昨今のマスゴミ報道や一般人のインタビューを見聞きする限り、どうにもこの国は政治について人任せでしか考えていないようです。いまだに封建主義が染みついていて民主主義は根付いていないということでしょうか。
民主主義は行政システムとしては非常に非効率です。現在のように世界が大きな変革の時期にある時は国の制度も大きく改革しなければ対応できません。しかし、何を変えるにせよこれまで利益を得ていた集団からは大きな反発を受けます。一方改革によって利益を得るはずの人々はまだ現実化していないのでそれほど強い支援は得られません。従って、茹でガエルの例えのように、徐々に苦しくなると分っていても現状維持の力の方が強いので最後のカタストロフが訪れるまでなかなか行動には移せないものです。特に日本では自ら立ち上がって政治を変えたという経験が薄いために、改革の難しさや痛みというものが分っていないと思います。
(明治維新も戦後の復興もアメリカが支配したために今の対米従属姿勢の遠因になっているのかも。)
今、中国やドバイが経済発展を遂げているのは独裁的統治者が既存勢力を無視して非常にタイムリーな手を打てた(そして当たった)からに他なりません。
ただし独裁政治は長く続くといつかは必ず独善におちいり、その際の国民のダメージが大きいというのがこれまでの歴史の教訓で、その結果として民主主義が一番非道くなりにくいという一点で、よりマシな制度と考えられている訳です。
ただし民主主義が正しく機能するためには、全ての国民が政治に対して本気で向かい合う必要があります。自分の考えを持っていないと、人のウワサ(マスゴミ)に左右されたり、最悪の権利放棄という事になってしまいます。半分近い国民が参加していない様では真の多数決とはなり得ません。政府=統治者に対する最も強い権利を放棄するなんて正気の沙汰ではありません。
今回の政権交代は日本国民が初めて自分たちで起こした無血革命だと捉えています。ただ実質は自民党からの回避だっただけで、その後は結局人任せ。民主党政権になったからすぐに全てがうまくいくはずもないのに、非難の声を上げるだけで自分たちで考えると言うことを放棄している様に見えます。
民主党も所詮は既存政党で、既存の利権集団から支援を受けて大きくなった以上、大きな変革などすぐ出来る訳もありません。常に国民が見張っているという緊張感を持たせて、少しはマシな選択を続ければゆっくりでも前に進むのですが、国民が思考を放棄すれば一部利権集団だけが良い思いをする国になってしまうかも知れません。
自分はこうしたい、という目標がなければ、AがダメだからB、次はC、と変えていっても決して目的地には近づかないでしょう。
個人的に、今回の政権交代で期待しているのは旧政権+権力機構の過去の悪行を曝くことです。政権交代によって悪事がバラされるとなればそうそう非道いことはできなくなるからです。それから出来る限りの情報を国民に公開することです。(外交では密約もやむを得ない面があります。ただしその決断は歴史の評価=国民の判断を受けなければなりません。)
極論で言えば新しいことは当面何もしなくても良いとすら考えています。各個人の事情は別として日本全体のシステムとして見れば、まだ数年は大きなカタストロフは起こらないでしょう。政権を取ってわずか半年で大きな変更をすれば道を誤る可能性の方が高いように思われます。(これまでの所、民主党が新しく始めた政策はどうもロクなことがない。選挙狙いがあるからしょうがないとはいえ…。)
私の知らないところで物事が決まって、それに自分の生活が左右されるのが一番嫌です。全ての情報が開示され、それを元に自分で選んだ結果が間違いだった方がまだ納得できます。それが民主主義の根幹だと思うからです。
そういう意味では情報公開に関しては少なくとも前進しています。まだ全然不足ですが、自民党政権では絶対出なかったはずの過去の密約が出、司法の誤りが認められ、記者クラブの弊害が少しずつ改善されています。予算の闇もほんの一部ながら明かされつつあります。それと国民の関心を政治に向けさせることが増えた点は、先に述べた真の民主主義への第一歩として評価しています。
