最初は、元局長の無罪確定を受けて、このような無茶苦茶な供述調書を取る方式で有罪にする操作(←捜査じゃない)の責任を追及すべきだという話を書こうと思っていたのですが、意外な所で検察の無法ぶりが露見して検察たたきが始まっています。しかしネットではこれまで多くの証言がUPされてきたものを完全スルーして、検察の広報係だったマスゴミが随分な変わり様です。何か裏があるのかと逆に心配になってしまいます。実際そういう見方の記事もあります。
朝日のスクープに乗った検察の組織防衛 (新恭)2010年09月22日
http://news.livedoor.com/article/detail/5025755/
本来、村木冤罪事件の総責任は最高検が負うべきである。その立場にある者が、その指揮監督のもとで手柄を立てようとした検事を、いっせいに袋叩きにし、一人悪者に仕立て上げようとしているように見える。
(中略)
つまり、前田をスケープゴートにして、得意の捜査手法により一人の不埒な検事の悪だくみというシナリオを描くことで、国民の目を検察組織そのものからそらすという計略である。
検事総長を守るために大阪地検を犠牲にするというストーリーですが、どうでしょうか。これまでマスゴミによって多くの国民は検察=正義と洗脳されていたので、今回の不祥事後でも検察全体への疑惑を持ったとは言えない様な気がします。だから騒ぎを大きくするのは過去の疑惑へのニュース露出を増やすので検察への信頼を落とすような気がします。
元々国民の声など聞いていない検事達は公判での敗北を自分たちへの攻撃と過剰評価し、何としても検事総長=体制を守るためと無茶な策に出たという可能性はあるのかな。
その後のニュースでは別の検事の内部告発がスクープ元らしいですが…。今回に限っての話のはずはないので、単純には信じられません。
何にせよ、『検察の不正義』が社会の明るみに出されたのは良い兆候です。
これを機に、誰でも捕まったら無茶な操作で犯罪者にされてしまう可能性があることを知って、それを防ぐために取り調べの全面記録化へ進むことを期待します。少なくとも被疑者側から希望すれば記録することを直ちに法制化すべきでしょう。今時、記録コストなんてたかが知れています。
NHKもすばやく特集番組を組みました。
9/26 NHKスペシャル「堕ちた特捜検察~エリート検事逮捕の激震~」
http://www.nhk.or.jp/special/onair/100926.html
よく江川紹子氏を出したものです。さすがに鋭く、これまでの検察捜査全般に疑惑があることを述べておりましたが、いかんせんこれまで特捜部が正義と信じこまされてきた視聴者が多いと思うのでどれほど伝わったか。最後に少しマスゴミ批判も併せて言及しておりましたが、ここは完全に流されてしまいました。まぁこれはNHK番組である以上やむを得ないことでしょう。
一方は、熊崎勝彦氏。Wikiによれば、「東京地検特捜部部長時代は上司の次席検事・石川達紘らと共に金丸信の脱税事件、ゼネコン汚職事件、大蔵省スキャンダルに関わった。」という人です。基本的にこれまでの捜査は正しかったと言う立場ですが、さすがに正面切って検察の弁護はできず、意味のない枝葉末節をしゃべりまくって時間を潰す作戦だったようです。
もう一人は、佐藤博史氏…足利事件控訴審弁護人。人選としては適切だったと思いますが、しゃべりまくる二人に押されて少しおとなしめ。
結局、時間が短すぎるし今のマスゴミではこれまでのリクルートやロッキード事件でもでっちあげがあったというような事までは踏み込めませんから、詰めが甘くなるのはやむを得ないでしょう。上述したようにマスゴミ自身が検察側の広報係となっていた点については完全スルーでした。
なお改ざんの狙いに関しては、二人の被告の公判を巧みに利用しようとした、ということで「時限爆弾」の意味が説明されており、割と説得力がありました。
「FDに時限爆弾仕掛けた」 改ざん容疑の検事、同僚に (アサヒ・コム)2010年9月23日
http://www.asahi.com/special/kaizangiwaku/OSK201009220173.html
検察関係者によると、今年1月に大阪地裁で開かれた村木氏の初公判で、FDに記録された最終更新日時内容が問題になった。このため、同僚検事の一人が東京地検特捜部に応援に行っていた前田検事に電話をかけ、「FDは重要な証拠なのに、なぜ返却したのか」と聞いた。これに対し、前田検事は「FDに時限爆弾を仕掛けた。プロパティ(最終更新日時)を変えた」と明かしたという。
村木氏の場合も検察の取り調べ手法は、これまでネットで報告されてきたのとほとんど同じだった様です。
検察捜査は「魔術のような怖さ」村木・厚労省元局長語る (アサヒ・コム)2010年9月5日
http://www.asahi.com/national/update/0904/OSK201009040094_01.html
検察の窮地 「完璧な捜査」か「壮大な虚構」か 郵便不正公判 (産経新聞)2010/09/02
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/event/trial/435542/
凛の会の元メンバー(52)は自身の受けた取り調べをこう振り返った。「検事は自分の作ったストーリーに酔い、悦に入るような感じで調書を読み聞かせた」。一方で検事の一人は「間違ったことをしたつもりはなく、いつも通りにやっただけだ」と話す。
「いつも通りにやっただけだ」というのは全くの本音でしょうね。それで一体何が悪いんだ、とでも思っているのではないでしょうか。内部の人間には改革は望めないことが分ります。
ですから被告側が最低限の防衛をできる仕組みを備えることが必要です。
この問題がどう発展し、どこまで過去の謀略が明らかにされるのか、中国問題(こちらは外務省の問題が大きい)で早くもやや下火になりかけている気もしますが、忘れないよう注目していきましょう。
「検察体質の抜本改革を」 冤罪事件支援団体が要望書 (アサヒ・コム)2010年9月23日
