける。
 つまり、客の大人としてのマナーが大前提として、スナックという健全な水商売は成立する。かといって、そこそこの色気は必要だ。いくら会話を楽しむといっても、若いホステスの魅惑やママさんの色気がなければ、会話は弾まない。
 昔ながらにヤクザが控えてれば、ふざけた客にはガツンと雷を落とせばいいが、今の時代、反暴力という大切なイメージもある。
 もし店内で暴力沙汰が起きたら、客は二度とその店には寄り付かないだろう。

 健全な水商売とはそういうもんだ。だからママさんにとって、暴力沙汰になるくらいなら、多少のエッチは許しましょって事になる。
 結局、健全な水商売も”危険な橋渡り”である事には変りはない。
 所詮、水商売は健全なごく普通の商売にはなり得ない。故に、夜の飲み屋を商売として始めようと思うのなら、それなりの危険な覚悟は必要だろう。

 
それでも女は、スナックを開業したがる

 一般的にスナックは、飲食業の中でも相対的に開業資金が少なく、始めるのが容易だといわれる。但し、口でいう程に簡単ではない。
 まずは店舗物件だが、家賃月額の8~12カ月分位が目安とされる。次に内外装•設備工事費だが、まっ更な状態なら約50万円/坪から、拘れば100万は優に超える。
 以下、「スナックは何故なくならない」から一部抜粋です。

 営業には、イスやテーブル、食器•照明•音響など什器•備品も必要となる。勿論、お酒も必要だ。さらに運転資金として最低でも3カ月分の経費や家賃などを確保する必要があり、少なく見積もって500万円以上は掛かる。
 スナックに欠かせないカラオケ機器の導入も必要でリースの場合、年間60万円以上が必要だ。

 それに開業の為の手続きも煩雑だ。
 まずは「風俗営業」の許可をとる必要がある。午前0時以降も営業する時は、「深夜酒類提供飲食営業」の届け出が必要だ。他に、お通しや軽食を提供するので「飲食店営業許可」が必要となる。因みに、ガールズバーは非接待の為に「飲食店営業許可」と「深夜酒類提供飲食営業」だけでいい。

 しかし、たかがスナックにそこまでかける魅力がどこにあるのか?
 たとえばママ一人のこぢんまり経営。1人5000円のセットで焼酎飲み放題&カラオケ歌い放題(キープボトルは別料金)を、1日5人の客相手に週5日営業したとして、1カ月の売上高は50万円とする。
 その原価は焼酎1升で1350円で、1日5人分で2升を使用すれば2700円。1カ月で5万4000円(原価率10.8%)。水光熱費は5%前後で、カラオケリース代は月々15%前後。おおよその粗利率は70%前後となる。

 他業種はどうか?飲食店は粗利率70%が理想だとされるが、実際はロスも含め、60%あればいいとこだ。原価率が低いラーメン屋が粗利70%前後で、スナックはそれに匹敵する。
 粗利率が高いラーメン屋も客単価は500円前後。1日30人の客で週5日営業ので、1カ月の売上げは30万円前後。これでは家賃や人件費を賄える筈もない(少し数字変えてます)。 
 他の飲食店も利益率でみると20%~30%が理想とされるが、実際は10%を切る店は少なくない。

 スナックは基本、ママひとりでも営業できる。月の売上げ50万円に対し、家賃10万円(売上の20%)として、人件費が掛からなければ利益率は50%前後。概算であれこの利益率は脅威的だ。但し、スナックの客層は地元の常連が多く、新規は広告を使っても期待できない。
 要は、売上高はそこまでなくとも、細々とであれば息の長い業態だといえる。
 以上、PRESIDENTonlineからでした。

 
最後に〜水商売の哀しい現実

 ここまで書けば、良い事づくめのスナックだが、よーく考えて欲しい。客層は当然、歳食った男が多い。いくら歳食っても男は男だ。
 下半身の欲望がない訳でもない。ママさんだって多少は歳食っても女は女だ。チヤホヤされ褒めちぎられれば、下半身は”緩む”というものだ。
 酒を呑んでママさんと会話して、それだけで5千円払って、何もせずに真面目に帰宅する輩がいくらいるだろうか?
 何度も通う内に、ママさんの腰に手を回し、垂れ下がった乳房に身体を押し付け、終いには唇を求めようとするだろう。それが男と言うもんだ。
 学歴があろうが、収入があろうが、社会的地位が高かろうが、皆が同じ脊髄反射系のドス黒い性的欲望を持つ。

 そんなエロ爺相手に身体と心がモタなくなったママさんは、新たに若いホステスを雇う。上述した様に、”アンタ!うちで働かん?”とその系の訳アリの美女を誘う。

 今度はその若い娘を目的に、新規の若い客がどっと押し寄せる。彼らはエネルギーの塊だ。イナゴの集団が一気に作物を食い枯らすと様に、若いホステスをも一気に食い潰す。
 身も心も抜け殻になったホステスは風俗に陥落し、ウサを晴らす為にホストクラブに通う。
 こうして場末のスナックは錆びつき、かつて美人だったママは、寂れた婆さんに成り果てるのだろうか。

 勿論、今言った事はどこにでもある最悪?のケースだが、それでも人はスナックへと足を運ぶ。


それでもなぜ、人はスナックに行くのか?

