象が転んだ

たかがブロク、されどブロク

WBC狂騒曲の陰で〜MLB機構が企む黒い蜜と

2023年03月18日 10時51分47秒 | スポーツドキュメント

 予選の4試合も含め、5試合連続の圧勝とも言える横綱相撲での準決勝進出、おめでとうございます。
 まずは、5大会連続準決勝進出という(野球の本場アメリカですら成し得なかった)WBC参加国史上初の快挙に敬意と賞賛を評したい。流石、”野球の国”のニッポンの底力である。
 だが、少し気になる部分もあった。これは後で述べる事にする。

 第5回ワールドベースボールクラシック(WBC)の開幕戦である日本VS中国(3/9、TBS)の平均世帯視聴率は41.9%と個人視聴率が27.1%で(関東地区、ビデオリサーチ調べ)、1月3日の箱根駅伝の復路(日テレ)の29.6%を大きく上回り、今年1位となった。
 大谷翔平投手が”3番・投手兼DH”で出場し、テレビの前にも沢山の人を呼び込み、投打に渡る活躍で多くの日本人をクギ付けにした。
 WBCの視聴率で言えば、第2回2次予選の日本VS韓国(09/3/20)の40.1%を抜き、2位にランクイン。過去最高は第1回決勝の日本vsキューバ(06/3/21)の43.4%。
 テレビ関係者は”今回は野球を見た事がなかった人まで応援している。ライバル韓国戦では、過去最高視聴率を記録するのでは”と期待を明かす。
 因みに、日本代表の高視聴率と言えばサッカーで、昨年W杯でのコスタリカ戦(テレ朝)の世帯平均視聴率は42.9%(個人30.6%)を記録。大谷を目玉とする侍ジャパンは、W杯で列島の熱狂と狂喜を呼んだサッカー男子日本代表”SAMURAI BLUE”と同レベルの数字を叩きだした事になる(東スポ)。


野球の国のニッポン

 日本は(何やかんや言っても)野球の国である。どんな田舎に行っても野球のグラウンドはあるし、駅前の居酒屋の話題はやはり野球である。
 しかし、(サッカーのW杯に代わる大きなイベントがない)野球だが、W杯に限っては”SAMURAI BLUE”に人気を奪われていた。
 そのW杯と言えば、ラグビーに感動し、サッカーに躍動し、野球と言えば??そもそも野球にはW杯がない。
 WBCがあるじゃないかと言われても、(ベースボールの本場)アメリカで僅かに(準決勝と決勝の)2試合が行われるだけのちっぽけなイベントである。
 それでも、東京で行われた予選ラウンドでは、サッカーのW杯と同等、いやそれ以上の視聴率をはじき出した。
 事実、TBSで中継された韓国戦(3/10)の瞬間最高視聴率(関東地区)が50.9%で平均視聴率は44.4%。また、テレビ朝日が中継したチェコ戦(3/11)とオーストラリア戦(3/12)の平均視聴率は43.1%と43.2%(産経新聞)。

 つまり、WBCの予選とは言え、4日続けて40%を超えるW杯サッカーレベルの高視聴率を叩き出した事になる。
 史上最強と言われる侍ジャパンだが、その名の通り、MLBのスーパースターである大谷やダルビッシュ、それに”若き165キロ右腕の完全男”佐々木や”最年少の三冠王”の村上や吉田(BOS)など豪華すぎるメンバーが揃った。
 ただ、中継TV局は(高視聴率でも)”浮かれてる場合でもない”と韓国メディアは皮肉っている。
 事実、朝鮮日報(電子版)は、1次ラウンドB組の中継権を持っていたのがTBSとテレ朝だけなのは(日本の放送局関係者によると)”両局は中継権料として約20~30億円を支払った”という。”過去のWBC中継権料は10億円程度だったが、今回は2倍以上に暴騰した”事が理由で”FOXスポーツが参入し金額が大きく上がった”と説明した。 
 更に、”両局は高い視聴率が出てるにも拘らず赤字を記録する状況だ。企業イメージの為に赤字を甘受してまで中継してるが、かけた費用に比べ収益が殆どない状況で、次の大会ではWBC中継権を買わないものと見られる”との予測し、”2026年のWBCは有料チャンネルのみの視聴になるのではないか”と結んだ(東スポWEB)。


MLB機構の黒い企み

 所詮は”オープン戦大賞”に過ぎない開幕直前に開催されるWBCだが、アメリカでは只でさえ野球が不人気なのに加え、春先は大学バスケットなどの人気スポーツがフィナーレを迎える時期だけに、国民レベルでも感心がないとされる。加えて、MLB選手間の温度差もあり、怪我をした時の保証を考えると球団側は(唯でさえ高く付く)看板選手を出し渋る。
 しかし、過去2度優勝した”野球の国”の日本では大盛り上がりである。が、これを巧く逆手に取り、FOXが大谷をメインで起用し、自国では見向きもされないコンテンツであるWBCをブランド化させ、金のなる木に仕立て上げた。
 アッパレと言えなくもないが、単なる”放映権料ボッタくり”と言うアメリカメディア界の低俗な仕組みと黒い企みが見て取れる。
 以下、ウィキを参考に、この黒い企みを調べてみた。

