象が転んだ

たかがブロク、されどブロク

モンローになれなかった女(前半)〜ジェーン・マンスフィールドの奇妙で不運な生涯

2018年11月14日 10時04分35秒 | マリリンモンロー

 今日は、ポストモンローに関するテーマです。結構長く力入ってるので、2回に分けて紹介です。
 モンローの死後、彼女の再来という肉体派女優は結構いた。ブリジット•バルドー、アンナ•ニコール•スミス、マドンナ、スカーレット•ヨハンソンなど・・・だが、存在の質感が全く違う。
 一方で、モンローと同世代でライヴァルとなる女優も結構いた。グレース・ケリーキャロル・ベイカーらはその筆頭でもあろうか。そして、今日紹介する女優もその一人だ。
 私が”モンロー”ブログ(全4話)を立ち上げた時、気になる女優がいた。
 モンローがかつて所属していた、同じ20世紀FOXにいたジェーン•マンスフィールドである。初めて聞く名前だったが、写真を見た瞬間、”モンローを超えるとすればこの女しかいない”と直感した。
 しかし、彼女もまた若干34歳という若さでこの世を去った。生きてたら、モンローを超えてたかもしれない存在だったろうか。


マンスフィールドという女

 彼女もまた、マリリン•モンロー(1926〜1962)の様に、1950年代を代表するブロンドのセックスシンボルの1人であり、PLAYBOY誌のプレイメイトになったのをはじめ、長年にわたり多くの雑誌に登場した。
 彼女こそが、プラチナブロンドの髪にくびれた肉体と露出した胸の谷間を強調する衣裳で、数本のハリウッド映画に主演したジェーン•マンスフィールド(本名Vera Jayne Palmer 1933〜1967)である。
 この女優の名前を知ってる日本人がいたら、余程のモンロー通であろう。

 ドイツ人とイングランド人を祖先に持つ彼女だが、僅か3歳の時に弁護士である父親を妻と娘を乗せた運転中の車の中で、心筋梗塞を起こして亡くなる。後にも述べるが、マンスフィールドが恋人と家族を乗せた車の中で壮絶な事故死したのと、偶然だが一致する。
 父の死後、母親は教師として働き、再婚もしたが、一人娘の彼女を育て上げた。
 一方で、彼女は子供の頃から女優への強い憧れを抱いていた。

 17歳で陸軍兵士のポール・マンスフィールドと結婚し、高校を卒業すると、すぐに最初の娘ジェーン・マリーを授かる。更にテキサスへ向かい、南メソジスト大学で演劇と物理学を学ぶIQ163のインテリグラマーは、母親と学生を両立させた。が、子供を産んだ事で女優の夢は一時お預けになる。
 この知性と躍動あふれる頑張り屋の彼女は、16歳で同じく海軍兵士と結婚したモンローと殆ど一致するが、ここまで偶然が重なると少し恐ろしくもなる。
 初舞台は20歳の時で、モンローの旦那アーサーミラー著の「セールスマンの死」というから、ここにてもモンローとの接点があった。

 テキサスでは、様々なミスコンテストに参加して優勝を飾った。その彼女だが、5カ国語を話し、熟達したクラシック音楽のピアニストであり、バイオリニストでもある。
 多くのファンは、こうした彼女の多彩な才能もより102D-53-89cmのスリーサイズに関心を持った。
 因みにモンローはB94-W61-H86だが、イラストで見る限り、モンロー(右)がややセクシーで、マンスフィールド(左)がやや美人か。

 21歳の時(1954年)、女優への夢を捨てきれないジェーン(マンスフィールド)は、夫のポールを説得し、ロスに移り住む。キャンディ売りのアルバイトをしながら、UCLAで演劇の勉強を続けた。これまた、19歳でハリウッドを目指したモンローとよく似ている。
 ワーナー映画の脇役を幾つかこなし、「The Burglar」や「法に叛く男」では準主役を演じた。彼女の大半の役はコミカルで性的魅力を強調したものだったが、これら2本の映画では、正統的でドラマティックな役を演じ、成功を収める。
 因みに、モンローも最初はコミカルでセクシーな脇役ばかりだったんですが、ここにても共通項がありますね。


