LanguageStyle

■「日本人と英語」を考えてゆくブログ

『語学の脳みそ―11ヵ月で4ヵ国語をマスターした僕の語学のツボ』 矢部 太郎

2007年01月31日 | 記事
文法を覚えることより“聞いて⇒まねる”が僕の語学のツボです


このように主張されるのは矢部太郎氏です。ナインティーナインの矢部浩之さんではなくて、「カラテカ」というお笑いグループの人です。彼は『電波少年』という日本テレビ系列のバラエティー番組の中でスワヒリ語や韓国語など4ヶ国語をやらされたのだそうです。電波少年という番組は私は「猿岩石」以来あまり見る機会は減りましたが、たしかロバみたいなのを連れて外国を旅していたのをちょろっと見たような記憶もあります。

矢部太郎さんはある日、アイマスクをかけられ、ヘッドフォンをつけられて、殺風景なマンションの一室につれてこられたといいます。番組自体見ていないので本を頼りに書きますが、電波少年は彼に語学の課題を与えました。

スワヒリ語を勉強してアフリカ人を笑わせる


それ以来、これが矢部さんの第一の目標となったのだそうです。「ボクはこれまでどの外国語もちゃんとマスターした経験はありませんでした」と述べているように、矢部さんは一通りの受験勉強以外はそれほど語学に打ち込んだという経験もなかったようです。

番組で与えられた語学という課題。電波少年という番組は普通の番組と違っていろいろと無理難題をだしますが、矢部さんには「一日三回行われる会話テストにクリアしないとご飯が食べられない」という条件を課したそうです。

スワヒリ語に続き、モンゴル語、韓国語、コイサンマン語、アラビア語とつぎつぎといろんな言葉を矢部さんは学んでいきました。コイサンマン語というのはあまり聞きなれませんが、アフリカにあるコイサンマン村の言葉だといいます。いろいろな言葉をやったという矢部さんがまず抱いた印象は「今までの勉強法は役立ちませんでした」というものだったといいます。

まずやりだまにあがるのが、"This is a pen."という文。いつ使うんだー?というわけです。
その次に"There is a book."だから何なんだー?というわけです。

矢部さんの意見も一理あるとは思いますが、私はこの点は学校教育という性質上致し方ないところがあるのではないかと思います。学校は不特定多数の子供が一緒に学ぶ場で、全員に意味のある文というのを毎回毎回提示するのはなかなか難しい。それに言語学習の基本を文法学習だとすれば、文法の魅力は応用にあります。This is a book.やThere is a book.という表現を直接使わないとしても、This is ....やThere is ....という文はしばしば使われます。

少し本書を読む際に注意をしていただきたいのは、「文法」に対する態度です。本書では「文法も捨ててしまえ」という表現に見られるように、文法を軽視しているようにも思えますが、次のようにも矢部さんは述べています。

矢部 「それで入江君の場合は、はじめに何を覚えていったんだっけ?」

入江 「あいさつと自己紹介の言い方、それから『ごめんなさい』。ホント、なぜかよく怒られたから。あとは『私はお腹がすいています』。これぐらいかな」

矢部「そういう言葉は会話として使う場面が多いから当然使うことも多かったと思うけど、なんか単語ばっかり覚えてたよね。文法も覚えなきゃダメだよ、しゃべれないよって何回も言ってたのに」

入江 「いや、文法って好きじゃなかったし……」

矢部 「好き嫌いじゃなくて1!
(強調は引用者)

入江さんというのは矢部さんの相方ですが、矢部さんは文法自体は否定はしていないわけです。それはそうです、文法を否定して「4ヶ国語をマスターした」なんていう副題のついた本を出版したらそれは詐欺になりかねません。その点、本書を買った私は少なくとも詐欺にあってはいないということですから一安心です。

文法学習は大きく分けると直接的に学ぶ方法と間接的に学ぶ方法とに分かれます。直接的というのは指導者による文法の直接的な説明や文法書による勉強を意味します。一方、間接的なものは文法規則を直接教わるのではなく、いろいろな文章を自らが類推して文法を見つけるというやり方です。矢部さんの学習スタイルは「文法なんてあとからついてきます」と述べていることからも分かるように、後者のスタイルであるといえます。

