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taddy // graphic designer / artist / poet

p a s s i o n

2005-07-28 | cafe_monologue


みなさんのお勧め映画ってなんですか?
僕のお気に入りは;
・イーサン・ホークとジュリー・デルピーが共演したラブストーリー「Before Sunrise」
・ナチスの収容所の中で生き抜くユダヤ人家族を描いた「Life is Beautiful」
・トールキンの原作を見事に実写した「The Lord of the Rings」
かな。

近年でmyベストだったのは、「The Passion of the Christ」。日本語タイトルは「パッション」。
イエズス・キリストの受難を描いたメル・ギブソンの映画です。昨年日本でも結構ロングランヒットしましたよね。
日本にはクリスチャン少ないからあまり受けないだろうなと思ってたけど、どこの映画館も行列できててビツクリ(@_@)
配給元も最初は「東京の一館くらいで~」としか考えてなかったみたいだけど、拡大公開されましたもんね。

ま、アホアホ星人の自分がこう見えても一応カトリックだってこともあってこの映画のことお気に入りなんですが、実は一昨年の夏、主演のジム・カヴィーゼルと会える機会があって、裏事情を教えてもらった関係からも好きなんですよね。

アメリカ人の知人たちと東欧に行ってたんですが、同じ宿にジムが奥さんと宿泊してたんです。結構ジムはアメリカじゃ有名みたいで、知人たちは「Wow、ジムがいるべよ!」みたいにはしゃいでたんですが、僕は全然知らなくて「ふーん。ってか誰、それ?」みたいな感じで・・・(-_-;)

でも、実は以前機内で見たつまらん映画でジェニロペの暴力夫役で出演してたことが日本に帰国して判明。「ゲロゲロ!あの人だったんだ!」と・・・(-_-;)(-_-;) 一応サインはもらっときました♪そういうとこはしっかりしてる僕ちゃん。「シンレッドライン」への出演あたりからブレイクしたみたいですね。(観た人いる??)

ジムたちと一緒にランチした時にいろいろと「パッション」のことを教えてくれました。
元々バスケの選手になりたかったそうな。体力にはとても自信あったけど、撮影はすんごく大変だったらしいです。鞭打ちのシーンでホントに鞭が当たってしまったときは息が出来なかったり(あうち!)、十字架を担ぐところでは脱臼しそうになったり、十字架に掛けられての撮影は、熱風が下から舞い上がり続けていて、本当に死にそうになったとか・・・。命掛けてますよね・・・。

メルもそうだけど、ジムもカトリック。撮影の前には毎回ミサをあげて、ロザリオを祈って、神さまの導きに全部任せてからのぞんでいたそうです。一方で撮影に関わった人たちはもちろんカトリックだけじゃなくて、プロテスタントもいればイスラム系もいるし、ユダヤ系もいれば仏教徒や無神論者も。でも撮影中、みんないつも心の中に不思議な平和を感じてて、撮影後にクリスチャンになった人たちも結構いたそうです。

でも、話を聞いて一番感動だったのは、メルやジムのチャレンジングな姿勢かな。

というのも、ハリウッドはご覧のとおりモラルもへったくれもない世界。
しかもハリウッドはユダヤ系資本が一番幅を利かせているんで「アンチ・クリスチャン」の風潮が強く、まずキリスト教を題材にした作品は相手にされないんですね。あれだけアメリカは「キリスト教国だ」といわれていても、「キリスト教的な映画」ってのは皆無に等しいでしょ?

なもんでメル様があちこちのプロダクションに話を持っていったけどどこも答えは「No」。
スポンサーもつかない状況。でも、どうしても今までの映画とは違う「史実に忠実な作品」を撮りたい!という強い信念から、メルは私財を投じて作品を撮りあげたそうです。ま、結果的に世界中で大ヒットしちゃって、Man of the Yearにも選ばれる成功だったんですけどね(^_^)

一方ジムも、ちょーどウナギ昇りに人気が上昇し始めてた時期。
そういう時期にメルから食事に呼ばれ、「キリストの役をやってくれないか?」と頼まれたそうです。同時に「このことで君の役者人生を棒に振るかもしれないよ。」と言われたそう。そりゃそうですよねー。アンチクリスチャンの風潮が強いハリウッドで「キリストの役」をやるのはまず論外!仕事のオファーが来なくなる可能性が十分あります。そして、映画自体がとてもセンシティブな題材ですし、誰もが知っている「キリスト」の役を人々の思い描いているものと違うようにヘタに演じてしまうと、ジムの役者人生はジ・エンド。

