フツーの見方

フツーの論理で考えれば当然だと思うことが、なぜかマスコミでは出てこない。そんな意見を書き残しておきたいと考えてます。

政治家の資質 ~本音編

2009-08-31 | Weblog

選挙はお祭りじゃな~い。相変らず、開票速報に明け暮れたマスゴミ。
 お祭り好きの日本人は何となく票が開いていく経過がワクワクするようなので受ける(視聴率が取れる)のだろう。国民が少しでも政治に興味を持ってくれるなら良いのかも知れないが、熱狂するとすぐ冷めてしまうものだ。ワンパターンの万歳三唱(恥ずかしい)もこれで終わった感を促進する。実際は政権が決まってから後の方が、国民の監視が大事だ。選挙速報は盛上げないように当日の報道は禁止にした方が良いかも。
 少なくともこんな選挙速報のために人手や金をかけるより、「噂の!東京マガジン」で問題提起していたような過疎地での投票所の集約を止めさせることを優先すべき。(なぜかTBSのHPにこのネタは載っていない。ムダな噴水よりずっと重要なのに。)
 前にも書いたが、投票権は国民にとって最大の権利。制度的な問題によって投票権が行使できないのは憲法違反で論外だ。

さて本題。

 結果として民主党の大勝=過大な期待になったことで、むしろ遠からず人材不足が明らかになると思う。今の政治家に難しい課題を解決できるとは思えない。政治経済は心理的な影響が大きく単純なモデル化では予見できないからやむを得ない面もあるが、その‘本質的に正答が無い’ということが理解できているかどうか。真の問題点がどこにあるかすら分かっていないんじゃないかな。
 マスゴミも民主党マニフェスト(モドキ)の細目の追っかけばかり。これからの政治に必要な人材をどう集めるかが鍵なのに。

 日本のトップに立つべき政治家の適性について具体的に考えてみよう。
 現在のマスコミ論調やインタビューを聞いている限り日本人は政治家に対して聖人君主信仰を持っているとしか思えない。
 すなわち、金など欲しがらず、全ての国民のために、裏表無く、自分の身を犠牲にして尽くす、そんな人=正に聖人を望んでいるとしか言いようがない。自分ならできると考えているのだろうか。

 立候補するだけで基本的に仕事は辞めざるを得ず、当選できたとしても給与は大企業の部長程度で抜群に高いわけでもない。頑張って成果を出せば人より破格のボーナスがもらえるということもない。
 企業献金は禁止、かといって個人献金もしない。身分が固定するのはいけないので世襲は禁止。財産は全て明らかにし、資産が増えることは許さない。
 一方で、選挙区の住民の陳情は必ず聞き、あちこちの付き合いにも顔を出す。
 首相や大臣にでもなればスケジュールはぎっしり埋められ、オフでもマスコミには常に追いかけられ心の安まるヒマもない。国際情勢から国内の些末な問題まで質問攻めに合い、うっかり失言すれば袋だたきにされる。
 海外へも頻繁に出張しなければならず(時差は心身にこたえる)、そこで海千山千の各国指導者と渡り合わねばならず、丸く収めるため嘘も方便と思っても、やたら"正義"を口にするマスゴミと国民性から非難される。
 4年に一度は失職の危険があり、選挙活動では多くの議員が借金してまかなうと言われるぐらい巨額の費用が必要である。それで、もし落選した日には窓際どころか完全失業者として一から仕事を探さねばならない。
 そして下手をすれば、というより頑張って成果を上げた方が危険性は高いが、命すら狙われることもある。