私は、ひょっとしたら鳩山首相は希代の名政治家なのかも知れないと考えています。これは全くの買いかぶりかも知れません。世間で言われるようなただの優柔不断なのかも知れません。ただ、この間の党首討論をフルで見たら(要約では大幅にカットされてるのでダメ)鳩山氏の主張は、もし普天間の腹案が私の考えに近いものであれば、非常に理解しやすいものであったからです。
その真偽はともあれ、ただ非難するだけで、どうするのが最善かを論じない(国民に考えさせない)マスゴミ報道にはウンザリです。八方塞がりと言いますが、では沖縄に新しい基地を造って良かったのか。
もし自民党政権が続いていれば現地の反対を金で押し殺す方策しか無く、それでも現実に工事を始めてもいなかったので普天間がそのまま継続したのでは無かったかと思います。そして工事をさせない沖縄の人が悪いとでも世論誘導したでしょう。大体沖縄以外では(多分今でも)他人事なのでそれで大きな問題は起こらなかったでしょう。マスゴミも協力して現地の反対運動は無視していましたし。
実際これまで14年も着工されなかったのは現地で地道に反対活動が継続してきたからです。反対運動は今になって起こったものではありません。そんなニュースは大手マスゴミからはほとんど流れてこなかったでしょう。それが今は毎日ニュースにしている。沖縄国民の意思が大きく報道されるようになったのは望ましいことでは無いでしょうか。自民党政権ではあり無かったでしょう。
これほど多くの住民が反対なのに、なぜ今までの知事や首長は移転に賛成してきたのか。その方がオカシイとは思いませんか。
それにここまで反対運動が盛上がれば、もし政権が変わったとしても沖縄に基地を造ることは困難になったでしょう。どちらが本当の民意に近いでしょうか。
そもそも普天間問題を半年で解決するなんて無茶な話です。基地なんて国内ではどこだって反対が多いに決まっています。一方、アメリカにとっては自民党案はタダで新しい基地を造ってくれて移転費ももらえる非常に美味しい話なので、それ以上の案がある訳はありません。だから粘り強い交渉によってアメリカに譲歩させるしかないのです。そのためには国民の後押しが必要なのです。全国民が基地は要らないと言わない限り、アメリカは考えを変えないでしょう。
これまでは沖縄以外では問題意識にも無かったことが、自分の所に来るかも知れないと思えば少しは真剣に考える様になるでしょう。現在、少しはそれに近づいてはいないでしょうか。
そこで、これからのアメリカとの関係をどうしていくべきか、基地を無くしたらどうなるか、日本の防衛をどうすべきかを国民全体で考えさせる様に大手メディアが持って行ってくれれば良いのですが、今のマスゴミにはジャーナリズムの欠片も感じられません。残念なことです。
こうなったら、全国各地を移転候補としてぶち上げて全国で反対運動を起こさせるしか国民の目を醒まさせる手はないのかも知れませんね。
PS. いい加減「政治と金」なんてつまらない話題に囚われるのは止めて欲しいものです。小沢氏と鳩山氏ばかりが叩かれていますが、どの政治家も本気で調べれば公に出来ない金があるに決まっています。自民党、公明党は既に何人も疑惑が発表されていますが、他の政党だって大なり小なりでしょう。
問題にすべきはその金が賄賂等として国民に被害を与えたかどうかです。話題になっている対象は、親の金だったり単なる記載ミスだったりで国民への被害はほとんどありません。マスゴミ(官僚)によって国民が踊らされる構図は全く情けない限りです。
未だに聖人君子が幸福に支配してくれるという幻想を抱いているのでしょうか。
政治家だって自分と同じ人間なのです。重要な問題は何か、自分の頭で考えて欲しいものです。直接もうけになる話でもないのに頭を使うのは面倒かも知れないですが、それが民主主義に払う国民のコストなのです。
(参考)
鳩山首相「私は愚かな総理」の真意 (永田町異聞)2010年04月22日
http://ameblo.jp/aratakyo/