主役の座へ

 同年、彼女はブロードウェイの舞台、「ロックハンターはそれを我慢できるか」(1955)で大成功を収め、ハリウッドに戻り、コメディ映画「女はそれを我慢できない」(1956)では、とうとう主役を張った。
 マンスフィールドの初主演作は、素晴らしく官能的だが、致命的に音痴な女という役であった。ここにても初期のモンロー同様に、コメディー&セクシー路線から抜けきれないが、これが後々の不幸な路線に繋って行く。これもまたモンローの悲しい運命とよく似ている。

 1956年、23歳のマンスフィールドは20世紀FOXと長期契約を結び、「気まぐれバス」(1957)では、率直で印象的な役を演じた。
 この映画で彼女は、”(美しいが)頭の弱いブロンドの女”というイメージを払拭し、本格派の女優としての名声を確立しようとしたが。スタインベック小説の脚色のお陰で、興行的成功を収めただけでもあった。 
 29歳のモンローがFOXと契約を結んだのが1955年だから、モンローに次ぐ2匹目のドジョウとして、超セクシー路線を20世紀FOXは目論んでたのだろうか。
 ここにてもモンローと全く同じ路線を、マンスフィールドは歩み始めた。ここまで5度も6度も偶然が一致すると、何だか奇怪に思えてきますね。

 彼女は、「気まぐれバス」の中の”切ない落伍者”の演技で、1957年のゴールデングローブ賞若手女優賞を、(「課外授業」で一世を風靡した)キャロル•ベイカーやナタリー•ウッドら実力派女優をを抑え、見事に獲得する。
 彼女の派手なイメージや特徴的な声と、官能的な肉体とは無縁の”彼女自身の持つ最高の演技だ”とNYタイムズは高く評価した。
 因みに、モンローも30を過ぎてセクシー路線から演技派女優への転身を計り、成功を収めた。ここら辺も2人の運命はピタリと歩調を合わせている。
 まるで、モンローの生涯をピタリとコピーした様な運命とも言える


マンスフィールドの凋落

 マンスフィールドは、映画版「ロック・ハンターはそれを我慢できるか」でも、リタ・マーロウ役を見事に演じ、大成功を収めた。
 ハリウッドにおける彼女の4作目の主演映画は、ケーリー•グラントとの共演で大きく期待された「よろめき休暇」(1957)の筈だった。が、ヒロインにはファッションモデルのスージー・パーカー演じるスマートで慎み深い赤毛の女性が選ばれ、マンスフィールドは場を和ませる三枚目役に成り下がる。
 しかし、この映画は興行的にも期待ハズレに終わり、ハリウッドにおける彼女の最後の主演映画となった。

 その後彼女は、「媚薬」でジャック・レモンの相手役のオファーも受けたが、妊娠により断らざるを得なかった。モンローが女優業を優先させるが為に、堕児や流産を繰り返したのとは明らかに異なる。マンスフィールドは、ここにて初めてモンローとは異なる道を歩み始めるのだが・・・
 お陰で、1959年以降の彼女は高い知名度や人気にも関わらず、良い役には恵まれなかった。それでも彼女はヨーロッパの低予算映画に出演し続け、多忙を極めていく。
 1960年、20世紀FOXは英国の2本の独立系ギャングスリラー映画へ彼女を貸し出した。映画のチラシの最上部に掲げられたにも関わらず、彼女はカラフルできわどい衣裳を纏っただけの脇役へと追いやられた。
 勿論、映画は劇場公開される筈もなかった。嗚呼無情ですな、まだまだ27歳のピチピチの超グラマーガールなのに、非常に勿体無い。ピークに登りつめつつあった27歳のモンローとは実に対照的でもある。