 こんな役職を本当に頭の良い人が引受けたいと思うだろうか。ちょっと知恵があれば今の日本、合法的な金儲けの種はいくらでも転がっている。余程の非常事態(戦争とか超大災害)にでもならなければ、政治体制がどうなっても頭の良い人は切り抜けられるし、生活に困るようなことはないだろう。だとすれば、自分が大きなリスクを負ってまで国民のために働こうとは考えない、のが普通だ。(政治家の批判をするだけで自分は何の責任も取らないコメンテーターでもTVで顔を売って政治家より多額の収入を得ている人も多い。)
 となれば、この情勢で政治家になろうというのは、若くて志に燃えているがまだ知識も経験も少ない青年か、後援会という利益団体に祭り上げられウマミを吸うルートのある議員の後継者とか元役人、権益を持つ組織に守られた団体関係者(あやつり人形)、あとはとにかく人の上に立っていばりたいだけの自惚れの人か、知名度で担ぎ上げられ自分ができる気になってしまう有名人(名前で再就職が可能な人)、位になってしまうだろう。現場での実績はほとんどない人ばかりだ。
 そして当初は志で燃えていた人も金に困れば誘惑に負け、利権組織に取り込まれてしまう危険も出てくる。国民としては少なくとも政治活動に必要な資金は使途開示を前提に潤沢に与え、選挙は金がかからないようにネット活用を進めることは必要だろう。

 うーん、まともな政治家育成を望むならイギリスのように完全な政党選挙にした方がよいかも知れない。つまり政治家個人ではなく政党の方針だけで投票するわけだ。政策および政治家育成に関しては政党内で切磋琢磨して練り上げてもらうことを期待する。選挙は政治家個人はどうでも良く、犬でも当選できるといわれるシステムだ。
 政党の活動資金は基本的に税からまかなわれる。政治家個人が不正を起こしたら徹底的に叩いて辞めさせても良い訳だ。ただし集団運営は画期的なアイデアや抜群の指導力は生まれにくく、全般に効率は低くなる。
 それに今の日本の政党はそれほどの独自色を持っているわけではない。それは日本人自体が明確な主張(キリスト教で言えばカトリックとプロテスタントのような)を持っているわけでもないし、対立も少ない。政党選挙が育つためには議員が明確に政党に帰属しなければならない。曖昧な政党色では、議員もある時はこちらだが別の政策ではこちら、となると政党選挙が成り立たない。どこに政党の立脚点を見つけるか、実際に今の少数政党は苦労しているようだし。
 個人的には外交方針(主に米国との距離感)に違いを見つけてはどうかと思っているが明確な方針を打ち立てられる人材が今の政党にいるかな。

 アメリカ式に個人の資質に期待するなら、清濁併せ持つ有能者をリスクに見合った高額報酬で呼び寄せなければならないだろう。国民がその報酬を税金から払うのが嫌なら、その分は企業にまかなってもらうしかない。当然見返り無しに企業が金を出すことはありえない(社長が個人的な思いだけで会社の金を使えば株主に対する背任行為になる)のでその企業寄りの政策も打たねばならない。しかしトータルで見て、それで社会的にプラスだと国民を納得させれば支持が得られるはずだ。近視眼的に不平等は一切許さないという姿勢では成り立たない。
 アメリカや韓国の例を見ても政府が企業の後押しをするのは当り前となっている。自由主義貿易国の大企業では国内より海外との戦いの方がウエイトが高い。負ければ国の富が海外企業に流れるわけだから政府が支援することも国民に利の方が大きいという訳だ。当然国内での競争を阻害してはならないのでバランスが求められる。国民がヤリスギと考えれば政治家を変える、それが民主主義。

 いずれも、今の中途半端な日本の制度よりはましな人材が集まりそうな気がするが、どうだろうか。今のまま"政治の刷新"を進めると、もうタレント議員と組織関係者しか存在できなくなりそうだ。(あるいは、何のかんの言っても権力を握りさえすれば陰でウマイ汁を吸えるという策謀を持つ人とその手下。)
この先、日本でどうやって政治家となる人材を集める(育てる)のか。
 タレントに政治家を目指して勉強してもらうのが早道か?
 あるいは国営で政治家養成スクールでも作ってそこで人材をプール&育成するか。落選中はそこで講師でもしてもらうわけだ。この場合、大きく分けて政治家という職種に就職するということとなり、他の職種とは転職という感じで人材交換も計ることになる。潔癖な日本人が認めてくれるかな。

