薬害エイズを忘れない!

1500名の被害者を出した薬害エイズ事件が一応の終結を見て早10年。「薬害エイズってなあに?」と言う若者が増えています

エイズ・ブロック病院が差別を始める時代が来た???

2007-03-30 03:35:42 | 薬害エイズに関する情報
1997年4月1日の立ち上げから、2007年4月1日でブロック拠点病院はまる10年となります。

でもその施設長の発言が以下のようなものだったりすると、がっかりしてしまいます。

●近年我が国においては、関係各位の懸命の活動にもかかわらず、性感染によるエイズ患者が年々増加の一途を辿っている。
●しかし我が国のエイズ医療を担う拠点・中核病院、エイズ診療に携わる専門家の数には限りがあるので、各病院は患者増への対応に四苦八苦している。
●しかし性交渉による感染者増加のために、薬害エイズ被害者が不利益を被るような事態が起こることは断じて許されないことである。
●性感染エイズの患者に対してはC型肝炎など他の感染症の患者と同様の診療を行う一方、薬害エイズ被害者の皆様への医療サービスをこれまで通り堅持、改善していくべきである。
●エイズ医療を担う拠点・中核病院の現況を考える時、救済医療としてのエイズ診療と性感染症としてのエイズ診療を「峻別」していくことも今後求められるべきである。

つまり、病院は「救済医療」として薬害患者治療はちゃんとやらなくちゃいけないが,現在のブロック拠点病院の多忙は「セクシャルエイズ」の増加に伴うものであり,彼らに特別な医療を与える必要はないと言っているのです。

こうした発言がチェックなしで出てくるとするなら、厚生労働省や国立病院機構本部も同意見であると見なさざるを得ません。

ブロック拠点病院のヒト・モノが足りないのなら,「セクシャルエイズ」を切ればいいのでしょうか?

私たちは三重苦以上の病と闘っていますから、医療的にどうしても手間隙をかけてしまいます。

しかしだからといって「薬害被害者以外の患者は一般疾病と同じに扱っていいよ」「患者数が増えすぎたら、薬害以外の患者さんに大幅手抜き医療をしていいよ」などとは思ったこともない。

むしろ「感染自体がショックだし、同性愛者の場合自分のセクシュアリティを家族に明らかにしなくてはならない大問題もあるし、高い医療費、身体障害手帳の申請や更生医療の手続き問題、何よりも不安一杯の病状と副作用満載の抗HIV薬を半永久的に飲み続けなくてはならず、心と頭の整理に一ヶ月はかかる。そういう彼らにこそ良質の医療・福祉を提供することがブロック拠点病院の大きな役割ではないのか!」と考えています。

「いいエイズ」「悪いエイズ」と区別、差別を当然視する風潮が蘇ってほしくはない

皆さんはどう思いますか?

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8 コメント

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ほんと! ()
2007-04-01 19:28:04
エイズに良いも悪いも無いですよ。私は薬害エイズを
小学5年の時知りました。それまではまったくしりませんでした。いま中3ですが知らない人も大勢います。知ったきっかけとなった本は「12歳命の輝き・・・」と言う本でした。読み終わっての感想は
怒りと絶望でした。いままでなんにも知らなかった自分が恥ずかしかったし、それ以上に大人とゆうものは
なんておかしな奴らだと思いました。
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初めまして (momo)
2007-04-02 00:19:53
初めまして、お邪魔致します。

私たちが想像もできない苦しみを経て、
現在のHIV医療の基礎を築いてくださった、薬害エイズの被害者の方が、
このような思いを持って下さっていることに、頭の下がる思いです。

引用されている発言のようなネガティブなメッセージによって、
さらに偏見・差別が喚起されることになり、
結果的に水面下で感染が広がることになりかねないのでは、と
危惧されます。。

これからもブログ拝見させて頂きます。宜しくお願い致します。
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萌さんへ (管理人)
2007-04-17 14:05:24
つたないブログを見ていただいて、ありがとう。
医療・福祉関係の学生さんたちさえ、「薬害エイズって何?」「知らない、興味ない」という人がたくさんいる中、あなたのような若い方が興味を持って調べ、読んでくださり、感激です。

難しい内容が多くて(私も実はよくわかっていないの(^_^.))、面白くないこともあるでしょうが、時々訪問してくださいね。

ご返事が送れて申し訳ありません。
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momoさんへ (管理人)
2007-04-17 14:22:19
momo様

