京大俳句会 KYODAI HAIKU KAI

京都大学を拠点に活動している京大俳句会のオフィシャル・ブログです。

第18回「京大俳句会」句会全作品

2010-08-03 11:40:48 | Weblog
第18回「京大俳句会」句会全作品(57句) 2010年7月24日 

6点句
 夏空に僕の高度を上げてみよう     山口陽子 
 夏木立白いノートを開く人       きったん 
 凌霄花気鬱なる時天に咲く       大月健 

4点句
 山蛭の渓に南朝荒ぶれり        きったん 
 鬼女と呑む緑の闇の冷酒かな      中島夜汽車 

3点句
 液体ちっ素ヘリウム運搬中とあり暑し  石動けいこ 
 美智子の忌白あじさいの半世紀     清水光雄 
 権力へ蟷螂山の一矢かな        小吹和男 
 夏帽子有刺鉄線くぐり抜け       うらたじゅん 
 黴匂ふ書に戦時句の犇めけり      新谷亜紀 
 鉾先の長刀が切る雲の峰        小吹和男 

2点句
 風鈴の銘ある音色生きており      辻本康博 
 ミニスカの蚤の咬みあとある娘(こ)かな 山口陽子 
 雨やみて秘(ひ)色(そく)の淵とはんざきと 有元高太 
 じりじり肌蝉の抜け殻ポンポロリ    桝村美里 
 雲湧いて鯰のやうに笑ふかな      野田くみこ 
 夕焼けのオリオンビール買いに出よ   清水光雄 

1点句
 思い出を木の上に追う蝉の網      西村元一 
 噴水の芯となる水はじかるる水     石動けいこ 
 摺り鐘がきざむ宵宮(よみや)の暑さかな 小吹和男 
 大雨にゆるりずるりと蝸牛       梶原竹明庵 
 すててこの足組み直し本将棋      新谷亜紀 
 国鉄の線路伝いに捕虫網        丁稚一号 
 子から孫我が朝顔が咲き続け      服部泰夫 
 潮騒をひとり聴きしか夜のJazz     中島夜汽車 
 溝亀や我が半生か首を出し       西村元一 
 コンクリの亀裂に滲む日向水      新谷亜紀 
 夕空に大鼓(おおつみ)の音薪能     神谷厚子 
 逃げ水を踏んであいつがやって来る   丁稚一号 
 夏の海遣唐使船はや点に        大石まさこ 
 波しぶき素肌に光り海の日来      辻文江 
 友逝きぬ夫子八人これから夏      藤田貞子 
 おおゐぐさぷかりと生けて水辺恋う   神谷厚子 
 蒼黒い淵にひびくや河鹿笛       有元高太 
 爪切れば並びし種や家族かな      藤田貞子 
 でろりんと鳴いて出て行く夏の猫    丁稚一号 
 大文字百万遍界隈錻力の車       大月健 
 朝顔に生命の果を見つめおり      服部泰夫 
 素麺を玉の汗してゆがくなり      山口陽子
 沢風や昔が被る藁帽子         西村元一 
 朝顔の数をかぞえて露地に住む     服部泰夫 

無得点句
 大水で宿替えしたるはんざきや     有元高太
 メル友にあってしまった! 恋ですか  熊村きしりん
 目覚めしに床板涼し今日も晴      藤田貞子
 愛情をのびやかに乗せ走る夏の背    きったん
 蝉時雨半醒半睡猫と遊ぶ        大月健 
 剪定を急ぎし庭の梅雨晴れま      安藤栄司
 夏きざすダイヤモンドに金属音     宮本託志
 息を吐くときの腹筋雲の峰       石動けいこ 
 天空に星ふたつある冷素麺       野田くみこ
 夕間暮蝙蝠飛んで何思う        平身亭腰折
 イカロスやヨットも運命(さだめ)は銀の河 安藤栄司
 夕顔や角兵衛獅子の笛きこゆ      中島夜汽車 
 外は雨おもき百合の香身を沈む     神谷厚子
 山鉾に馳せる賢者の世界観       安藤栄司
 神託の蛸の夢見や夏の月        清水光雄 
 遠くまで道草をして瓜番は       野田くみこ