 残念ながら、政治家を育成する妙案はあまり思いつかない。元々必要となるジャンルも広いし現場を知らなければ机上の空論しか出せないので、下手に育てるより既に第一線で実績を上げている人材に政治の方へ来て貰う方が良いのだが、有能な人材ほど所得が減ったり不便が増える方が多いので、やりたがらないというジレンマだ。いっそ徴兵制のように無理矢理徴用する仕組みでも入れるか…やはり嫌々よりは喜んで働いてもらいたいから報償や待遇を良くする必要性が分かるだろう。

 議員報酬を上げるといっても今のように全員一律ではモチベーションが湧かない。人数あわせでかき集められたような人(イギリス式政党優先という意味で私はこういう議員の存在意義も認めて良いと思う)とこれまでの実績のある人の間で報酬に差を付けてもいいのではないだろうか。ということで議員にもボーナスや昇給を入れるのはどうだろう。問題は評価だが、一票の価値を全国均一にした上で、得票数に比例+通算年数+役職手当、のような感じで恣意的にならないようできるだけ機械的に査定する。…という案も思いついたが、議員のランク分け=選んだ有権者の格差と言われかねないので"何でも平等"が好きな日本ではやはり難しいかな。

 ともあれ、議員の汚職を防ぐには、陰で甘い汁を吸っているのがばれて表の報酬が得られ無くなったら割に合わないと思える程度の報酬は必要だと言うことである。
それで、こんなダメ議員に何で高額報酬払うんだ~と思ったら自分が立候補すれば良い。候補者が増え競争が起これば徐々にレベルアップが期待できるはずだ。そのために立候補の敷居はなるべく低くすべき。供託金没収という縛りを残しておけばあまりいいかげんな候補者もそんなに出ないだろう。民主主義の原則として、候補者の選別は公選法でなく有権者の手に任せるべきである。
 少し矛盾するが、同じ選挙区からの立候補には制限を設けた方が良いのかも知れない。現状あまりに地元還元を功績とする風潮がある。国会議員は本来国のために働くべきでちょっと間違ってる。ただ地方自治が進めば国の事業自体が減るので問題は無いかも知れないが。

 高額報酬を与えるといっても当然働きに見合う物でなければならない。今回のように2日在職しただけで一月分支払うというのは国民の常識とかけ離れているし、かえって意欲をそぐ。民間では当たり前の日割りにすれば良いだけで、民主党がそれすら出来ない様では先行き自浄効果は期待できないだろう。


 私は今の日本の政権でもっともハードかつ重要なのは外交だと考える。内政問題も多々あるが利益が日本の内にある限りはいつか挽回の可能性もある。外国にむしられたら戻ってこない。
 外交とは直接的な武器を使わない戦争である。きれい事じゃ済まない資産の奪い合いがその本質~情報操作や裏工作も当り前。相手が言った言葉には必ず裏があると考え真意を見抜き、先回りして逆に利用する~それが外交での戦争。
 イラク等の戦争支援、原油等の天然資源、CO2排出権、思いやり予算、etc. 本当の知恵者が当たらないとどんどん国益が海外に流れてしまうばかり。
 厳しい世界情勢の中で日本の利益を守っていくためには、日本の最高の頭脳を舵取りに充てる必要がある。

 ここ一世紀近く、日本発の技術や産業は世界中で認められ広く使われている。それでなぜ日本が世界の富の集積地になっていないのか。国民は今も貧しいウサギ小屋生活、それどころか最近はそれすらままならぬホームレス層まで増えてきている。結果が物語るのは、政治能力の差としか考えられない。
 世界初・世界一だった産業が他国にお株を取られ斜陽化している例も多い(メモリー類、パソコン、携帯電話、青色LED/LD、薄形テレビ、等々)。これら国の資産がなぜ守られていないのか。少なくともこれまで通りの米国言いなり政策を続けるようでは絶対浮上できない。日本独自の立ち位置を主張し相手にも譲歩させることが必要だ。外交では沈黙は金ではなく、相手の言いなりとなってしまう。

