前回「その2」では、「はじめに(=知識を真に受けてはいけない)」と、その後に続く「プロローグ(=雲に浮かんだモスク)」を中心に纏めました。結論から言えば、一時的な投資家の成功は”単に運がいいだけ”であり、偶然についたインクの染みを”雲に浮かんだモスク”と勘違いする詩人の愚かさに類似する。 一方で、サイレント・エビデンス(沈黙の証拠)という新たな概念 . . . 本文を読む
前回「その1」では、「まぐれ~投資家はなぜ運を実力と勘違いするのか」の大まかな流れと著者タレブ氏の概略と翻訳者望月氏のコメントを長々とですが、紹介しました。 レバノン内戦を潜り抜けて育ったタレブ氏だが、グレアム・グリーン(英、1904-91)に影響を受け、文学に大きく傾斜するきっかけになったという。事実、この著書にも数多くの参考文献が紹介されているが、数えただけでも何と250冊近くが紹介されてい . . . 本文を読む
「ミール博士の検証」でも少し触れましたが、「まぐれ~投資家はなぜ運を実力と勘違いするのか」の原書「Fooled by Randomness:The Hidden Role of Chance in Life and in the Markets」は2001年に出版された。 直訳すれば、”ランダムさに騙された〜人生と市場におけるチャンスの隠された役割”となる。だが、こうした . . . 本文を読む
半世紀前に、専門家たちが過去の失敗から学ばないという現象を真剣に研究した学者たちがいた。 例えば、”医者が自らが何をわかってないかをわかってない、又はそれをわかろうとしないという2つの致命的な問題がある”と、ミール(Meehl)は元の論文(1954)でこの問題を次の様に紹介した。 ”医者は自分らの予測が<本当にわかってる>者の予測だから、当然優れて . . . 本文を読む
巷で(もないが)よく言われるのは、ガリレオが重力による落下運動の法則を明らかにし、(ガリレオが死んだその年に生まれた)ニュートンがその重力があらゆる物体に働く力(=万有引力)である事を数学(微積分)を使って証明した・・というものである。 確かにこれは正しい。が厳密に言えばだが、正確ではない。 歴史で言えば、最初に重力の存在を唱えたのは、古代ギリシャの哲学者アリストテレスである。彼は” . . . 本文を読む
これは、私が”象が跳んだ”のペンネームで2016年12月にアマゾンに投稿したレビューだが、補足を加えて紹介します。 角幡唯介氏の本では「アグルーカの行方」を前編と後編に分けて紹介しましたが、以下でも述べる「世界最悪の旅」と共に、命を掛けてまでも冒す冒険とは何か?を深く考えさせる著書となりました。 勿論、私と言えば”ぼっちキャンプ”すら出来ない貧弱な . . . 本文を読む
「死の家の記録」を読み始めて1週間近くが経つが、仕事の関係で時間が十分に取れないせいか、なかなか先へと進まない・・・というのは全くの言い訳で、レヴューにはドストエフスキーにしては”あっさりとして日記風で読み易い”とあったから、油断していたのも事実である。 実際に、青空文庫版「地下室の手記」でドストエフスキーの陰鬱さとユーモアに慣れたつもりでいた私がバカだった。そう、彼の小 . . . 本文を読む
偶々TVをつけたら、NHKのダークサイド・ミステリー”「宇宙戦争」パニック事件、75年目の真実”が放送されていた。 1938年にアメリカで放送されたラジオ番組「宇宙戦争」は、放送を聞いた人々が番組内で語られる火星人の襲来を事実だと思い込み、アメリカ全土で約100万人がパニックを起こし、伝説的な番組として伝えられていた。 デマやフェイクニュースの代表例として今も語り継がれる . . . 本文を読む
某フォロワーの紹介にあった小説だが、大まかな展開としては、遺産相続をしてそれまで勤めてた役人(公務員)の職を辞し、地下室に引きこもった40歳男性による”手記”がメインとなる。 まるで、太宰治の「人間失格」に登場する様なガチの内向性捻(ひね)くれ男だが、”オレは病的人間で意地の悪い醜い人間だし、虫ケラにすらなれない”と嘆く。つまり、敢えて自分を抉(こ . . . 本文を読む
”日本人3.0”というタイトルに惹かれて、手にしたが、思う程の新鮮な内容でもない。 過去に”新人類”という言葉が流行ったが、所詮は一過性のもので、ごく表面的な若者の幼稚で浅はかなパフォーマンスに過ぎなかった。 「日本人3.0-新しい時代のルールと必須知識」(小笠原泰 著)では、日本という国家ではなく、日本人という個人に焦点を当て、”将来 . . . 本文を読む