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『コールガール〜私は大学教師、そして・・・』その8(20/6/30更新)〜恋人ルイスとの別れと新しい生活

2018年04月29日 05時41分27秒 | コールガール系

 さて、ジャネットのコールガールとしての運勢もここまでのようで、後はどんどん下り坂に入ります。いくら稼ぎがいいとても、過酷で残酷な肉体労働と同じで、2、3年が限度という事でしょうか。彼女を頼りにブログを立ててる私めも、少し悲しくなってきました。

 この年のクリスマスは、恋人ルイスとの関係が悪化します。大胆にも彼女は、ルイスの両親と共に食事をするんです。何と無謀な事を、全くの自殺行為ですね。恋とSEXとコカインに溺れ、全く自分の足元が見えなくなっていく。 
 そういう私も過酷な肉体労働の経験があるんで、この気持ちと不可避な状況が痛いほど判るんです。全く肉体労働は脳を腐らせますな。

 いくらコールガールの仕事とはいっても、ヤル事は毎晩同じな訳で。単調な肉体系重労働と全く変わりはない訳です。
 こんな状態が2年以上も続くと、ある種の脳死状態になりますな。特に、才気ある頭脳明瞭な人ほどそういう事態に陥るというか。コールガールという名の認知症と言うか。
 ジャネットが全くのノータリンであれば、問題なく売春の仕事を一生続けられそうですが、彼女の高度な脳みそが拒絶を、いやアレルギー反応をを示し始めるんです。 
 さて、本題に入ります。


ルイスとの別れ

 ルイスの父は、何とべネズエラの外交官で、母親は故国のエクアドルの大学で教鞭をとってたという。まさに、超の付くエリート一家だったんです。でもまさか、息子がコカイン中毒&売春婦のお抱え運転手だったとは。その上、大学講師とは言え、シャブ中の売女と出来てたとは、夢にも思わなかった事でしょうに。
 全く、運命とは残酷なもんです。私めが親だったら、こんな出来損ないの害虫野郎は、叩き出しますがね。でも、才気ある女って、こんな腐った害虫に惚れ込むんですよ。

 彼の両親との会話は最初からギクシャクした。(⇒当然ですな)
 大学で教えてるそうですね、どんなクラスなの教えて?”
 社会科のクラスを3つほど。今教えてるのは・・・”と言った所で、ルイスが話題を変えた(⇒嘘はもうバレバレですよ)。 
 ”俺たち、2月にオーストラリアに行くのさ。ママ、このステーキは最高だよ(⇒全く捨て身の演技で、痛々しいです)
 しかし、両親は全てを見抜いてた(⇒当たり前でしょうが)。
 ”で、どんなクラスなの?”
 ”1つは死と臨終で、もう1つは精神病棟の人生、そして3つ目は売春の歴史と社会学です。ルイスも興味深いテーマだと言ってくれてます” 
 私なら大見栄切って、”ラングランズ予想とクンマー合同式の連携についてです”と言いますな、でもダメでしょうな(笑)。

 父親は目線を挙げずに言い放った。
 ”そんなもの、時間の浪費だ”
 両親はルイスとジャネットの目を見て、最初からコカイン中毒である事を見抜いてたのだ。シャブ中は目を見れば判るもんね、目がトロンとしてるとか。もう最初からシカトされてたんですね。


ルイスとの別れ、その2

 ジャネットは唐突に怒りがこみ上げた。この様な”インポ外交官”の独断こそが、恩赦も希望もない精神病棟に閉じ込められた、多くの患者いや犠牲者を作ってきたのだ。 
 そこでは売春を強要されたオンナ達が、その売春という罪によって殺されたのだ。彼女達を死刑にした男たちは、彼女達を性の道具にしたオトコ達であった。
 男達は最初の罪の痕跡を拭い去る為、2番目の罪を犯した。取り残された子供達は、魂を損なわれ、闇の世界で生きていくしかなかったのである。 
 その人たちの権利を剥奪し、苦悩や死をもたらし、狭量かつ傲慢な自己否定によって切り捨てたのは。今テーブルの向うで、自分の快適の中で、小さな現実世界を脅かす考えを避けようとしてる男、この男こそ、今述べた2つの罪を犯した野蛮な男たちなのだ。