 ひょっとして、日本人は謙譲の美徳で、自分たちが栄えるより世界の発展に貢献できれば精神的に満足できると考えているのだろうか。ボロは着ててもココロは錦。…本当にそれでいいのかな。

(余談)
 特に不思議に思うのは経済の常識からは外れるゼロ金利政策が日本では長く続き、さして不満の声も高まっていないこと。選挙の争点にもなっていません。実質、国民資産の吸上げなのにスゴイことです。
 今でも少しはましな利息を取る手段はあります。ネット系の銀行なら1年定期で1%位の金利を提示しています。もし都市銀行やゆうちょ銀行(年0.15%)に定期を作っているなら、こういった銀行に移し替えるだけで100万につき8千円は差が出ます。振込手数料もバカになりませんが、ネット系では月数回は無料の所もあります。一回に数百円は、利息と比較すれば無茶苦茶な高率です。細かいようですが面倒だからと諦めるなら多分いつまでも金は貯まらないでしょう。
 ちなみにリターンには必ずリスクが伴います。金利が高いのは一般にその銀行の信用度が低いというリスクの反映でもあります。しかし預金保険機構に入っている限り1000万までは補償されるので破綻しても損はしません。ただ破綻後しばらくは自由な引き出しができない可能性程度ですから余裕資金であれば十分低いリスクと言えましょう。
 サラ金の宣伝で「ご利用は計画的に」と言ってますが、計画的に考えられる人ならサラ金で借りるという解はまずありえません。昨今の判例で低くなったとは言え10~15%と預金金利と比べたらべらぼうな利息です。借金を我慢してその分10%利息の預金をしたと考えればスゴイ金利商品だと分かるでしょう。
 クレジットカードのリボ払いも同レベルです。一括払いにしないと大損ですよ。
 こういったことの組合せだけでも年に数万円は違うのではないでしょうか。

 資産運用ではリスクとリターンは大体比例します。しかしそれは、勉強して自分が取れるリスクの程度を理解できればそれに見合ったリターンを得ることもできると言うことです。また勉強することで"大体比例"の中でも多少有利なモノを選択することもできます。何も考えないのが一番ハイリスクです。


(参考)

Electronic Journal ~「オバマの正体」シリーズ~
http://electronic-journal.seesaa.net/

 オバマ氏も聖人君主じゃない。それでも国益という意味では日本よりはるかに有能な政治家だろう。ただアフガン問題の方針に関しては完全に見誤っていると思う。どう考えても勝ち目が薄い。続ければアメリカ自体の衰退のキケンもあり得る。大丈夫だろうか。

寺島実郎・日本総合研究所会長に聞く
「戦後外交」との決別を (杉山 俊幸)2009年8月

http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20090820/203028/

【今こそ異説異論】 体重計のタニタの会長が語る「ニッポン税金ダイエット」 (篠原 匡)2009年8月
http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20090825/203262/

新政権は米国と対等に付き合える外交力を磨くべきだ (森永卓郎)2009年9月
http://www.nikkeibp.co.jp/article/sj/20090831/177671/

いつもの恫喝が始まった (田中良紹)2009.9
http://news.www.infoseek.co.jp/special/j-is/commons0909_001
 アメリカと敵対する事は全く愚かなことだが、言いなりになる事はそれ以上に愚かである。世界最先端の少子高齢化を迎える日本には真似をすべきモデルがない。これからは全て自分の頭で考え、生き残る知恵を出さなければならない。


※これら筆者の方々も多分(麻生氏のような金持ちは別として)大多数の政治家より高収入じゃないかな。

 


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