「単語の丸暗記は良くないです」とか「興味のあることからはじめましょう」というあたりを見ると矢部さんの学習方法はそんなに間違ったものではないといえます。少なくとも「丸暗記」を勧めていないというところは見習うべきです。丸暗記…それは単語であれ文章であれよくないと私は思います。単語はその語が用いられる状況や前後の関係とともに覚える、つまりその使い方を覚えるべきで、文章は自分でつくればいいわけです。

矢部さんの次の言葉は特に傾聴に値します。

その言葉が自分にとってどうしても必要なんだという状況を作り出せることを祈っています。


その言葉ができるようになっていったい自分は何がしたいのか、なぜその言葉が必要なのか。この視点はとても大切だと私も思います。

・・・・・・・・・・[Amazon.co.jp]・・・・・・・・・・
書籍:語学の脳みそ―11ヵ月で4ヵ国語をマスターした僕の語学のツボ
著者:矢部 太郎
出版社:ワニブックス
発売日:2002/12
ページ数:159ページ
定価:¥ 1,365 (税込)


※ブログランキングに参加しています。よろしければクリックをお願いします。
にほんブログ村 教育ブログへ 人気blogランキング



「英米か!」というツッコミを。

2007年01月07日 | 記事
カタカナ連発塩崎官房長官に思わずツッコむ「欧米か!」

 安倍内閣の“番頭格”の塩崎恭久官房長官(56)がカタカナ言葉を連発し、報道陣を悩ませている。外務副大臣などを務めた経歴を持つ国際派だが、最近では「センシティブ」など英単語を多用。記者から意味を突っ込まれると窮する場面も。日本語による、分かりやすい説明が求められる立場なだけに、人気お笑いコンビ「タカアンドトシ」ばりに「欧米か!」とツッコミを入れる声が出てきそうだ。

 「インテリ長官」-。外務副大臣、ハーバード大行政学大学院修了という経歴を持つ塩崎氏に対し、報道陣が最近、付けたあだ名だ。昨年9月の官房長官就任以来、英語を頻繁に使い、会見を行う姿勢に担当記者が頭を悩ませている。

 例としては、北朝鮮の核問題や米国とのやりとりについて、常に「インテリジェンス(機密情報)にかかわる」とコメントを避け続けた。昨年12月の日本とオーストラリアの経済連携協定の交渉開始決定に際し「互いにセンシティブ(微妙)なものがある」と指摘した。

 記者から「センシティブの日本語訳は」と問われ、塩崎氏は「うーん」と逆に立ち往生。「何となく言っているけど…。『配慮が必要な』ってことなんでしょう」と得意げな表情で説明した。

 それでもめげずに「キック・オフ・スピーカー(冒頭発言者)」「ウイン、ウイン(双方有利)」「フォーミュラ(計算式)」「エクスパティーズ(専門知識)」など、連日“横文字通”ぶりを発揮。昨年末の記者会見で「カウンター・インテリジェンス・ポリシー(情報保全方針)の策定などの取り組みを推進する」と説明すると、記者団もあきれ返った。

 塩崎氏の姿勢は、安倍晋三首相(52)にも相通ずるものがある。昨年9月の所信表明演説では、平易な外国語や地名を含め、109回のカタカナ言葉を多用した。

 逆にカタカナ言葉嫌いで有名だったのが、小泉純一郎前首相。首相就任後の所信表明で使った英語の数は、安倍氏の4分の1だった。厚相時代には省内からのカタカナ言葉追放のための検討委員会まで設立。首相時代は、英語を多用する答弁をした閣僚に「分かりやすく表現しろ」としっ責した。それ以降、役所内では日本語表現に重きを置いた一方で、漢字が並ぶ「戒名」のような用語にまみれる弊害も出た。

 それでも、小泉氏はカタカナ言葉や英語の多用を改めるよう指示していた。以前、「お役所言葉は日本語にするともっと難しくなる」と語ったことがある安倍首相も「伝統文化を大切に」と訴えているが、塩崎氏に注文を付ける気はないようだ。

 ビジネスの場でも英語多用は知識をひけらかす行為として、好ましくないとされている。それだけに、塩崎氏にはやはり「欧米か!」と突っ込みを入れる必要がありそうだ。
[ 2007年01月07日08時15分 ]


※ブログランキングに参加しています。よろしければクリックをお願いします。
にほんブログ村 教育ブログへ 人気blogランキング