象が転んだ

たかがブロク、されどブロク

クマはヒトよりも賢い?〜高い知能を持つ野生動物の知られざる驚異

2023年11月15日 05時06分25秒 | 芸能&三面記事

 過去最多ペースとなっているクマによる人的被害ですが、今年全国で180件と統計を開始して以来、最悪のペースだという。
 でも、今年になってなぜ”熊被害”が多いのか?
 近年、クマは人が使わなくなった里山や耕作放棄地に生息の範囲を広げていて、更に人口減少や高齢化などが進んで人の生活が変化しているのを背景に、”生息地を広げてきたクマと人が出会い、各地で被害が多発する様になった”と専門家は揃って指摘する。
 熊が人を襲う原因は、排除(不意に出会った時など)・戯れ・食べる為の3つに大別されるという。
 そこで今日は、クマが人を襲う仕組みについてです。


クマの高い知能が人を襲う?

 ”人食い熊”としては、しばし小説や映画の題材にもなる、北海道に生息するヒグマが有名だが、本州以南に生息するとされるツキノワグマも人を襲うとされる。
 ”野生の熊に会いたい”という人に、ツキノワグマのフィールドサイン(爪の跡)をみせると、熊の底知れぬパワーに震え上がるという。
 先日もニュースになってたが、”熊が可愛そぉ〜”なんて言う女性には、一度熊の爪の跡(写真)見た方がいい。その狂暴さに腰が抜ける筈だ。
 ただ問題なのは、これだけの圧倒的なパワーがありながら、ツキノワグマは人間に対して非常に用心深いという。つまり、彼らは人間をよく観察し、非常に用心深く、加えて知能が高い。
 クマの知能は野生動物の中で最も知能が高く、かつ学習能力に優れる。用心深いが学習能力が高い為に”人間がか弱い動物で、簡単に殺せる”と知ったら、その日から人間がエサにしか見えなくなってしまうという。
 以下、「クマについて、最も知能が高い動物」より大まかに纏めます。

 故に、安易に人が下手な出会い方をしたら、ツキノワグマが学習してしまい、人間を襲う凶暴な殺戮兵器に変貌してしまう。
 因みに、ヒグマもツキノワグマも、犬なんかより遥かに頭がいい。犬が大人になるのに1年ぐらい掛かるが、ヒグマが大人になるのに3年も掛かる。つまり、学習期間が3倍ある。
 ヒグマの子供は、母クマと3年間も一緒に暮らし、3年間に渡る学習により、クマたちは大人へと成長する。故に、犬の3倍の学習期間をもつ訳で、その上、犬より2倍以上寿命が長い。結果として、犬の倍の経験値をもつ為に、マタギ(熊の猟師)たちは非常にクマを恐れる。下手したら”クマは人間よりも頭がいい”とマタギたちは真剣に思っている。

 実際、クマを飼ってる人たちの話でも”物凄く頭がいい”と言う。特に、ツキノワグマは首輪と藁縄の紐を付けない限り、自分の家の敷地から絶対出ようとしなかった。
 つまり、クマは隣地との境界線をしっかり認識し、他所の土地に無断で絶対に入らなかった。で、首輪と藁縄の紐を持ってきてお座りし、散歩のおねだりをしたという。
 まるで、よく訓練された犬の様に無邪気で礼儀正しくなるのは、ツキノワグマがそれだけ知能が高いからで、知能の高さと学習能力によって、人間に対して臆病にもなるし、いくらでも凶暴になりえる。だから、安易にツキノワグマに会おうなんて絶対に思わない方がいい。 
 以上、北軽井沢ブルーベリー宿主日記のコラムからでした。


どうしたらクマ被害を防げるのか?

 昨今の世界のヒグマ研究者によれば、”ヒグマの知能はイヌと霊長類の間”とされ、ほ乳類の中でもかなり高知能な動物であると。
 旺盛な好奇心により、失敗&成功と試行錯誤を積極的に繰り返しながら学んでいく。また、経験や学習にも個体差が大きい為に、メディアによる画一的な情報や統一されたマニュアルがない。
 以下、「ヒグマの知能と学習能力」を参考に一部纏めます。

 一方で、ヒグマの高知能には記憶力や類推能力までも含み、ThinkではなくFeelの次元で類推的なイメージを抱く。故に、推測や想像で行動を決める。更に、ヒグマは予測不能なその時々の”気分”によっても行動を変える。
 例えば、クマとの遭遇時でも、ヒトと遭遇した時間・天候・場所・人数などに加え、そのヒグマの性格やちょっとした気分によっても行動は変わってくる為に、バッタリ遭遇時の単純で確実なマニュアルが作れないとされる。

 ヒグマの場合、人為物を食べる事を経験・学習する事で”執着・常習化”が起こり、それを漫然と放置すれば行動の”エスカレート”に至る可能性も高い。
 このエスカレートこそが、食物への執着のあまりヒグマの最大の戦略である筈の警戒心が希薄になり、ヒトに対して攻撃的になり、元々は”こそ泥”タイプだったのが、”ゆすり・たかり”の状態を経て、徐々に”強盗”タイプに変化する。
 例えば、カムチャッカにおける星野道夫の死や史上最悪のヒグマ事件とされる苫前の”三毛別事件”には、人為物を食べ慣れた状態からのエスカレートが深く関与してるとされる。
 以上からも、人里でも山でも、とにかくクマには”人為物の味を覚えさせない”事が、ヒト側の初手の戦略となる。だが、ここで躓くと後の対応は一気に難しくなる。


最後に〜実際にクマに襲われたら?