 主催側の公式な発表はないが、WBCの放映権料も含めた収益の分配だが、第一回大会(06)では、47%が賞金に、53%が各組織に分配され、収益がマイナスの時は(主催する)MLB側が赤字を負担するとされた。
 各組織のへ内訳は、MLB機構が17.5%でMLB選手会が17.5%、日本野球機構(NPB)が7%、韓国と国際野球連盟が5%で、その他が1%とされた。賞金の内訳だが、優勝チーム10%、準優勝が7%、残りのベスト4の2チームが5%、同ベスト8の4チームが3%、予選敗退の8チーム1%。
 しかし、分配金の不平等さにNPBと選手会は猛反発し、一時は辞退を申し出たが、MLB機構に脅され、参加に応じた経緯がある。
 事実、第1回の総収益は1280万ドルで、うち賞金総額は61%に当たる780万ドルだったが、優勝した日本は同6.1%の僅か78万ドルを得たに過ぎず、規定の10%には遠く及ばない。
 2009年も公式発表はないが、MLB機構とMLB選手会が(前回の倍に当たる)66%を独占し、NPBは僅かに13%とされた。 

 実際には、この第2回大会の総収益は3200万ドルと2.5倍に膨らんだが、賞金総額は約44%に当たる1400万ドル。これは前回大会の約2倍だが、優勝した日本には総収益の8.4%に当たる270万ドル(約2億5千万円)を得た。また、準優勝のキューバは同5.3%に当たる170万USドル。
 因みに、第3回大会(2013)では総収益は未発表だが、賞金総額は1400万ドルで優勝したドミニカには340万ドルであった。一方、準決勝で敗退した日本だが160万ドル(約1億5200万円)を得た。
 第4回(2017)の総収益は初大会の8.6倍に急増し、1億1000万ドル(推定)を得た。しかし、賞金総額は過去2回と同じ1400万ドル(収益の12.7%)で、優勝したアメリカの賞金額は未発表である。
 2023年の今大会も賞金総額は1400万ドル程だが、肝心の優勝賞金は僅かに100万ドルに過ぎない。

 こうした総収益の地域別の一番の大口スポンサーは日本であり、収入の半分以上はテレビの放映権料とスポンサー料といった”ジャパンマネー”とされる。事実、2009年の優勝を争った日本と韓国は13%と9%を得たに過ぎないが、アメリカ(MLBと選手会)だけで 66%を奪い去った。
 つまり、MLBの黒い企みは今大会でも顕になりそうな勢いである。


大谷がいてこそのWBC

 ”栄光や誇りは金では買えない”と言われそうだが、如何に日本プロ野球がMLBに脅され、ボッタクられてるのが理解できる。
 特に今回は、大谷という絶好のウルトラQ的な商品が存在するから、MLB側も強気である。
 お陰で、米FOXTVは日本への放映権をバカ高く吊り上げる。これは、アメリカでは殆ど期待できない放映権料を日本に肩代わりさせてる様なもんである。
 まるで”優勝させてやるからカネをくれ”と言わんばかりである。

 ここまで見ても、不公平さ満杯だが、WBCの運営にも問題点や欠陥があり、ルールや対戦カードの組み合わせはチグハグすぎる。
 特に運営組織にては、オリンピックのIOCやサッカーW杯のFIFAの様に、国際大会は世界を束ねる中立的な立場の組織が主催する事が多い。が、WBCの場合はMLBの機構と選手会が共同出資して作った運営会社が開催してるが故に、中立を保てというのが無理な話である。
 更に、大会参加国の野球の質についても、新参加国の殆どがアマチュアな為に、アメリカや日本などのプロリーグが存在する強豪国との大きなレベルの差がある。
 つまり、MLBが儲かる為には、国際大会をも偽装する。
 日本列島が歓喜に湧くWBCとは、そんな偽善の基板上に建てられた砂上の楼閣とも言える。

 一方で、今やメジャーNo.1の存在となった大谷だが、WBCで万が一怪我をしたとしても巨額な保険が下りるという。イタリア戦での彼の全力プレーを見れば納得できるだろう。
 つまり、今回のWBCは”大谷の大谷による”FOXが主導する”野球の国のニッポン”向けのイベントとも言える。