案の定、朝のテレビ番組では「私は愚かな総理」というフレーズだけが飛び交っている。司会者やコメンテーターも、その前後の文脈をオミットして、「愚かさ」の強調に余念がない。
名宰相それとも暗君? ―― 「黒い勢力」との死闘は続く (二見伸明)2010年03月29日
http://opinion.infoseek.co.jp/article/809
小沢は、日米関係を「従属から対等」に転換・深化させるキーマンである。党内外から、妬みに狂って「訪米阻止」の動きも出てくるかもしれない。それだけに、マスコミには、重箱の隅を突っつくような視野の狭い、次元の低い問題に執着するのではなく、マスコミに本来的に要求されている、日本の将来を見据えた高い次元の論説・主張・報道を期待したい。
さあ、鳩山政権、ここが正念場(その2) ── 普天間移設問題の結着成るか?(2)
http://opinion.infoseek.co.jp/article/812/2
このページの日米仮想論争が実に的を射ており、面白い。
普天間問題は鳩山政権の試金石だ (喜納昌吉)2010年04月09日
http://opinion.infoseek.co.jp/article/820
今後民主党政権が注意しなければならないのは、日米軍産複合体によって描かれた図面に取り込まれないことである。日米同盟権益者が与党にも野党にも潜り込み、両方がハンドリングできるように布石を打ってくるはずだ。今は55年体制の自民党・社会党時代に見られた古い体質のアメリカが作ったダブルハンドルを国民の手に取り戻せるかどうか、その攻防なのである。日本の未来のためには同じ民主党議員であっても問い質していかなければならない。
沖縄の住人ならではの深い洞察。やはり当事者意識があると違う。
米海兵隊は「北朝鮮核」の奪取が使命? ── 馬鹿馬鹿しいにもほどがある (高野孟)2010年04月13日
http://opinion.infoseek.co.jp/article/823
本論説が繰り返し述べてきたように、これまで、「何のための海兵隊か」と問われれば、答えは一言で「抑止力」。「何に対する抑止力か」と踏み込めば、「北朝鮮の脅威」と「中国の軍拡」。しかし、北朝鮮の脅威とは具体的には何なのか、中国の軍拡が日本にとってどういう危険要因なのかについては、一度たりとも日米間で真面目に議論されたことがなかった。
アジアを読む「動き出した米軍再編」 (NHK 解説委員室)2009年03月11日
http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/600/17097.html
NHKも解説では意外に深い読みを披露しているんですよね。ただ看板ニュースでは全然論じません。まぁニュースは報道で解説がジャーナリズムと考えれば違うのは当然とも言えますが。論説まで読まない国民が悪いということなのか。
普天間の部隊の移転先は辺野古ではなくグアム/宜野湾市長が普天間県外移設 首相に直訴 (どこへ行く、日本。)2009-11-27
http://ameblo.jp/warm-heart/entry-10398128174.html
これも当事者ならではの追究。
ついに歴代首相・外相を国会召致か?
「核密約」を闇に葬った政・官・メディアの重い責任 (上杉隆)2010年3月11日
http://diamond.jp/articles/-/2646
一方で「密約」を隠し続け、最終的に2001年、不都合だと思われる外交文書の大量廃棄を行なった外務官僚の罪は重い。「国民共有の知的資源」(有識者報告書)である外交文書を廃棄したことは、歴史の破壊ともいうべき抱唾棄すべき行為だ。それは犯罪的ですらある。当該、外務官僚はいったいどう責任を取るつもりなのか。
(中略)
本来、ジャーナリズムが機能していれば、とうの昔に判明していたはずの事実を、政治家に代行してもらう恥ずかしさを、筆者も含めて、すべての記者たちがかみ締めるべきではないか。とくに真相究明を行うどころか、逆に外務官僚の手先となって、結果として「国民共有の知的財産」を廃棄することを許した責任のいったんは間違いなく記者クラブにある。