 クマが賢く狂暴なのは、「光る牙」(吉村龍一著)を読んで身にしみていたが、人間と白ヒグマの死闘の結末は、携帯電話を簡易時限爆弾に作り変えて車にセットし、クマを誘き寄せて車ごとぶっ飛ばす事で、何とか決着を見る。
 結局は、人間が生んだ文明の利器が(フィクション上ではだが)狂暴化した白ヒグマを仕留める訳だが、現実もそれに近いものがあるらしい。

 そんな文明の利器以外にも、クマの天敵は存在し、クマ同士で共食いする事もあるとか。
 ただ、一番の天敵は私達”人間”だとされる。特に、文明の利器(猟銃やライフルなどの殺傷能力の高い武器)を持つ人間には、異常なまでの警戒心を抱くようだ。
 事実、キャンプ場で木をチェーンソーで切ってた時に、その音に恐れをなして、近くを彷徨いてたクマが逃げていったという話もある。つまり、ヒトそのものではなくヒトが作り上げた文明という武器に、知能の高いクマは驚異と畏怖を感じてるのかもしれない。

 因みに、実際にクマに襲われたらどうすべきか?であるが、カナダの事例を元にすれば”抵抗せずに死んだふりをする”というものがある。しかし、日本では真っ向から反対する意見があり、”日本では死んだふりをして助かった例がない”とされ、日本にて助かったケースは全て”ナタで反撃した例ばかりである”と統計で証明していた。
 面白いもので、ヒグマ研究家は”反撃しろ”と言うし、ツキノワグマ研究家は”反撃なんかとんでもない”と言う。より狂暴で身体が大きいヒグマの方が”反撃すべきだ”というのも新鮮に聞こえる。
 確かに、知能の高いクマだから、カナダの事例は当てにならないかもしれない。つまり、知能が高いと言う事は後天的に学習する事が多く、”死んだふり”をしても簡単に見抜くであろうか。故に、日本の事例を重視すべきだと声が多い。
 更に、襲われたら”反撃すべき”と言った人たちが登別クマ牧場の関係者達だった事で、自然保護を絶対化する人たちとは少しばかり意見が違っていたのも注目に値する。

 確かに、狂暴化したクマも殺傷能力の高い武器となりうるが、人が生み出した殺戮兵器には遠く及ばない。知能の高いクマは、そういう事も既に学習してるのだろうか。
 事実、無防備な観光目的の、特に野生に無知な人間に対しては、クマは明らかなる捕食者であり、ヒトは無抵抗で無能な格好の餌でもある。
 野生動物を見て、”可愛い”とか”可哀そう”とかいうのは、野生動物に失礼なのかもしれない。野生動物にとって人類は共存ではなく、排除すべき最大の天敵なのである。
 ともあれ、”クマはヒトよりも賢い”というのは、満更ウソではないらしい。



2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
象が転んだ様へ。 (りくすけ)
2023-11-15 18:51:14
お邪魔します。

熊による人的被害、
東北・秋田の事例をよく目にしますが、
ここ北陸もなかなか少なくありません。
街中に出没するのは日常になりました。

幸いまだ僕は熊と遭遇した事はありませんが、
一度、猪と鉢合わせした事があります。
体長1m、体高70cm位の中型。
体色は真っ黒で全身から強い獣臭を放つそいつは、
文字通りの「野生獣」でした。
その時はしばらく睨み合った後、
猪は去り事なきを得ましたが、
素手では絶対に勝てないと確信したものです。
熊の体格は猪を遥かに上回るから尚更ですね。

駆除に対する反対意見を耳にしますが、
いざ対峙する環境になれば、それは無責任に思えます。
人も熊も互いに脅威の対象。
殺らなければ殺られる。
そう考えるのが妥当に考えます。

では、また。
返信する
りくすけサン (象が転んだ)
2023-11-16 03:04:08
お久しぶりです。

熊被害は私の田舎では全くありえない事ですが、が故に、メディア等で聞いただけでは想像も付きません。
「光る牙」というフィクションを読んで、初めて等身大の恐怖を感じた程です。
まさしく”野生獣”の世界でした。

私なんて、野生100%の獰猛な猫ですら睨まれて背筋が凍りついた記憶があります。
その時は、頸動脈を食い千切られるかと思いました。

”殺らなければ殺られる”
まさしくその通りだと思います。
そう言えば、猪も熊を襲う時があるみたいですね。
そう考えると、野生動物というのは人を襲うという前提で対処した方がいいのかもですね。
コメントとても参考になりました。
返信する

コメントを投稿