それでもジムは自分の信念に正直に生きたい、現状にチャレンジしたいということでこの役を引き受けたそうです。
正直、ジムはちょっとカタいところや近寄りがたいとこがあしました。ニコリともしないしね~(-_-#) ファンサービスくらいしやがれ!と思いましたもん。それに、いろんな話聞いていると考えが結構ラディカルだったり。ハリウッドという場所で信念や信仰を貫いて前進していくためには、それくらいの「カタさやラディカルさ」がないと生き残れないのかもしれないなーとは思いましたけど。

でもね、そんな彼が今いれるのは、素敵な奥さんのお蔭だな!とメッチャ痛感。セレブの妻といった振る舞いは全然しないで、とても地に足が着いた人でした。陽気なカリフォルニアン・ガールというイメージがぴったりの健康的で笑顔が絶えないべっぴんさん♪しかも、ジム以上に信仰深くて愛情に溢れてました。彼女の支えなしに彼は頑張れないでしょうね。女性はやはり強いです!

「パッション」観てない人ももう観た人も、この裏話をインプットして観てみると、また違った角度から観れるかもしれませんね(多分)。
いかがでしょ??


P.S. 蛇足ながら、唯一この映画の不満は「聖母」役のチョイスかなぁ。聖母はこんなゴツくなくてもう少しユリの花のような人だったと思うんですよねー。「不満」なのはこの役者さんが会社の元上司に似てるせいかもしれないけど・・・(-_-)

taddy

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7 コメント

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スゴイです (haco)
2005-07-28 20:01:02
こんばんわ~。今日は携帯からです。

パッション、私も観ましたよ。映画ではなく DVDでしたが・・・。 私には 少し重かったです。観てるうちにどんどん苦しくなってきちゃいました。とてもリアルでしたから・・・。でも、taddyさんの裏話を聞いたら もう一度観てみようかなって気になりましたよ。また違う観点で感じられるかも!

こんな裏話、taddyさんてすごい人ですよね。しかも本人からだし! 恐れ入ります・・・
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確かに重いかもしれませんね~ (taddy)
2005-07-28 21:43:08
> hacoさん、



どうも!

確かに「パッション」はクリスチャンじゃない人が観ると重いかもしれませんねー。僕は聖母がボロボロになったイエズスに駆け寄るところで泣きまくりました(;_;) でも、この映画全体に流れているのは「究極の愛」ですよね。「十字架の刑」ってローマの刑の中でも最高に不名誉で残虐な刑。当時のローマの歴史家が残した書物の中にも十字架のことが言及されてて、そのあまりの苦しみに受刑者は聞いていられないほどの罵詈雑言を吐くんだそうです。でもイエズスは全く正反対に自分を迫害する人たちを許す言葉だけを発するだけ。ジーン(感涙)でした。それに比べて自分はなんとジコチューで肝っ玉の小さい人間なことか・・・(>_<)



辛いときにはこの映画から元気もらってます!
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Unknown (ken)
2005-07-29 00:41:55
僕もパッション見ました。痛々しい映像でした。。。TADDYさんの家に行った時もパッションの本ありましたよね。

僕はDVD持てますよ!また観ようかなぁ?
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Please, do! (taddy)
2005-07-29 07:54:19
> kenちゃん



もうすぐカナダ合宿だねー。ここまで復活したkenちゃんの姿見るとうれしいよ(^_^)



多分、単に「パッション」観ても痛々しいだけだったり、重いだけだったりで当然だと僕も思うけど、ひとつひとつに人生を考える上ですんげー深い意味が含まれてんだよ。今度観るときは、「これってどういう意味なんだろ?」と考えながら観てみるのをお勧めっす。



何度も逆境をくぐり抜けてきたkenちゃんならきっと共感したり心に響くことがあるよ♪苦しみの中にこそ本当の成長があるって感じかな。
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 (haco)
2005-07-29 08:29:52
>taddyさん 「究極の愛」って難しいですよね。 前に読んだ本の中にあったんですが 『「愛」は唯一理性的な行為であって、愛していない人に対しても愛してるのと同じように接することが本当の愛と言えるのではないか』 と言う言葉がありました。イエスズの「究極の愛」もそうなのかなって。 頭ではわかっていても どうしても偏ってしまいますよね。 大切な人にばかり 愛がいっちゃいます・・・。
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同感。 (taddy)
2005-07-29 09:27:45
> hacoさん



hacoさんの引用してくれたコメント、すんごく同感です!イエズスの生き方見てるとまさにその通り。彼が示してる「愛」は「自分自身を無条件に与え尽くすこと」で、これは「好き嫌い」の感情を超えた意志ですもんね。ボクも頭じゃ分かっててもなかなか実践するのは難しいけど・・・(^^;)でもこれは一生かかって学んでくもんだろうなって思ってます。それだけ価値があることですしね(^^)
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エンジェルアイズ (nao)
2014-03-18 07:40:05
ジェニファー・ロペス主演『エンジェルアイズ』で彼が演じたのは、暴力夫の役ではありません。
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