性行為低年齢化に警鐘
県内高校生に性感染症拡大
受診患者、5年前の2倍
3年生の5割“体験”?、症例も多様化

岐阜大医学部付属病院産婦人科の三鴨広繁医師(40)は、県内の高校生にはちょっとした顔だ。各校から頼まれ、「性感染症」に関する出張講演に回っているからだ。そこで三鴨医師は、はっきりと言う。「その時には必ずコンドームを着けなさい。不潔な行為は絶対にしないように」。親が聞いたらびっくりするようなアドバイスだが、性体験の低年齢化はそれほど進んでいるという。三鴨医師は若者の性感染症を何例も診ているだけに、現実的な策としての「予防」に必死だ。(森川洋)

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岐阜大病院の三鴨医師の診察日に、1人の女子高生が来院した。三鴨医師が講演で話した「特殊なピル」を思い出して来たのだという。行為後72時間以内なら、ホルモン剤をのめば妊娠を避けられる緊急避妊法。事情を聴いて処方した。

三鴨医師が勤める同院を含む2つの病院にはこの春以降、講演した高校から計7人の女生徒が来院した。緊急避妊を施したのが2人、中絶が1人、4人は性器の細菌性疾患であるクラミジア感染症などにかかっていた。携帯電話にも男子を含め3人から相談があった。

4月以後、三鴨医師が講演に回ったのは岐阜市や中濃の7県立高校。近く3校でも話す。講演内容は、具体的ではっきりしている。「高校生の性体験が珍しくない今、モラルを説くだけでは…。それよりはトラブルを防ぐ対策を」。だから事実をしっかりと話す。

「最近は複数の性感染症を併発するケースが目立つ」「耐性菌が出てきて、淋病(りんびょう)の3割以上で従来の抗生剤が効かなくなっている」「咽頭(いんとう=のど)炎になる子もいる。なぜか。不潔なオーラルセックスをするからだ。体育器具庫で行為して、毛ジラミを患ったケースもある」「治療で卵管を切除し、子どもを産めない体になってしまった例もある」

現代の高校生の“体験率”がどのくらいか。県内では公式な調査はないが、三鴨医師は「地域や学校にもよるが、3年生なら男女とも5割ぐらいではないか」と言う。先月、岐阜市内のある進学校の文化祭で「性とエイズ」をテーマとした展示発表があった。企画した3年生男子も「進学系の学校でも半数ぐらいは」と三鴨医師と同じ見方。
県医師会が最近まとめた2000年度の性感染症実態調査(期間は00年11月-01年2月)によると、この3カ月間の県内受診患者数は1489人で、調査をした過去16年間で最高。5年前の95年度と比べても2.1倍。

19歳以下は179人と1割強で、うち女性は145人。女性の方が低年齢化が顕著で、95年度と比べると約4倍に膨らんでいる。最年少は13歳、女子中学生だった。全体の疾患別では、クラミジア感染症、カンジダ症、淋病が上位を占めた。

調査と自身の診療例を振り返って、三鴨医師は「低年齢化とともに症例の多様化が進んでいる。症例の3、4割は咽頭炎も併発しており、こんなことは以前はなかったこと。若者には自分も相手も大切にして行動してほしい」と話している。
■ コメント
性感染症の感染率とHIVの感染率はパラレルに増えるのだそうです。
通り一遍等のエイズ教育は受けるのでしょうが、しょせん「他人事」=【俺たち、私たちがかかるはずがない】と思っているのかもしれません。
それだけにショックは大きい。
家族や学校が全面的にサポートしてくれると言いのですが・・・「ふしだらな子供に育てた覚えはない!」などと突き放した言い方で片付けないで欲しい。
それよりも、「目に見えないだけで、あなたのすぐ近くまで迫っている危険性」についてもっと切実な教育の機会を増やして欲しいなあ。
感染者になったら体には悪いし(強い副作用のある薬を複数種類、一生飲まなくてはならない)、高い医療費、就職にも不利。
いいことは一つもないですからね(経験者は語る)。
「知識は何よりの予防薬」です。