 しかしその大谷だが、少し気になる事があった。(前回の中国戦も含め)イタリア戦での先発だが、フォームが小さく纏まり過ぎてる点である。
 164キロという佐々木にも負けない最高球速を表示してはいたが、伸びやキレがない。中継ぎで出てくる日本人投手の150キロがずっと鋭く感じた。
 元々、お辞儀気味の4シームが特徴の大谷だが、今大会の彼にはダイナミックさに欠ける気がする。中国戦でもそうだったが、破壊力抜群の打撃に比べ、非力感すら感じてしまう。それでも160キロを連発するのだから、異次元の天賦の才能ではある。
 ただWBCと言えど、この時期に”100%の状態で”というのは流石に無理がある。それも2年連続のフルシーズンの二刀流の後だから、疲れは残ってる筈だ。
 史上最年少で三冠王と最多本塁打の記録を乗り換えた村上(ヤクルト)だが、予選では明らかに疲れが残っていた。
 勿論、私の心配が稀有に終われば万々歳だが・・・どうも今回は嫌な予感がする。


最後に

 「大谷その23」でも書いたが、かのベーブルースですら、二刀流は5年が限界だった。
 もう一つ気になるのが、WBCでピークを迎えたスター選手は衰洛するという点である。
 2大会連続(06年と09年)でMVPに輝いた松坂は、その後は肘や肩の怪我に悩まされ続けた。第2回(09)に出場したイチローも一時は胃腸炎に悩まされ、この3年後にNYYへトレードされた。一方で、”鉄人”ダルビッシュの様に殆ど負担にならないケースもある。
 長くプロ生活を続けようと思えば、WBCでは全力プレーを回避すべきだが、今の侍ジャパンの勢いと盛り上がりを考えると・・・
 勿論、”大谷が投げて打って日本が優勝する”というのが最高の青写真だが、それで怪我をしては全てが台無しである。
 MLBだけが儲かるイベントで、ジャパンマネーは吸い取られ、大谷という日本の至宝はボロボロにされる。
 そういう事だけは絶対に避けたかったが、どうやらMLB黒い企みに嵌りそうな気配がする。

 私個人としては、日本プロ野球はMLBから離れ、韓国・台湾・中国・オセアニア地域を含めたアジアン・リーグを創設すべきだと思う。
 そして、MLBのベスト8とアジアのベスト4が対決する真のワールドシリーズを見たいもんだ。
 そう思うのは多分、私だけだろうか。



21 コメント

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お久しぶりです (tomas)
2023-03-19 04:18:34
今大会の優勝賞金がたったの1億円ですか
こうなったら日本でのみの開催にして、ジャパンクラシックワールドベースボール(JCWB)としたらどうでしょう。
野球の国の日本でメジャーの力を見せつけようというMLBの選手も多いはずですよ。

それにわずか2試合のためにフロリダへ向かうなんて国際大会にしては短すぎます。
そう言えば
アメリカはいきなり日程を変えてきましたね。準決勝で当たれば負けると思ったんでしょう。
でも今回のアメリカは言われてる程に強くないです。
こんな詐欺まがいのことをしてては
多分ですが準決勝ではキューバに負けるかもしれません。いやその前にベネズエラに負けるかもしれませんね。
日本の相手はプエルトリコとメキシコの勝者で両国とも強豪ですが、日本が上だと思う。

どうやら決勝は日本対キューバとなりそうですか。 
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tomasさん (象が転んだ)
2023-03-19 06:47:56
そーなんですよ。
MLB機構がアメリカのメディアが企むほどにアメリカチームは士気が落ち込んでしまう。
長々と数字を挙げて説明したつもりですが、経験則や精神論を重んじるムラ社会の日本人にはあまりピンとは来ないんでしょうか。

”勝てばそれだけでいい”
確かに、そういう美徳的な倫理観もアリかとは思いますが、”武士は食わねど・・・”では今の日本のプロ野球は死滅します。
やはり、優勝したチームはそれに見合う報酬を得る権利があるし、少なくと負けた方が勝った方より多くを得るというのは解せない。
とは言っても、WBCには見入ってしまうんですよね。
アメリカでは大谷は投げないだろうと噂されてますが、大谷やダル抜きでも優勝できそうな勢いと戦力でしょうか。
とにかく、メジャー以外の日本人選手に頑張ってほしいです。
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tomasさん (象が転んだ)
2023-03-19 17:58:57
アメリカは何とかベネズエラを破って準々決勝進出ですが、やはり投手陣が弱点です。
キューバとの試合はこれまたもつれるでしょうね。
日本とメキシコもどうなる事やら?予想が難しくなりました。
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Unknown (1948219suisen)
2023-03-20 08:33:52
大谷の活躍は勿論嬉しいことですが、私は試合を見ませんでした。野球好きな息子のいた頃はよく野球を見ていましたが、最近は時間が勿体なくて見なくなりました。テレビを全く見なくなったことも関係しているかもしれません。オリンピックも全く見ませんでしたからスポーツ中継を見なくなったとも言えるかもしれません。で、この記事を読ませていただくと、その放映権のべらぼうな値段に呆れ返っています。そこまでして見ないといけないものでしょうか?狂っているように思うのは私くらいなものでしょうね。
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ビコさん (象が転んだ)
2023-03-20 11:19:31
確かに、昨今の放映権の高騰はクレイジーですが、浮き沈みが激しく当てにならないのも事実です。故に、高く吊り上げるんでしょうが・・

