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■「日本人と英語」を考えてゆくブログ

犬のフン「は」持ち帰ってください

2008年04月20日 | 記事
 日本語で面白いのは目的格の扱いだと思いはじめてきました。散歩をしているときに「マナーは守りましょう」とか「犬のフンは持ち帰りましょう」などのような貼り紙を見つけたためです。ふつうは「~は」と聞けば主格であると私たちは(私だけ?)考えるわけですが、目的格としても使われるのですね。よく見てみると「マナーを守りましょう」や「犬のフンを持ち帰りましょう」とは少しニュアンスが異なっていることにも気づきます。「マナーは守りましょう」と言えば、マナーくらいは守りましょうの意味ですが、マナーを守りましょうにはそのような意味はありませんよね。「犬のフンは持ち帰りましょう」も同じことで、この表現には犬のフンくらいは持ち帰りましょうよという意味がありますが、犬のフンを持ち帰りましょうにはそのようなニュアンスはありません。大変面白いものです。
 最近、関係代名詞についてどうやって教えたら一貫性のある指導になるのか考えています。2文を1文にするというやり方が最も人気のある指導法であり、私の使っている教科書でも2文を1文にする問題が登場しますが、理解の上ではこれでよくても、実際的ではない考え方だなと思っています。まず2文を考えて、その後それを1文にして話したり、作文したりするのは稀なのではないかという気がするのです。しかしながら、2文を1文にする問題が教科書にある以上、それは試験の対象になるため指導しないわけにはいきません。関係「代名詞」と銘打っているにもかかわらずなんだか接続詞をやっている感覚ですが、主格・所有格・目的格をそれぞれ総動員して生徒には2文を1文にしてもらう技を身につけてもらう必要があります。
 2文を1文にする指導で手こずるわけではありませんが、likeの扱いにについては考えさせられます。それは目的格を受ける言葉が「~が」となるためです。普通、目的格は「~を」で受けるわけですが、likeは「~が」で受けるのです。そうすると「~を」という一貫性に「~が」が突如として割り込んできた格好になってしまいます。「~を好きです」とはふつうは言いませんからね。そこで教師が考えることと言えば「~を好む」という具合に「好き」ではなく「好む」という別の表現に変えることくらいなのです。指導には一貫性を与えたいものです。
 一貫性ということでいえば、これも散歩をしていてふと気づいたことですが、「ゴミ」は数ではなく量なのですね。ゴミは数えられる対象ではなく図られる対象であるということです。これは日本語の世界でも英語の世界でも同じことです。だからゴミはgarbageにしろ、trashにしろ、rubbishにしろ不可算名詞なのだと。面白い発見でした。refuseにも廃棄物という意味があることも知れましたし(もちろん不可算名詞)。
 話はふたたび関係代名詞に戻りまして、私は接触節を使って関係代名詞をやりたいと今考えているわけです。どういうことかというと、「公園で遊んでいる子供たち」を表すのに、生徒たちはすでに「子供たちが公園で遊んでいる」という表現が言えるわけですから、公園を先行詞に置いた語順に変えればよろしいという指導をやりたいと思っているのです。
 
 Children are playing in the park.
 the park children are playing in
 
 さらに、ここで関係代名詞のwhichを使って言えることも確認します。
 
 the park which children are playing in
 
 そしてさらに、前置詞+関係代名詞でもよいことを確認するわけです。
 
 the park in which children are playing
 
 これが進めば前置詞+関係代名詞は関係副詞で表すことができることも指導します。
 
 the park where children are playing
 
 この考え方でいけば、
 
 Jack built the house.
 the house Jack built
 the house which Jack built
 
 となることが語順という1つの大きな柱でがっちり筋が通っていることが確認できるはずです。しかし、この方法だと2文を1文にする方法とは大きく異なるため、試験では点が取れないことになる可能性があります。よってなぜ前置詞が文末に残ったりするのかということに対する一つの説明として使おうと思っているにすぎません。
 この考え方は文を名詞節に変えるという点で英作文でも使えると思います。なんとかうまく授業に組み入れる方法はないものかと考えています。

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