マンスフィールドの失意

 それでも彼女は、より洗練されたイメージを確立したいと率直に切望していた。
 1962年までの20代は、何とかライブパフォーマーとして高値で売れてた彼女だが、アクターズスタジオで学んだモンローに対抗し、NYで演技を学びたいと発表した。
 しかし、この過去の名声の上に立った扇情的な宣伝は、彼女の失墜と凋落を意味した。そして1962年、20世紀FOXは彼女をクビした。
 因みに、この1962年はモンローが死んだ年である。つまり、FOXは(モンローの死を境に)セクシー路線から足を洗ったのだ。

 マンスフィールドは30に近付いてたにも関わらず、まだ主役を張れるレベルにあったと思う。
 これは憶測に過ぎないが、1958年の2度目の結婚では(俳優でボディービルダーの)ミッキー・ハージティーとの間に3人の子供をもうけた。これが彼女のハリウッドでのピーク時と重なったが故に、身体のラインが微妙に崩れてた様にも見える。
 若いピーク時にあるセクシー系女優が3度の出産というのも、FOXの幹部からは、明らかに反感を買ったとも言えなくもない。
 出産と女優の両立は不可能であろうか。妊娠&出産による男性ホルモン分泌の影響で、骨格がゴツくなりすぎるのであろうか。確かにマンスフィールドの肩幅は(モンローに比べて)広くてゴツい気がする。

 という事で今日はここまでです。次回(後半)はマンスフィールドがとうとう満を持して、ヌードになる所からです。



4 コメント

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マンスフィールドを知らなかったので (びこ)
2018-11-14 12:07:49
面白く読ませていただきました。私たちの若いころは、グラマーな女性は頭がよくないとか言われていましたが、両方兼ね備えた女性もいるんですね。だけじゃなく顔も美形?
なら、いっそのこと、頭が弱かったほうがもっと売れたかしら?

が、マリリン・モンローも一説によると、かなり頭はよかったそうな?
頭が弱そうに見せていたみたいですね。

そのほうがモテる?
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Re.マンスフィールド (lemonwater2017)
2018-11-14 14:07:29
ビコさんでも、マンスフィールドは知らなかったんですね。勿論、私も知りませんでしたが。

 結構、肉体派女優って知能が高いですね。エマニエル夫人のシルビアクリステルも、IQが180近くあったらしいです。自称ですがね。

 ブログでも言ったように、モンローも政治家になってた方がずっと成功してるかもです。彼女は常に弱者の味方でした。

 マンスフィールドの後半の生涯は、結構荒れていきますが。お楽しみにです。
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ポストモンロー (paulkuroneko)
2018-11-15 09:40:08
モンローの再来と言えば、ブリジットバルドーしか思い付きませんでしたが。いきなり、マンスフィールドですか。転んださんもかなり渋い、いや渋すぎる。

彼女もモンローと同じく、若くして他界したんですか。まるで定規で図った様な同じ運命を辿ってますよね。少し気味悪いです。

死に様も毒殺?と事故で、奇怪な所がそっくりです。IQが163と博士にでもなれそうな知能の持ち主ですが。天は荷物を与えすぎたんですかね。

転んださん言うように、ケネディやシナトラと関係を持つと、ろくな事はないです。真実は小説よりも奇なり、の典型ですか。
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Re.ポストモンロー (lemonwater2017)
2018-11-15 13:34:47
 そういう私も、マンスフィールドの写真を見た時、こんなグラマーで美人の女優がモンローの世代でいたのかって、驚きました。

 でも、よく見ると個性がないというか。インパクトにやや欠けるというか。素材的にはモンローよりもずっと上なのに。

 逆に、モンローの神業的な魅力に、凄みを痛感させられますが。マンスフィールドも結構モンローを意識してたんでしょうか。まるで、出来の良いモンローのクローンですもの。
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