 再び、「スナックは何故なくならない」から抜粋です。

 なぜスナックに行くのか?何軒かの店で尋ねると、単に飲むだけではない。
 ”愚痴が言える社交場””安心できる居場所”だからという声が多かった。地方ともなると地域交流の場も兼ねている。
 スナックはただの夜の飲み屋じゃない。道端の雑草の様な扱いを受けても、“社会的企業”と同じ価値を持ってるといえる。

 だからこそ人を惹きつけてやまないのだ。

 グラス片手にそんな事を考えてると、店のドアが開いて3人組の年配男性客が入ってきた。どこかで飲んできた帰りだろう。陽気な調子でカウンターの椅子に腰かけ、ママと会話を始めた。立て続けに、今度は女性客も来店。
 あれよあれよという間にカウンターは一杯となり、カラオケ大会が始まった。今、店にあるのは、かつて中学生だった頃のママがスナックに魅了された、あの空間そのものではなかろうか。



12 コメント

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Unknown (kaminaribiko2)
2020-06-09 08:23:08
転象さんは水商売の実態に詳しいですね。勉強させていただきました。

私はスナックとかはお酒を飲ませるだけでボロ儲けかと思っていましたが、そんなことはないのですね。なら、なぜ開業するんだろう。

魚心あれば水心で、やはり水商売が好きなんでしょうね。
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ビコさんへ (象が転んだ)
2020-06-09 09:45:42
夜の商売は繁盛するのも一気だし、衰退するのも一気ですね。
でも色気あるマセた女は、元手も頭もいらないと高を括ってんです。酒さえ飲ませれば男は大人しくなると、しかしどんな立派な紳士でも、最後は体を要求するんです。

そういった醜い部分を知り尽くしてれば、開こうとは思わない筈なんですがね。
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今どきのスナック (tomas)
2020-06-09 15:50:30
昔は何時間いても料金は変わらなかったけど
今はキープ無しで1時間とかキープありで90分とか時間制が多かいです。
人気の女の子を揃えてるクラブは指名しても中々つかないしついたとしても10分ほど。
逆にママさんしかいないこぢんまりしたスナックはママさんが必死で愛想よくしてくれたイメージがある。

カラオケスナックも一時は流行ったけどあんまり好きじゃなかった。ママさんとずっと喋っていたかったし、愚痴が言える社交場とはよく言ったもんです。
でもスナックやクラブに代わり
風俗店が進出してくるとスナックの形態も変わったよね。

行きつけのスナックの子も言ってたけど、本音を言えば風俗系でがっぽ稼ぎたいって、年配の人と会話するのが疲れるとか。
今自分がその年配になってるんだけどそう言われると心に突き刺さるね。
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俺ら中高年のためにも (#114)
2020-06-09 16:06:39
スナックには生き残ってほしいね
若い頃は女の子との会話だけで
お金を払って呑むって理解できなかったけど

歳を食ってみると
若いホステスが愚痴を聞いてくれるだけで嬉しいもんよ
でも目の前の若い子が
ホストクラブの常連だったりしたら
親父は落ち込むだろうな

結局、男も女も正直な生き物だから
親父に下心があるように
女にも下心があるんだよね
そうやって夜の女も寂れていく
やっぱりスナックも消滅するのかな
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tomasさん (象が転んだ)
2020-06-10 05:43:03
お久しぶりです。でもないか。

風俗店で手っ取り早く、稼ぎたいっていう若い娘の生々しい言葉も理解できなくはないですね。所詮は先の見えない水商売ですから。

大体において、キャバ嬢は25歳くらいから急速に劣化し始めますかね。故に、その間が勝負です。25過ぎたらママになる。それまでに経済力ある男を捕まえるか?風俗で独立資金を稼ぐか?
どっちみち、衰退の道しか待ってない様な気もしますが。
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#114さん (象が転んだ)
2020-06-10 05:47:16
昔ながらのスナックもいいけど
一人でゆっくり飲める、スタンドバーを増やしてほしいですね。酒と女ではどうしても性欲が勝りますから。

明かりはついてても閉まってるという店も多いでしょうから、スナック復活はどうですかね。
新型コロナはそういうのを教えてくれてるような気もしますが。
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風俗店での会話 (tokotokoto)
2020-06-10 06:39:14
スナックではないけど
セクキャバでの会話ですが
結構美人なキャバ嬢がいて
なぜこんな店で働いてんのって聞いたら
ラウンジ系クラブとして募集してたからすっかり騙されたという。
でもやめようと思わなかったって聞いたら
会話は得意じゃないしこの仕事は黙っててもできるしと、何ら抵抗はなかったみたいだ。

今どきのキャバ嬢は割り切ってるよな。
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tokoさん (象が転んだ)
2020-06-10 12:07:38
何だかほのぼのとした、いい雰囲気の会話ですね。
”会話は得意じゃないし、この仕事は黙っててもできるし”って言われるとオジサンは何も言えなくなります。
ここまで来ると、好きにして状態です。
女性は人間だけでなく、何時の世もタフに出来てんですかね。
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所詮は、腐った夜の女 (腹打て)
2020-06-10 13:45:21
アンジャッシュ渡部も結局は同じだね。
不倫といっても、下半身の欲望を満たしただけでしょ。
それもセクシー女優とかいっても、所詮は夜の女。夜の女って心も体も腐ってるから、売れない芸人はカモなのよ。
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腹打てサン (象が転んだ)
2020-06-10 18:29:44
私、この芸人初めて知りました。
典型のピン芸人だったんでしょうか。それでも大きな話題になるほどだから、素行自体は有名だったんでしょうね。
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