拙いブログに目を通していただき、大変ありがとうございます。
ご返事が遅れまして申し訳ありません。

性感染された方々を「自業自得だ」と捉えるような向きもありますが、性欲は食欲と同様、まったく自然な欲求です。
大好きな人と愛し合いたいという気持ちも全く自然なことです。
なのにセイファーセックス教育を行おうとすると、「寝た子を起こす」「情欲をそそる」などと言って、学校教育現場で行わせない。
大人になっても行われない。
行われても「絵に描いた一般論」としてしか行われない。
そういう無為無策の中で感染された々なのです。

ちょっと論旨がずれてしまいましたが、医療で差別的対応がなされるのは遺憾千万と存じます。

貴重なご意見をいただき、ありがたく思います。
寒暖の差が大きい折、お元気で。

これからもよろしくお願いします。
(更新がなかなかできずにすみません・・・)
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さらなる連携を (長谷川)
2007-04-17 23:13:10
まず、性感染の患者のひとりとして管理人さんがこのような意見を表明して下さったことに感謝いたします。

日本のHIV陽性者は同性愛者と血友病患者が協力し合って活動している点では世界でもユニークで、異なる立場からの協働・連携のモデルとしても興味を持ってもらっています。これが実現したのは日本のエイズが薬害としてクローズアップされ、さらに和解において被害者の方たちがこれを自分たちのだけの問題ではなく、広く同じ病気と闘う者として薬害以外のHIV陽性者にも等しく医療が提供されるべきという視点で望んで下さった結果です。

これからも薬害エイズの歴史的事実を、そしてその和解の精神を風化させることなく、力を合わせていければと考えております。よろしくお願いします。

日本HIV陽性者ネットワーク・ジャンププラス 長谷川博史
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温かい言葉に感謝です (HIBIKI)
2007-04-18 22:45:43
はじめまして。
ゲイのHIV陽性者のHIBIKIと言います。

私は以前は薬害HIVの方々とゲイのHIVの方々の間には大きな壁があるのではないだろうかと思っていました。でも薬害HIVの方がこのように言ってくださるのに心から感謝をいたします。

厚生省や政府の間にセックスによるHIV感染者を分ける動向は感じていましたが、感染のルートに関わらずひとつの疾患としてこれからも対応してもらわなければならないと思うのです。そのためには私たちもまた強く賢くならなければ。

薬害の方々にがんばって頂いたからこその今の制度。私たちはそのことを心にとめて忘れてはいけないと心の底から思います。

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長谷川さん、ありがとう (管理人)
2007-04-25 01:55:46
東奔西走の中、目を通していただき、コメントまで寄せていただき、感謝です。

私たち自身、非常に不満の残るHIV感染告知、中央と地方の驚くべき医療内容の格差、社会の中に踏み出せない被差別意識をたっぷり味わってきました。
現在同様の抗HIV治療の副作用に苦しめられているいるわけです。

「僕たちと同じ辛い思いを二度と誰にも味わって欲しくない」というシンプルな考え方で、「同じ病気に苦しんでいる仲間、負けずに闘い続けている尊敬する仲間」と思っています。

長谷川さんの熱い思いが多くの若者や医療・福祉・行政者を巻き込み、感染者を取り巻く医療環境がさらに良くなるように、手を取り合っていきましょう。

ご返事が遅れてすみません。
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HIBIKIさん、コメントありがとう (管理人)
2007-04-25 02:21:06
HIBIKIさん、コメントを寄せてくださり、ありがとうございます。

正直言って、薬害関係者の中には「区別」を言う人もいるようです。
未だに「かわいそうなエイズ」「自業自得のエイズ」的な感じ方をしている医療関係者もいるかもしれません。
それはとても悲しいことです。
厚生文書の「エイズ治療の地方ブロック拠点病院の整備について(通知)」にも感染原因別の医療など全く書かれていません。
平成9年12月16日の「HIV感染者の身体障害者認定について」においても同様です。

だからといって安心は絶対出来ないのはご指摘の通りです。「政策医療としてのエイズ医療は絶対後退させない」と大臣以下断言していた担当部局が、配置転換もあり、意識が大幅に希薄化しているのは確かです。

お互い、危機感を持ちながら、手を携えていきましょう。
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