私みたいに何もない田舎で育った人間はTVだけが唯一の娯楽でした。
お陰で、今でもTVの呪いから抜けきれない。受信機を外せばNHKの契約を出来るんですが、それが出来ない。

言われる通り、(野球を含め)スポーツがTVの娯楽になってた時代は遠い過去の様に思えますし、放映権料の高騰や運営側の黒い企みを考えると、スポーツはTVで見るものではなく実際に現場を見るスポーツとした方がいいのかなとも思います。
コメントいつもありがとうです。
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WBCオッズ (UNICORN)
2023-03-20 12:47:32
開幕前の1月末のオッズでは
ドミニカが3倍で1位、アメリカの3.5倍と日本の4.5倍が続きました。
3/7では、ドミニカが2.1倍、アメリカの2.6倍、日本の2.8倍と接近し、日本が1次Rを4連勝で通過した15日は、日本が2.1倍でトップ、アメリカの3.5倍とドミニカの3.9倍と続いたが、優勝候補とされたドミニカがベネズエラに破れ、まさかの1次R敗退。
日本が準決勝で対戦するメキシコは100倍で、アメリカが対戦するキューバは180倍。
オッズで見れば、ドミニカだけが想定外であとは順調な結果とも言えます。

一方で日本のMLB選手は、大谷ダルヌーの4人のみ。 ベネズエラとプエルトリコとドミニカとアメリカとメキシコはほぼ全員メジャーで、オッズ上位を占める5チームがプールCとDに集中しましたから、死のプールD組も含めて混戦は必至でした。
速報では、ここまで苦戦続きのアメリカがキューバを圧倒しましたが、ここに来て調子が上がってます。
予想としては、アメリカが少し有利になってきましたかね。 
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UNICORNさん (象が転んだ)
2023-03-20 15:18:57
全くそうなんですよ。
日本列島は浮かれ捲くってますが、日本はプールBで相手に恵まれてました。特に韓国とオーストラリアは(オッズも低かった様に)今回は弱かった為に、日本にとってはラッキーでした。
もし死のプールDだったら勝ち抜けたでしょうか?少なくとも4連勝はあり得ない。
一方で、(優勝候補とされた)アメリカとプエルトリコを下したメキシコは日本人が思う以上にずっと強い筈です。

でも、私が思う以上に盛り上がってますね。
とにかくメキシコ戦は総力戦になるかもです。
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いよいよ (tomas)
2023-03-21 07:22:43
組み合わせの不平等って出てきますよね。
アジアのチームはアジア地区で開催される予選に集中するし、中南米の強豪チームはその地域の予選に集中します。
シードはその時点でのオッズにより平等に決めてほしいです。
MLB.comは日本を”もっとも優勝に近いチームでありWBC史上でも最強の戦力”と評してますが、リップサービスも含まれてますね。
 
先発は佐々木ですが、抑えるか打たれるかのどちらかでしょう。
ここまで盛り上がってておいてメキシコに負ける事は想定したくないんですが、心の準備だけはしとく必要がありますね。 
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tomasさん (象が転んだ)
2023-03-21 07:46:56
いよいよですね。
WBCをこれだけ悪く書いておいてなんですが、少し興奮してます(笑)。
でも、ここまで盛り上がっておいて日本が負けたら、どんな感じになるんでしょうか。
そういうのも見てみたい気もします。

先発の佐々木で気になるのは、急速に拘る余り、上体で投げる傾向にある点ですね。
フォークも落ちが大きい為に、見極められると少し怖いです。
それともう一つ気になるのが大谷の空騒ぎで、気持ちは解るんですが、チームの微妙な空気を読んでほしいかな。

典型のマイナス思考なんで、悪い事ばかり考えますが、意外にも乱打戦になるかもです。
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いい感じです (tomas)
2023-03-21 08:41:19
佐々木の立ち上がりは理想的でした。
アルザレーナを三振でとったのは大きい。
でも163Kを振り遅れながらもフェンス際まで持っていくメジャーのパワーには驚かされます。
サンドバルも調子良さげだから前半は投手戦になりそうですね。

でもWBCの準決はどうでなくちゃ
ですよね。
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