 確かに、”強者の側に立つ”人種ほど、閉鎖的で醜く強欲な生き物はいない。アンタらだってヤル事はやってんでしょうに。全くこういう政治系人種には腹が立ちますな。

 私はこうした見捨てられた人の声になろうと、講義のカリキュラムを組んだ。しかし、この講義が学部長に好印象を与えたり、終身在職権や講義の依頼の呼び水になるとは思えなかった。
 勿論、そうなると期待した事もあった。しかし、今日、決してそうならないと深く悟った。
 私は歴史を奪われた人々に、再び歴史を取り戻してやりたいと思った。ホームレス、心を病んだ人、社会から黙認された人、そして売春婦。私は平静を保って失礼した。ルイスとはもう終わったのだ。


ジャネットの大きな賭けと失望と

 このシーンは最後の目玉ですね。実に感動的です。ジャネットの全てがここに凝縮されてます。少し着色してるとも思えますが。彼女の素の等身大の本音が、見事に語られてます。   
 一方、ルイスも大きな賭けに出たんです。ジャネットの勇気と才力を、彼の自慢の両親にぶつけたんです。彼女だったら、プライドの高い両親を打破できると踏んだんですかね。でも、ジャネットも引き下がらなかった。プライドと意地が火花を散らせたシーンは、逆に華麗で優美でもあります。

 ただ、ジャネットのこの決め台詞を、予め計算し、両親の前で吐露してほしかった。売られた喧嘩を敢えて買って出て、目の前の成り上がった両親に一撃を食らわせて欲しかったと思うのは、私だけでしょうか。
 でも、彼女はそうしなかった。それはルイスを愛してたからでしょうか。彼を傷つけたくなかったんでしょうか。

 年末、何もする気がなくなった。でも、ルイスを失った今、寂しくて仕方がないのだ。とにかく仕事が欲しくなり、ピーチに電話した。”今の時期仕事なんてある訳ないでしょ” 
 しかし私は大学と良好の関係を築きつつあり、この状態が1、2年続けば、常勤の身分を得られると考えてた(実は、大きな勘違いだったんですけどね)。
 しかし、収入は十分とはいえず、家賃、クレジットの高額な返済(殆どが前恋人ピーターの買い物)、奨学金の返済、高額な健康保険。今ここで売春の仕事をやめる訳にも行かなかったのも事実だ。

 私の評価が上がったのは、売春に関する講義が珍しく、学生に受けただけなのだ。しかし、講義の質は明らかに落ちてた。理由は簡単で、睡眠不足とコカイン。目覚ましの為にドラッグをやり、眠る為にドラッグをやった。 
 秋の学期が終わり、コカインを絶ち、パーティーでも節酒した。しかし、春になれば4つの講義と4人の客をこなすのだ。くたばるのは目に見えてた。


結婚か?別れか?
 ルイスとの関係は、彼の方から解決してくれた。彼は”結婚か別れるか”を迫った。結論はすぐに出た。互いに”結婚の道”がないのは明らかだった。でも、ルイスからの別れの宣告に、互いに腹が立った。
 2月に入り、ペースを変えた。週末は売春の仕事を続け(土曜2件、日曜1件)、平日は講義に集中した。勿論、この急激な変化に経営者のピーチは戸惑った。 

 ルイスと別れ、勢いや情熱が講義に加わった。でも、心の中ではルイスへの怒りを抱え込んでたのも事実。彼の尊大で紋切り型の態度は、知性と批評精神の欠如の現れだった。”社会の中で最も愚かな要素は無知である”(エマ・ゴールドマン)。でも、コカインに溺れた貴方も愚かですよ。 

 という事で、以降のジャネットは下り坂にまっしぐらです。今日はここまでです。



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