http://www.asahi.com/special/kaizangiwaku/TKY201009220168.html
「全面可視化しかない」冤罪事件の被害者ら集まり証言 (アサヒ・コム)2010年5月31日
http://www.asahi.com/national/update/0531/TKY201005310064.html
ここまでの騒動を予想していたとは考えにくいですが、鈴木氏の上告棄却タイミングはやはりウラがあったと考えざるを得ません。今だったら国民の印象はずいぶん違うのでは無いでしょうか。
【佐藤優の眼光紙背】なぜ最高裁はこのタイミングで鈴木宗男衆議院議員 の上告を棄却したか? (眼光紙背)
http://news.www.infoseek.co.jp/topics/society/n_muneo_suzuki__20100908_4/story/gankou_4996747/
今回はFDの日付書換というかなり地味な証拠改ざんでしたが、現実問題としては下記の事件であったような“被告側に有利な証拠を隠していた事例”の方が被告にとっては深刻な証拠隠滅の犯罪ではないでしょうか。
しかし、そういった理由で検事が裁かれた例は聞いたことがありません。
布川(ふかわ)事件
http://www.cc.matsuyama-u.ac.jp/~tamura/fukawajikenn.htm
足利事件で問われるマスコミの責任 (桜井ジャーナル)2009/06/05
http://plaza.rakuten.co.jp/31sakura/diary/200906050000/
当然、マスゴミ自身の責任についても触れなければ片手落ちです。
東京新聞 9月12日の一面下段のコラム記事「筆洗」で「メディアの自省も求められる」と書いてあり、コラム筆者の独断かも知れないが、一応マスゴミで自省の言葉が載ったのは多少なりと前進したものと少し感心しました。ただし、その前日、9月11日の社説では「検察が説明すべきだ」という紋切り型主張に留まっていました。やはり社説を書くような(機密費をもらうような?)上層の人間は自分の間違いを決して認められないようです。
他に、毎日新聞でも自社報道の検証記事がありました。マスゴミ側が報道を振り返ったのは珍しい。たまたま当たったからかも知れないが一応評価したい。
でもその後の報道姿勢は特に変わったようには思われません。まだまだダメそうです。
<村木元局長無罪>本紙報道検証…容疑者側への取材さらに (毎日新聞)9月14日
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100914-00000002-mai-soci
裁判員裁判が始まり、毎日新聞の事件・事故報道に関するガイドラインでは改めて、犯人視報道は避ける▽情報出所の明示を心がける--などと定めている。こうした指針に沿って、今後、より一層、真実に迫る努力を続けていきたい。
どうも気になるのが、管政権になって情報公開に対し後退した印象が強い点です。私が民主党で最低限期待していたのが情報公開の推進ですが、機密費も公開せず、記者クラブも解体せず、鳩山政権で少し進んだネットへの公開も、管首相になって自民党と大差なくなってしまったようです。
民主党情報暗黒時代の幕開けか、代表選「フリー記者ネット生中継禁止令」の真相 (上杉隆)2010年9月16日
http://diamond.jp/articles/-/9406
唯一、管政権で期待が持てそうなのが片山善博総務大臣ですが、どうなるでしょうか。氏の地方分権に対するとらえ方は結構本質をつかんでいると思います。しかし、知事を辞めてからはマスゴミ受けの良い御用評論家に成り下がったという批評もあります。まぁ今後の実行を見張るしか無いでしょう。
地方分権は進んでいるか (片山善博)2007年8月23日 ←pdfで開くので注意
http://www.jnpc.or.jp/cgi-bin/pb/pdf.php
政治主導はやろうと思えばできる、という例もあります。
できた! 政治主導で規制改革 (山根 小雪)2010年9月22日
http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20100917/216303/
実は今回、大塚副大臣は「制定から20年以上経って一度も見直していない規制を持ってくるように」と各省庁に指示を出している。見直しが必要な規制を自主的に挙げなさいとも。しかし、各省庁からの回答は「見直しが必要な規制は0件」というものだった。これには大塚副大臣も、かなり立腹していたようだ。
(中略)
だが今回の件は、政治家がやろうと思えば、通常なら半年~1年かかる規制改革への道筋を、わずか10日でつけられることを実証した。代表選という譲れないデッドラインがあったからこその成果だが、やる気になりさえすれば、政治主導はそれほど難しい話ではないということだ。
(中略)
前述のように、電波オークションだけでも50兆円の財源が生まれる。100の規制改革が、100兆円規模の経済効果をもたらすことも絵空事ではない。もし規制改革が後退することがあれば、それは、成長戦略の後退をも意味する。
これは非常に大きい成果なのに、なぜかマスゴミでは全く報道されておりません。自分たちに不利益なことは報道しないという態度は全く残念なことです。
国民に知られていない内に、官僚が巻き返しでウヤムヤ化を計ろうとする気かも知れません。そうなれば完全にマスゴミも共犯と言って良いでしょう。
日本では新聞がテレビと経営一体化しているため新聞でも報道されない、これは国民の知る権利の侵害に他なりません。
[経済・金融] 「財源論批判」が大好きな大マスコミ それなら電波利用料を売ってしまえ! (ゲンダイ的考察日記)2009/09/08
http://octhan.blog62.fc2.com/blog-entry-920.html
民主政権で「電波オークション」 既得権奪われる電話会社と放送局 (J-CASTニュース)2009年08月21日
http://news.livedoor.com/article/detail/4309309/